ロンドンの中心部やや北側にある、一大ターミナル駅のキングスクロスとセントパンクラス。
家の最寄り駅でもあるので数えきれないほど通っているが、なにせ広く複雑な構造の駅なので、都度新しい発見があったり、新しいイベントをやっていたりする。面白い駅だ。
この記事では、そんな面白い駅の魅力を伝えるべく、地元民ならではの目線を生かして2つの駅とその周辺を徹底的に解説してみる。もちろん、有名なハリー・ポッタースポットについても触れる。
目次
キングスクロスとセントパンクラスの違いとは?
キングスクロスという駅名は有名だが、実は同じ場所にもう1つ、隣り合ってセントパンクラスという駅がある。パリやブリュッセルに行く国際鉄道のユーロスターや、その他鉄道などが通っているインターナショナルな駅なのだ。
これがキングスクロス駅。
同じ広場にそびえるこちらがセントパンクラス駅。ハリポタ映画に出てくる「キングスクロス駅」の外観は、実はこのセントパンクラス駅が使われたので、これをキングスクロス駅だと思っている人も多い。
この教会のような建物は、実際に見てもらえばわかるが本当にかっこいい。個人的にロンドンの中で一番好きな見た目の駅だ。夜は夜で時計がライトアップされ、荘厳さが増す。
この2つの駅の違いは、通っている路線の種類である。キングスクロスには国内線の鉄道、地下鉄が通っており、セントパンクラスには国際線、国内線の鉄道が通っている。
ここからは、それぞれの駅の内部やショップ情報について詳しく紹介していく。
キングスクロス駅のサービス・ショップ情報
駅内には、ここですべてのものが揃ってしまうほど、多数の店やサービスがある。
キングスクロス駅は内部のデザインも美しい。
ロンドンの外へ行く電車が数多く発着するため、空港のような巨大な電光掲示板がある。
ピーク時には、多くの人がこの掲示板の前に集まり自分の乗る電車をチェックする。
出口の1つに通じるカラフルな通路。綺麗で写真映えするので、観光客に人気のスポットだ。
駅内の移動に時間がかかるので乗り換えは余裕を持って
キングスクロス駅内は、多くの路線が乗り入れており、広く複雑である。
各地下鉄の路線や鉄道は、頭上にある案内板に沿って行けば案外簡単にたどり着ける(鉄道の場合は、自分が乗る便が何番のプラットフォームから出るのか、↑のような電光掲示板で確認し、案内板通りにその番号へ行く)が、それでも結構な距離を歩かされる。
また、トランクを持った観光客で混雑するため、すいすいと歩けないこともある。
なので、慣れていない場合、キングスクロス駅の乗り換えには時間に余裕を見た方がいい。
キングスクロス駅に通っている路線
チューブ(地下鉄)
※地下鉄の駅は「King’s cross St. Pancras」の表示となっている。
これは12月に撮ったチューブ入口。サンタが出没したりする。
ロンドンチューブは6種類の路線が通っている。
- ヴィクトリアライン
- ノーザンライン(北側路線)
- ピカデリーライン
- サークルライン
- メトロポリタンライン
- ハマースミス&シティーライン
最後の3つ(サークルライン、メトロポリタンライン、ハマースミス&シティーライン)は、同じプラットフォームを共有している。
鉄道(国内線)
イングランド北部、東部、スコットランドとの境までの電車が運行している。
- ノースイースタン
- ハル・トレインズ
- グランド・セントラル
- グランド・ノーザン
キングスクロス駅のショップ・サービス一覧
駅内に地図やフロア案内もあるが、ウェブ上で見ることもできる。
カフェ・レストラン
すべてチェーン店である。
- Caffe Nero(カフェ)
- Costa(カフェ)
- Pret A Manger(カフェ。上の写真参照)
- LEON(カフェ)
- Starbucks(カフェ)
- Pasty shop(屋台のベーカリー)
- Upper Crust(屋台の軽食販売)
- The parcel yard(ハリポタショップの隣にあるパブ。ハリポタショップの箇所で説明↓)
