イギリスでも手に入る生ニシンの塩漬け。それでなめろうを作ってみた

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イギリスの食文化

オランダ旅行で出会ってから恋に落ちてしまった、私が「西洋の刺身」と勝手に呼んでいる生ニシンの塩漬けがある。

生玉ねぎのみじん切りを乗せて、またはそれをパンに挟んで食べる、オランダ人のソウルフード。

オランダではHollandse NieuweやMatjes Haringという名前で販売されているこの魚、プリプリの食感の「生!」なニシンにほどよい塩気がのって、普段のロンドン生活で生魚に飢えている日本人(私)の胃袋にクリーンヒットした。

詳しくはこちらの記事で熱弁している。

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どうしてもこれを土産に持ち帰りたいと思ったのだが、これは限りなく生に近い(というか生)魚のため、消費期限は1日くらいが限度。イギリスでなんとか手に入らないものか、アンテナを張り巡らせていたら、見つけた。

ポーランド系のスーパーで見つけたもの。オランダのものと名前は同じMatjesで、中身は生ニシンのフィレが塩オイル漬けになったものが入っている。220gで2ポンドくらい。値段も経済的。

ちなみに、ドイツ人夫によるとドイツにも同じか似たようなものがあるらしいので、ドイツ、オランダ、ポーランドなどのあのあたりでよく食べられているものなのかもしれない。

オランダのものがただの塩漬けだったのに対し、こちらはオイルに浸かっているし、かなりしょっぱい。ただ、そのしょっぱさを野菜などで緩和すれば、ほとんどオランダの「西洋の刺身」と遜色ないクオリティである。

日持ちもする(3週間〜1ヶ月ほど)し、何より生魚の旨味とぷりっとした食感を味わえるので、見つけた時は本当に小躍りした。

店舗によっては、TescoやSainsbury’sのようなイギリスの普通のチェーンスーパーで売っているところもある(見かけることは少ないけれど)。

オランダにいた時を思い出しながら生玉ねぎを乗せて食べたり、写真のようにピクルスやレタスを加えてサンドイッチにして食べたりと、定期的にこのMatjesを補給している。ものすごく美味しい。

イギリスでは、近年の日本食ブームからサーモンやマグロなどの刺身は割と簡単に手に入るが、こういう生の青魚は本当に貴重なのだ。

しばらく普通にこのMatjesを楽しんでいた私だったが、「もしかしたらこれでなめろうを作れるのでは……?」と思い立ってしまった。

私は和食が好きで、魚が好きで、酒飲みで、日本にいた時はなめろうは好きなつまみランキングのかなり上位に位置するものであった。だが悲しいかな、イギリスに来てからというものお目にかかれることはめったにない。自作しようとしても材料すらないのだ。

ちなみに、本来のなめろうの材料であるアジはイギリスに存在しない。スーパーではもちろん、魚屋でも売られていない(注文すれば特別に仕入れてくれるところもあるかもしれない。あとは日系の魚屋とか。干物を売っている日系スーパーはある)。

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おそらく、生(っぽいクオリティ)で割と手に入れやすいアジに近い魚はこのMatjes(ニシン)なのでは……? と気づいた。

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このニシンで「なめろう」を作ってみた

思い立ってしまったものはしょうがない。やってみるしかない。

こんな感じのフィレが3枚入っている。油まみれなのでキッチンペーパーで油を拭き取る。

問題は塩辛さだ。これだけで食べるとかなりしょっぱいので、しっかり塩抜きをするか、甘めの白味噌などを使うなど工夫が必要。

今回は20分ほど塩抜きしてみた。だが焼け石に水だったということが後に判明する。

なめろうに入れるネギの代わりに、リークを切る。リークは下仁田ネギみたいに太いネギ系の野菜で、まあ風味もネギっぽいのでこれをみじん切りにする。

スプリングオニオンと呼ばれる、小さくて日本の長ネギにやや似ているものの方がより良いかもしれないけれど、我が家にはリークしかなかったのでこれでよしとする。

みじん切った。

風味はこの勇士たちに活躍してもらう。真ん中と左のにんにくチューブと生姜チューブは、イギリスのチェーンスーパーTescoで買ったもの。イギリスでは生姜やにんにくのみじん切りや乾燥粉末などは売っているが、すりおろす状のものはやや珍しい。だが手に入らないわけではない。

右のしそチューブは、日本から持ってきたもの。これでもかなり美味しい。なくてもなめろうは作れると思うが、今回作ってみて、なめろうにしそはかなり重要だと思い知った。また帰国時に大量に持ち帰りたいと思う。

そしてニシンを叩いていく。塩抜き20分だけだと、まだ全然しょっぱかった。数時間は必要なのかもしれない。でも時間がないので今回はこれでやっていく。

しっかりと叩く。身が柔らかいので簡単。

ネギとニシン、上記のチューブたちと白ごま、そして味噌と醤油をほんの香り付け程度に入れて(ニシンに十分すぎるほど塩分があるので)よく混ぜる。手でしっかりこねるように混ぜた。

完成。

正直、期待を上回るクオリティで感動した。酒が進む進む。この国で作れるものとして、一番なめろうに近いのではないか。

本物とイコールまではいかないが、かなり美味しい。イギリスでこれが食べられるなら御の字だ。これからリピートすること間違いなし。もはやこのためにMatjesを買い続けたい。

想定していた通り結構しょっぱいので、つまみにはいいけれど、塩辛さ緩和にネギをもっとモリモリに入れるといいかな。次回は塩抜きをしっかりしてもう少し味噌をきかせられたら最高だな。

かなり良いできになったので満足。やってみるもんですね。


その他、イギリスで日本食を充実させようとトライした記事はこちら。

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