日本にあってイギリスに全くない、またはほとんどないお店は、実は結構ある。
日本にいる時は普通に使っていたお店がこっちにきて使えなくなり、「日本は便利だったなあ……」と思うこともしばしば。
ここでは、そんな「イギリスにない/ほぼないお店」を紹介していきたい。
目次
日本のような万能型コンビニ
日本のように、食べ物や日用品が売っていて、宅配便の受付や公共料金の支払いもできて、トイレも貸してくれる、というようになんでもあるチェーン店はない。
「Off license(オフライセンス)」というコンビニエンスストア的な小さなお店は至るところにあるが、スナックと飲み物がメインで、あとはティッシュなどの日用品を売る簡易的なもの。また、お店の雰囲気も日本のコンビニのような明るく清潔感あふれる感じとは異なる。
これはチェーンでなく個人店が多い。だいたいインドや中東系の人が経営していることが多い(なのでそういう地域な調味料や食材もよく置いてある)。
大きい店舗になると生の野菜、果物やもう少し商品のバリエーションが広がったりするけど、コピー機やホットスナックなど置いていないし、ましてや商品購入以外の料金支払いの受付なんてしてくれるわけもない。
かろうじて日本のコンビニに雰囲気が近い(明るい、清潔、きちんと商品が並んでいる)のはチェーンのスーパーかな……。品揃えは普通のスーパーの範囲で、日用品と食材、惣菜、ホットスナックなど。あとコーヒーマシンが店内にあり、コーヒー片手にショッピングできる店舗もある。
イギリスの各種チェーンスーパーに関してはこちらの記事をどうぞ。
店舗によっては24時間営業のスーパーもあるが、数は多くない。また、普通のスーパーは日曜日は午後6時閉店など軒並み早く閉まるのが普通だ。24時間営業の店舗でも、日曜だけは早めに閉まるところが多い。
日本のようにいつでもどこでも買い物ができるというのは、特別なことだったのだとしみじみ思う。
しかも、美味しいおにぎりや和惣菜や、ほかほかの肉まん、文房具、下着まで最寄りのコンビニで手に入るなんて、今考えると奇跡では? とすら思う。
生体を売るペットショップ
ペットの生活に必要な道具、餌やおもちゃなどを売るいわゆる「ペット用品店」はある。だが、生体を売っているところはほとんどない。生きた犬や猫はまず売っておらず、魚やインコなどの鳥類を売っている店がたまにあるくらいだ。
イングランドで生後半年未満の犬猫を売るのは禁止に
2018年8月、イギリス政府はイングランドでペットショップやインターネットオークションなどでの生後半年未満の犬猫販売を禁止する方針を決定した。悪質なショップや繁殖業者が、劣悪な環境で子犬子猫を飼育している実態が明らかになったことを受けての措置だ。
現在では、生後半年未満の犬や猫を買う場合はブリーダーと直接交渉するかシェルター(保護施設)から引き取ることになる。
生後半年以上の犬や猫は店で販売してもいいことになっているが、売れ行きの観点では幼体の方が売れやすいので、悪徳なペットビジネスの抑止力になるのではないかと見られている。
だが、そもそも、少なくともロンドンではペットショップの数自体が日本に比べると少ない(体感だが)上、生後半年以上であろうが犬猫を売っている店はまず見かけたことがない。
大型の家電量販店
ビックカメラやヨドバシカメラ、ヤマダ電機などのような大型の家電量販店が、イギリスにはない。
ワンフロア、ツーフロアくらいの小さめの店舗は時々見かけるが、どこにでもあるわけではないし、日本の都会にある10階建てのビックカメラのような「家電のデパート」的なものはない。
ではどこで皆家電を買うのかというと、ネット注文またはデパート(ものによってはイケア)である。デパートもどこにでもあるわけではない(ロンドンなら中心部に固まっているか、郊外にたまにぽつんとあるくらい)ので、ネット注文が多いのではないだろうか。
特に多くの人が使っているのが、Argosという大手通販会社だ。細々とした日用品から電化製品、ガジェット、家具まであらゆるものを扱っている。
Argosの店舗は街のいたる所にある。だが、中に入ると商品は何も置いていない。紙のカタログや、オンラインで商品を検索できるディスプレイが設置されていて、あとは商品を受け取るカウンターがあるだけだ。
Argosでは、カタログで購入したい商品を調べ、ネットまたは店頭で注文する。自宅まで配送してもらうか、または指定したArgosの店舗まで配送してもらい取りに行くのを選べる。実物を見ずに購入が完結するのだ。
日本でもネット注文はだいぶ浸透しているが、家電量販店で実物を見ることはまだ全然できるわけで、個人的には色や形、機能を細部まで見られるのでそっちの方がいいなと思う。
レンタルビデオ店
レンタルビデオ店は、イギリスでは完全に廃れている。Netflixやアマゾンプライムなどのオンライン映像配信に完全にとって変わられたのだ。
日本にいた時はレンタルDVDをよく利用していたので、渡英してからロンドンでもそういうショップがないかと検索してみたが、数えるほどしかない上にほとんどは既に閉店していた。
DVD自体は完全に消滅したわけではなく、スーパーの一角や、パソコンやゲーム機などを売る店(上述した、たまにある小さな家電屋やガジェットショップ)でなどで売られている。あとはネットである。
ただ、ほとんどの人はオンラインの映像配信サービスを利用していると思われる。私ももう完全にネット配信の利用に移行してしまった。そして当然ながら、DVDを借りるよりも手軽さと便利さが段違いだ。
日本でもレンタルビデオ店の数は減少していると聞くから、「近い将来、日本もこうなるのかなあ」と思う。
インターネットカフェ
インターネットカフェは存在はするが、日本よりも数はかなり少ないし、そもそも店内の様子がだいぶ違う。
中には数台のパソコンが仕切って設置され、あとはコピー機。コーヒーや軽食を販売するカウンターが併設しているところもある。ボロボロだったり古ぼけた店舗も結構多い。
料金体系はサービスごとで、PC利用15分、30分、1時間ごとの価格、コピー機利用はカラー1枚Xポンド、モノクロ1枚Xポンド……というような感じ。
日本のように、明るく快適で個室があり、シャワーやマッサージチェア、漫画も揃っているなんて、そんな設備ではないのだ。フリードリンクや食べ物、アイスクリームなど出てくるわけもない。
イギリスではコピー機のあるコンビニが存在しないので、何かを印刷したりコピーするときにはこのインターネットカフェ頼みであった。が、あまりに店舗数が少ないのでとても不便。会社づとめの人なら、会社で私用のコピーも済ませてしまうのが普通のようだ。
ゲームセンター
子どもが遊べるようなゲームセンターは見かけない。
パブで昔の名残でピカピカ光るスロットマシンを置いている店や、フェリーの中でゲーセンコーナー的なものを見たことはあるが、それ以外でゲーム機の並ぶ空間を見たことがない。
クレーンゲームも、シューティングゲームも、ワニ叩き(懐かしい)も、太鼓の達人(今もあるのかな?)も、音楽ゲームも、プリクラも存在しないのだ。
一方で、イギリスはギャンブルが合法なので本物のカジノはある。大人の遊び場である。私は入ったことがないのでわからないが、もしかしたら、レーシングゲームやシューティングゲームなどの一部のゲームはカジノ内にあったりするのかもしれない。ないかもしれないが。
というわけで、日本では普通でも、イギリスにないお店は結構ある。私が一番恋しいのはコンビニである。24時間営業ではなくて全然構わないから、日本の食品や便利な日用品を売るあのお店がこっちに現れてはくれまいか、と夢見ているのである。
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