- Benitos Hat(メキシカンレストラン)
- Giraffe world kitchen(多国籍レストラン)
- Prezzo(イタリアンレストラン)
- wasabi(パック寿司の店。イギリスに住む日本人の生魚欲の応急処置として名高い。サーモンは美味しい)
スーパーマーケット
- Little waitrose
- M&S
どらちもイギリスのチェーンスーパーでは高級志向のレストラン。
詳しくはこちらをどうぞ→イギリスのスーパーの種類と格付け表
ショップ
- Boots(イギリスのマツキヨ的存在のドラッグストア。軽食や飲み物も売っている)
- Excess Baggage(荷物預り所&観光客案内)
- Hotel choclat(チョコレートブランド)
- International Currency Exchange(両替)
- Isle of Flowers(花屋)
- Kiehl’s(美容)
- Rituals(美容)
- Urban Decay(美容)
- Oliver Bonas(服飾)
- Pandora(ジュエリー)
- Paperchase(文房具)
- WHSmith(雑貨屋。雑誌や新聞、お菓子なども販売)
その他のサービス設備
- トイレ
- ATM
- 証明写真機(上の写真)
- シャワー
- タクシー乗り場
- 公衆電話
- 券売機
- チケットオフィス
駅内案内図はこちらからPDFをダウンロード。グーグルマップで目的の設備を探してもいいと思う。
ハリポタショップと9と4分の3番線
さて、キングスクロスが有名になった理由の1つが、「ハリー・ポッターの舞台になったから」である。キングスクロス駅はホグワーツ特急が発車する場所として、同作の中に登場する。
ホグワーツ特急が出る9と4分の3番線は、もちろん現実には存在しなかったわけだが、今はある。
こちらである。
今やこの「9と4分の3番線」プレートが掲げられた場所は、観光客の写真撮影スポットと化し、長蛇の列ができている。スタッフが待機しており、無料で小道具と一緒にハリポタ風の写真が撮れるのだ。
ここには写っていないが、スタッフがハリーのマフラーなどを貸し出してくれ、シャッターを押してくれる。
9と4分の3番線に行くにはマップを使おう
9と4分の3番線は、なんとグーグルマップにも乗っているので、マップを見ながら行くとよい。
ちょっとわかりにくいが、改札の外、地上階(日本で言えば1階)にある。地下ではないので注意。
その横にはハリポタショップが。
ハリポタファンにはたまらないグッズがずらり。それぞれの寮をイメージしたグッズも展開中。
最新作の「ファンタスティックビースト」のグッズもあった。
そしてショップを挟んで「9と4分の3番線」の反対側にある階段を上っていくと、チェーンパブのFullar’sがある。ここはイギリス料理であるいろいろなパイが食べられる。結構美味しいので、パブの雰囲気を体験しながらイギリス料理を食べて見たい人におすすめ。
ハリポタショップ近くの出口から外に出ると、夜にレインボーに光る謎の物体がある。
実はこれ、ブランコなのだ。子どもよりも大人がこいでいるのをよく見る。
昼間はこんな感じ。めちゃくちゃ地味である。夜になると輝き出す。
さて、この広場からはセントパンクラス駅にも行ける。この写真の左側に少し移動すると……
セントパンクラス駅のサービス・ショップ情報
こんな近代的な建物が現れる。最初に紹介した教会のような建物につながっている。どちらもセントパンクラス駅である。とても巨大なのだ。
どこから入っても中でつながっているので問題ない。
セントパンクラス駅とキングスクロス駅は中でつながっているわけではないので、乗り換えの場合は一度外に出る必要がある。
中はこんな感じ。国内線と国際線の鉄道が通るターミナル駅である。
建物は1868年に開業した当時の、ヴィクトリア朝ネオ・ゴシック建築をそのまま残している。
内部も大変美しい。
セントパンクラス駅に通っている路線
鉄道(国内線)
- テムズリンク(写真参照。この路線はガトヴィック空港に行く。)
