日本とはかなり違うイギリスの魚事情:高い、種類が少ない、生食できない

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イギリスの食文化

イギリスでの基本のシーフード事情を紹介したい。日本とはかなり異なるので、渡英初期は驚きの連続だった。

私は魚が大好きだが、イギリスに来てからは完全に摂取する割合が肉>>>魚になった。

それはなぜかというと、イギリスでは以下のような事情があるからだ。

  • 魚の値段が高い
  • 扱う魚の種類が少ない(違う)
  • 生食が基本できない

順に説明していこう。

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イギリスでは、基本魚は高く、種類は少ない

こっちでは魚は高い。鮭やタラの切り身が一切れ2.5~3ポンドくらいする。2切れ入って4〜5ポンドとか。日本だと切り身なら100円とか200円くらいよね。

また売られている魚の種類の少なさは、日本人からすると信じられないレベル。

日本のスーパーには、鮮魚コーナーがほぼ必ずあるが、イギリスのスーパーにはないことが多い。魚コーナー自体はある。全部パッキングされている商品が、そこには並んでいる。魚の切り身や、酢漬けなどのマリネの瓶詰め、茹でたエビなど。

肉コーナーが膨大な面積を占めているのに対して、魚コーナーの小ささといったらない。肉コーナーの1/4〜1/5くらい。

【料理・食文化】イギリスの「肉」事情について語ろう

普通のスーパーでパック詰めで手に入る魚は、サーモン、マグロ、タラ、サバ、エビ、シーバス、タイ程度。エビも基本処理済みのもので、頭つきのものはない。あとはカニの身はカニ味噌つきで以外に売っていたりする。

鮮魚コーナーがあるスーパーでは、もう少し扱う魚の種類は増える。

大型スーパーや高級スーパーでは、こういう風にレパートリーが豊富な鮮魚コーナーがある店舗もある。これはWaitroseというスーパーの魚売り場。

イギリスのスーパーの種類と格付け表

上記のパック詰めの魚と同じものに加えて、イカ、タイ、ムール貝、ホタテ、牡蠣、ヒラメなど。ロブスターがある時もある。

エイやアンコウなんてのも売られている。調理法がわからん……。アンコウは鍋にすればいいのかな。

これはギリシャ産のタイ。この時のセールで2尾で7ポンド。パック詰めのタイやスズキの切り身、一切れ5~6ポンドするので、それから考えるとこのタイは格安だが、小さい個体で、やはり日本とは違うなあと思う。スズキも同じ値段だった。

こうした鮮魚カウンターでは、丸ごとでも、その場でさばいて三枚おろしにしてもらうこともできる。

残念ながら、鮮魚コーナーなのに新鮮じゃなさそうな魚も結構見かける。以前このコーナーで買ったイカがびっくりするくらい美味しくなく、それ以降そこで買うのをやめた。たまたまその時の鮮度がよくなかったのかもしれないが、「イカってこんなまずいことあるんだ……!」と衝撃を受けた。

イギリスで見かけない魚

日本ではメジャーだけれど、イギリスのスーパーの魚コーナーや鮮魚コーナーで売っていない魚は結構ある。

  • アジ
  • サンマ
  • ブリやハマチ
  • ししゃも
  • うなぎ(うなぎのゼリー寄せはある)
  • マグロのトロ
  • カンパチ
  • タコ
  • ウニ
  • 魚卵系(一部のスーパーでは瓶詰めで売っているところもある)
  • あさりなどの二枚貝(牡蠣とムール貝を除く)

これらも、本格的な日本食レストランや寿司屋、日系スーパーにいけばおいてあるものもあるが、安くて美味しい庶民の味方であったアジとサンマが日々の献立に入れられないのは大変痛い。

「魚屋」もあるにはある

街には、数は少ないが、魚屋(fishmongerと呼ばれる)もあることはある。やはり餅は餅屋で、魚屋が一番扱う魚の種類が多い。二枚貝や殻付きのエビ、タコ、魚卵(いくらやとびっ子など)などはスーパーにはなくても魚屋では割と売っている。

