イギリスに「本の帯」はない!本やポスター、料理写真など日常に見る文化の違い

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ロンドン・イギリス生活

イギリスに本の帯はない、というタイトルに「?」と思った人はいるだろうか。そう、あの日本ならほぼすべての本についている、推薦文やキャッチコピーが書いてあるあの帯は、イギリスでは見かけることがほぼまったくないと言ってよい。

あまりに地味な違いなので、私もそれに気づいたのは渡英後数年経ってからだった。また、渡英してからは主に電子書籍に移行したので、紙の本に触れる機会が減ったという要因もある。

この記事では、そうした日常のとても些細な側面だが、地味に日本と違うな、と気づいたことを取り上げていきたい。「本の帯」「映画や舞台のポスター」「料理写真」の3つ。他にも見つけたら後で追加するかもしれない。

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本の帯

とある書店で平積みにされた本。ご覧の通り、帯がないのがわかるだろう。本の種類や大きさに関係なく、イギリスでは本の帯をつけるという文化がない。

広めの書店で注意深く探してみても、日本のような帯は見つからない。ちなみにスペインやドイツ、ポルトガルでもほとんど見つからなかったので、ヨーロッパには本の帯という概念はない可能性が高い。むしろ日本独自のものなのかもしれない。東アジアの他の国にはあったりするのだろうか。

さらに、もう1つお気づきかもしれないが、ハードカバー(本の外側の取り外しできる表紙・裏表紙部分)がない本が多い。いわゆるソフトカバー(ハードカバーを外した、本体外側部分)には、表紙と裏表紙用の画像がプリントされているが、本体にくっついており、取り外しはできない。

ハードカバーとペーパーバック

イギリスでは、主に2種類の本が流通している。ハードカバー(Hard cover)と、ペーパーバック(Paperback、ソフトカバー本のこと)である。アマゾンでも、購入する時はどちらか選べるようになっている本がある。ペーパーバックは日本でもないわけではないが、イギリスの方がずっと一般的だ。

ペーパーバックは製造コストが低いが利益率も低いため、ベストセラーになるとは期待されない本や、かつてベストセラーになった本(ハードカバー本)の新版や再販を作る時によく採用される。

帯はなくとも、本に宣伝文がついていることはある。

こちらの本は、ハードカバーで、表紙に円形のシールのようなものがついている。「ジュラシックパークのスクリーンライターの著作」という宣伝文が書かれており、日本の帯のPR文のような役割を果たしている。

こちらは、ペーパーバックの本。ここでも、円形の「50万部突破」という宣伝文がついている。この円形の部分を触ってみたが、簡単にはがれそうなシールではなく、特殊なプリントか、またはその他何らかの技術で表紙に入れ込んでいる感じであった。

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映画や舞台のポスター

映画のポスターは、欧米は日本に比べてシンプルなデザインでスタイリッシュだ、というようなことがよく取り上げられる。それはその通りと感じることが多いが、それ以外にも、載せる文面にも違いがあるなと感じる。

舞台のポスター。タイトルと主演、開催期間、会場など最低限の必要事項が簡潔に書かれている。日本のポスターによくあるように、キャッチコピーやセリフ、説明文のような文章が書かれているものは少ない(全くないわけではない。書かれているものもある)。

その他には、中央に評価の5つ星が書かれている。星の下にはちいさーく、「Sun(大衆紙サン紙)」と評価の出典が。このメディアによる評価の表示は、日本ではあまり見かけず、イギリスの映画・舞台ポスターでよく見る特徴である。

こちらは、評価用の星をこれでもかと載せまくった映画のポスター。これもそれぞれ色々な媒体で評価されたものである。星はめちゃくちゃあるのに、キャストの名前が一切載っていない潔さ。

星の周りに配されたキャッチコピーのような文章は、いわゆるメディアの批評家のレビューから抜き出した引用である。このレビューからの引用もポスターでよく見る要素だ。

上の2つより賑やかなデザインの映画のポスター。これは、キャスト名も星もレビューからの引用も随所にちりばめられていて、タイトルの横に「驚異の実話をもとにしたストーリー」みたいな簡潔なPR文が書いてある。

料理の写真

レシピサイトやデリバリー・食品関係サービスの写真など、さまざまなところで使われる料理の画像。これも、常にではないがしばしば「お?」と思う要素がある。プロの(要は商用の)宣伝用写真であるのに、なんか妙に食材や料理の一部が散らばっているものがあるのだ。

例えば、とあるレシピサイトのこの写真では、卵とその下のポテトケーキが崩壊しているが、中身を見せたいのだろうし、皿の中に入っているし、全然良い。細かいことを言えばフォークが汚れたままなのが若干気になるけど、まあ良い。

だがこういう感じになってくると、パセリがテーブルに散らばっているのはオシャレさの演出? なのかなと思えるが、食べかけで落としたように見えるパンはどうなんだろうか……と日本人的には思ってしまうのである。例えば色とりどりの野菜や果物とか、レモンを半分に切ったものを周りに配置してオシャレに見せるというのはわかるんだけれど。このパンはその作用を果たしているのか……。

でもこういう「皿の外に食べ物や原材料をこぼす(意図的に散らばらせる)」のは結構見かけるので、イギリスでは料理写真を撮る際のセッティングの一種なのだろう。

そしてこちらの画像に至っては、皿からはみ出てるとかのレベルではなくサーモンが転がっている。いいんかこれで……。日本だと、割って中身を見せるにしてももう少し切り口が綺麗だし、皿の外にはこぼさないよね。

こちらは、大手デリバリーサイトのヘッダーに来る部分の画像。中華料理のテイクアウトなのだが、なんか底に敷いた蓋の上に食べ物こぼれてるし、麺も箱から出てるし、これ大丈夫なのか? と思わずにはいられない。だがホームページを開いたら最初に目に飛び込んでくる画像なので、意図的なのであろう。

こういうところは日本人の私からすると結構新鮮な感性で、その違いがとても面白いな~と思う。

こんな風に、日常生活には特に大きな影響はない些細な文化の違いだが、一度気づいてしまうと気になり始めるし、好奇心もわいてくる。

これまでに以下のような日英の違いに関する記事も書いたので、よろしければこちらもどうぞ。

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