- サウスイースタン
- イースト・ミッドランズ
ユーロスター(国際線)
ユーロスターは、陸路で直接ロンドンからフランス、ベルギー、オランダに移動できる国際鉄道である。
- パリ行き
- ブリュッセル行き
- アムステルダム行き
が走っている。路線によって、途中それぞれの国の他の駅に止まることもある。
※2019年1月現在、オランダ→ロンドンの便は直通便がなく、ブリュッセルで乗り換える必要がある。
ユーロスターが発着するホームの外には、抱き合うカップルをモチーフにした巨大な彫刻がある。現代アーティストの作品だ。
Paul Day「The meeting place」2007年 ブロンズ
真下から見ると迫力満点。ユーロスターで旅行してロンドンに帰ってくると、いつもこの像が出迎えてくれる。
セントパンクラス駅のショップ・サービス一覧
セントパンクラス駅の駅内マップはこちら。
セントパンクラス駅内には、ショップや飲食店がずらりと並ぶ通路がある。ここでは左右両側に店が並ぶ。
キングスクロス駅よりも店の数が多く、イギリスならではの店舗がたくさん入っているので、お土産購入にも最適だ。
ベルギーのチョコブランド、ゴディバ(イギリスのゴダイヴァ夫人の伝説にちなんで名づけられたので、イギリスとも全く関係がないわけではない)から、
有名なイギリスのおもちゃ屋ハムリーズの支店(本店は中心部のリージェント・ストリート)、
イギリスのデパート、ジョン・ルイス(旗艦店はオックスフォード・ストリート)までさまざまな店が入っている。あと紅茶で有名なフォートナム&メイソンの店舗も入っている。
この通路の途中にはユーロスターの乗り場がある。国際線なので、ここを抜けた先でパスポートチェックがある。
そしてこの通路には、誰でも自由に使えるピアノが設置してある。
これは先日見かけた演奏風景。このように通りすがりに一曲弾いていく人が結構いる。
ロンドン内には、ここだけでなく複数の駅にこういうシェアピアノが設置されている。
ここからはショップリスト。
カフェ・レストラン
- AMT coffee(カフェ)
- BENUGO(カフェ)
- CAFFÈ FRATELLI(カフェ)
- CHOP’D(カフェ)
- Pret A Manger(カフェ)
- Starbucks(カフェ)
- LE PAIN QUOTIDIEN(ベーカリー)
- PATISSERIE VALERIE(ベーカリー)
- PAUL(ベーカリー)
- FORTNUM & MASON(紅茶。ショップだがティールームもあり)
- JOE & THE JUICE(スムージーバー)
- THE BARREL VAULT(パブ)
- THE BETJEMAN ARMS(パブ)
- PRIME BURGER(ハンバーガー)
- MI + ME(ハンバーガー)
- ST PANCRAS BRASSERIE BY SEARCYS(レストラン・バー)
- SOURCED MARKET(カフェ・バー)
- YO!(寿司レストラン……日本人にはおすすめしない)
- THE BOOKING OFFICE BAR(駅に併設しているホテル内のバー。この記事の最後の方で改めて紹介)
- MARCUS WAREING’S GEORGE’S BAR(上と同じ、併設ホテル内のバー)
- THE GILBERT SCOTT(併設ホテル内のレストラン)
スーパーマーケット
- M&S
ショップ
- Excess Baggage(荷物預り所&観光客案内)
- iSmash(ガジェット修理屋)
- Accessrize(アクセサリー)
- ASPINAL OF LONDON(ジュエリー)
- LINKS(ジュエリー)
- Boots(ドラッグストア)
- Cath Kidston (服飾)
- DUNE LONDON(服飾)
- FatFace(服飾)
- GANT(服飾)
- Joules(服飾)
- Kate Spade(服飾)
- L.K.Bennett(服飾)
- M&S(スーパーもあるが、こちらは服飾の店舗)
- Oliver Bonas(服飾)