あと、あの悪名高い「うなぎのゼリー寄せ」も魚屋なら売っているところがある。

これはある魚屋で発見した時のもの。ただでさえ食欲の失せる食べ物をこんなビジュアルで売るのか……というところに驚いた。フォークとか沈んじゃってますけど……。

魚屋なら、おいてない魚でも、特別に注文すれば市場で買ってきてくれる場合もある。以前ハマチを注文して取り寄せてもらったことがあった。だが、そもそもイギリスで知られていない魚(アジやサンマなど)は、英語名で言っても理解してもらえずだめだった。

またハマチとブリは英語名が一緒(どちらもyellow tailという)なので、その区別はつけてくれない。イギリスではyellow tailの和訳はハマチとしているところが多い。

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生食は基本できない―基本、調理法は揚げか焼き

基本、イギリスで売られている魚たちは刺身用ではないので、生では食べられない。すべて調理用である(例外はある。それは後述する)。

生魚欲が高まっている時は、スーパーで売っている魚の切り身を見て「これ……生でもイケるのでは……?」と魔が差したりするが、絶対にやってはいけない。生食を想定した処理、流通が発達しているわけではないのだ、この国は。

「フィッシュアンドチップス」でおなじみのイギリスだが、一般的には魚介類の調理法は揚げか焼きしかない。というか結構な割合で揚げである。なんでも揚げればいいと思っているのではないか? と思うくらい、魚やイカやエビを揚げまくるのである。

パブなど大衆居酒屋的な場所ではフィッシュアンドチップス、イカリングフライ程度しかない。グルメに力を入れているパブや、レストランに行けば、サーモンやシーバス、その他の魚のグリルがメニューに追加される。

また、フィッシュケーキといって、魚を入れたシチューのようなものをコロッケにしたような惣菜がある。

ちなみに、ロンドンでグーグルマップで「シーフードレストラン」と検索するとフィッシュアンドチップス屋(持ち帰り専用のファーストフード店。イギリス中にある)が大量にヒットするので悲しい(&不便)。

また、意外かもしれないが魚の燻製はある。これは伝統的な食べ方で、ニシンの燻製は以前は朝食としてよく食べられていたらしい。

生魚や干物は基本的にない。日本料理に慣れ親しんだ身としては、「生で食べられる魚介類」と「干物」がないとかなり魚料理のレパートリーが限られることを実感している。

日々の食生活から、刺身はもちろん、塩辛系やなめろう、たたき、干物などすべてが消滅するのだ。

特に、マグロなんて日本にいた時は生以外で食べることなんてほとんどなかった(それ以外だと、マグロが売りのお店で焼き物を食べる程度)だったので、こっちの「焼く用のマグロ」をどうすればいいか未だにわからない。マグロステーキは自分で作ってもお店でも食べたことがあるけれど、値段の割に美味しいと思えなかった……。

また、「アラ」や「お頭」も売っていない。ぶり大根なんて、ブリのアラもなければ大根もないので夢の食べ物である。カマ焼きとかもめったにできないね……。

例外はスモークサーモン

こちらも要は燻製なので、完全な生ではないものの、スーパーで買える魚ではおそらく一番生に近い状態で食べられるもの。イギリスではスモークサーモンはよく食べられているし、どこでも売っている。

生魚を食べる手段はある

とはいえ、イギリスでも本物の刺身や寿司などの生魚を食べる手段はある。寿司屋や日本食レストランで食べられるのはもちろん、それ以外にも近年の日本食ブームで、ある程度、刺身は手に入りやすくなっている。ただ、コストはどうしてもかかる。

イギリスに住む日本人は日頃からどうにかして刺身や生魚をお得に手に入れ、自分の生魚欲を満たそうと試行錯誤している。私もその一人である。そうした生魚事情については、別記事に書いたのでこちらを参照してほしい。ロンドンに住む私の体験から、生魚を手に入れる手段をまとめたものだ。スモークサーモンについても触れている。

刺身や寿司が恋しい日本人が、ロンドンで生魚を食べるには? 


イギリスの築地市場的な存在である魚市場、ビリングスゲートについてはこちら。

ロンドンの巨大魚市場ビリングスゲートはどんなところ? 【観光向けではない】

イギリスバージョンに進化した寿司に関してはこちら。

イギリスの寿司は日本の寿司とどう違う? 驚きの進化を遂げている「SUSHI」

イギリスの肉事情についてはこちらをどうぞ。

【料理・食文化】イギリスの「肉」事情について語ろう

イギリスの野菜事情についてはこちら。

イギリスにない日本の野菜〜野菜事情はどれだけ違う? 

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