イギリスの鷹狩り「falconry」について知ろう。見学できる場所と歴史について

広告
ロンドン・イギリス生活

先日、イギリスで鷹匠を見かけた。この記事では、その時の画像と共に、イギリスでの鷹狩りとその歴史について掘り下げていこうと思う。

広告

イギリスの鷹狩り「falconry」

英語では鷹狩りは「falconry」または「hawking」と呼ばれる(falconはハヤブサ、hawkは鷹のこと)。鷹狩りとは、鷹に獲物を狩らせるスポーツのこと。

鷹狩りのショーを見かけたのは、とある公園のイベント会場。ファミリー向けのイベントで、子どももたくさんいる中でのお披露目だった。

今回見たのは、本物の動物ではなく、紐にくくりつけた獲物に見立てたおとりを投げ回し、鷹に狩らせるというもの。

遠くからだが、飛んでる最中の動画も撮ったので参考までに。

何度かトライして、この後に見事成功していた。ひゅうひゅうと勢いよく上下する鷹は、空気を自在に操っているように見える。

ショー終了後、鷹匠が鷹を観客に見せているところに行ってみたら、鷹用テントがあった。どの鳥も5歳以上のベテランである。どれも飼育下で孵化したものだという。

フクロウもいた。大奥のような貫禄である。いわゆる「耳(に見える羽毛)」があるので、日本語だとミミズクと呼ばれるものの一種だろう。

イギリスの鷹狩りではフクロウも使われる。

随分ゆったりしていて大人しいな、と思ったらなんと御年31歳だという。長寿……。

ショーに出た小さな鷹(鳩より小さい)は、最年少の3歳。

お食事中のようで、小さな鶏をパクパク。足まで丸呑みしていた。

この鷹匠の方は、「鷹を訓練(train)するとは言いたくない。慣れさせる(tame)んだ」と言っていた。狩りの基礎を覚えさせるのには6週間ほどかかるという。

広告

イギリスではどこで鷹狩りが見られる? 

今回のショーは観光地の敷地内の公園で行われているところを偶然見つけたのだが、鷹狩りのショーやデモンストレーションを行う団体や施設はいくつかあるようだ。どれも有料。

こちらのサイトでは、異なる地域の鷹狩りイベントやコースを一括で検索できる。Falconry: Virgin Experience Days

The British Falconry Fair:2017年から行われている鷹狩りのフェア。2019年は6月29〜30日に北ヨークシャーで開催される予定。

The Falconry Centre:北ヨークシャーにある施設で、さまざまな猛禽類を見られる他、鷹狩り体験、コースにも参加できる。

Cheshire Falconry:イングランド北西部チェシャーにある施設で、夏季シーズンには鷹狩りのデモンストレーションを見ることができる。

The Hawking Centre:ケントにある施設で、鷹狩り体験ができる。アフタヌーンティーやランチがつくコースもあるようだ。

その他、「falconry(またはhawking)+地名」で検索すると情報がたくさん出てくる。

ロンドンではまず見られないと思っていた方がいい。突発的なイベントやパフォーマンスなどで行われることはあるかもしれないけれど。

イギリスでの鷹狩りの歴史

歴史上、鷹狩りは世界中で広く行われてきており、その始まりは紀元前3000年にも遡るとされている。だが発祥の地がどこであるかは明らかになっていないという。鷹狩りの最初の記録は、紀元前700年代のアッシリアの浮き彫りに鷹を従える男性が描かれているものだ。

また、東アジアでは紀元前680年の中国の鷹狩りの記録が見つかっている。日本では、『日本書紀』によると355年からすでに天皇による鷹狩りが行われており、鷹を調教する役職まであったという。それより前の古墳時代でも、鷹を腕に乗せる人物をかたどった埴輪が見つかっている。

ヨーロッパ全体にも古くから鷹狩りは浸透しており、イギリスには860年に伝達したとされている(参考:hisotory of falconry: The Falconry Centre)。アングロサクソン人支配下のイングランドでは、王侯貴族はもちろん、一般市民も鷹狩りを行っていた可能性が大いにあるという。しかし、ノルマン人が渡ってきてからは、鷹狩りは上流階級の特権として規制された。

こうした人々には鷹の専属訓練士がついており、狩りが成功した暁には、訓練士は高く賞賛されたという(その逆も然り)。王家の鷹匠ともなれば大いに尊敬され、王の側近のように扱われることもあったという。

イングランドでは1486年、当時の狩りや鷹狩りについて記した書籍「The Boke of St. Albans」も出版された。それによると、階級によって使う鳥の種類が異なり、どのランクの人がどの鳥を使うかまで詳細に説明されている。

銃が出てくるとその便利さにおされ、ヨーロッパでは1700年代後半から狩において鷹は使われなくなっていった。その結果鷹狩りは消滅しかけたが、イギリスでは1800年代後半〜1900年代前半に再び鷹狩りの人気が再燃、多くの書籍が出版された。

最古の鷹狩りクラブはイギリスにある

世界最古かつ最大の鷹狩りクラブは、イギリスのBritish Falconers’ Club (BFC)である。その前身であるOld Hawking Clubは1864年に誕生、BFCは1927年に設立された。現在では訳900人の会員が所属しているという。

鷹狩りを学ぶコースを提供したり、鷹狩りショーを行い鷹狩りの技術を広めたりする他、猛禽類の保護活動も行っている。

鷹狩りにはライセンスは必要? 

イギリスでは、鷹狩りをするのに特別なライセンスは必要ない。だが、規制や規則はもちろんある。

そのうちの1つが、「飼育下で繁殖した鳥のみを使う」ということ。なるほど、だから出会った鷹匠の鷹たちはすべて飼育下繁殖だったわけだ。

今回見た鷹匠の鳥用テント

実はイギリスで鷹狩りが正式に合法化されたのは1981年のことで、それ以降は鷹狩りに使う鳥は登録をしなければならなくなった。イギリスの法律では、飼育できる猛禽類の種類や数については特に定められていない。

コメント

タイトルとURLをコピーしました