- Petit Bateau(服飾)
- TED BAKER(服飾)
- WHISTLES(服飾)
- CALVIN KLEIN underwear(下着)
- CHANEL(美容)
- Eyecandy (美容)
- L’OCCITANE(美容)
- M∙A∙C(美容)
- Neal’s Yard(美容)
- ST PANCRAS SPA(スパ)
- JO MALONE LONDON(香水)
- John Lewis(雑貨)
- kikki.K(雑貨)
- THE WHITE COMPANY(雑貨、インテリア)
- THINGS BRITISH(雑貨)
- WHSmith(雑貨屋。雑誌や新聞、お菓子なども販売)
- Paperchase(文房具)
- Moyses Stevens(花屋)
- ROLLING LUGGAGE(旅行鞄、トランク)
- Hamleys(おもちゃ屋)
- Hatchards(本屋)
- GODIVA(チョコレートショップ)
- FORTNUM & MASON(紅茶。ショップだがティールームもあり)
- LADURÉE(マカロン)
- Nespresso Boutique(コーヒー用品)
その他のサービス設備
- トイレ
- ATM
- アクセス補助
- 充電場所
- 証明写真機
- 紛失物預り所
- タクシー乗り場
- 公衆電話
- 券売機
- チケットオフィス
隣接するホテルもかっこいい
セントパンクラス駅と建物をシェアしているホテル「St. Pancras Renaissance Hotel 」も見ごたえがある。
この威厳。夜にはライトアップされ、これがまた美しいのだ。
中には素敵なバーもある。上のレストランリストでもあげたバーのうちの1つ、「THE BOOKING OFFICE BAR」は、ちょっとお高めだが内装がとても素敵なので、雰囲気ある夜の時間を過ごしたい時におすすめ。
まるで教会の中にいるよう。
カクテルはオリジナルメニューがいろいろあるので、新しい味に出会えるかも。
セントパンクラス駅の隣は大英図書館
このホテルのすぐ隣には、世界最大級の図書館、大英図書館がある。
元は大英博物館の図書室を分離し、それに他の図書館を統合して作った施設だ。日本の国立国会図書館のような位置づけで、あらゆる種類の古書や貴重な書物を所蔵している。一般客の他、研究のために訪れたり、勉強スペースとして使ったりしている人で賑わっている。
常設展(無料)と、期間限定の特別展(有料)も開催しているので、普通の観光でも楽しめる。特に、常設展では1000年以上前の装飾写本や、シェイクスピアの直筆、ヘンデルの楽譜、マグナカルタの原本などさまざまな貴重な文書や書物を間近で見ることができる。
月曜~木曜は20時までと営業時間が長いのも嬉しい。
夜間開館しているロンドンの美術館・博物館まとめ(姉妹サイトに飛びます)
さて、この2つの駅の魅力、おわかりいただけただろうか。
楽しく綺麗な光景だけをお望みの方は、これ以降は読まず、そっとブラウザを閉じて美しいものを美しいままにとどめておいてもらいたい。
美しい駅の舞台裏
光があれば影がある、ということで、ここまではキラキラな部分だけを写してみたが、まあここは現実的にロンドンなわけで。ロンドンには汚い街並みも相当あるわけで。そして実際にこの駅に来てしまうと、そういうところも目の当たりにしてしまうわけで。
キングスクロスとセントパンクラス、現実編をちょびっと写してみた(もちろん駅内のショップとか素敵な建築とかも現実だけど)。
駅の付近には、大量の鳩がいたり、汚くごみごみした道路がある。
こんな……(これはセントパンクラス駅沿いの道路。鳩の落とし物だらけ)
Oh……(これはキングスクロス駅裏の通り)
ちなみに、撮っていないけれどホームレスの人の寝袋や荷物なども結構な割合で置かれている。
と、現実的な面も持ち合わせているこのエリアだが、駅内や大英図書館方面を散策するのはとても楽しいと思うので、観光でちょっと覗いてみたり、お土産選びに使うのをおすすめしたい。
コメント