以前、「ドイツ人の夫が好きな日本食・嫌いな日本食」という記事を書いた。あれから2年、彼の日本食への反応が変化してきたのでまとめてみたいと思う。まだこの記事を読んでいない人はよければどうぞ。
ちなみに、以前書いた「好きなもの」は継続して好きなようだ。
目次
枝豆愛はさらに深まる
最初に食べた瞬間からハマり、私より枝豆好きになった彼は、ついに大型スーパーで冷凍の枝豆を売っているのを発見し頻繁に買ってくるようになった。
この冷凍枝豆、さやから出した豆だけの状態でパックされているので、ちょっと日本人からすると物足りない。さやからぴょこって出すあの仕草がないので……。
しかし彼も「本当はさやに入ってるといいんだけど……」と懸念を抱いていることがわかったため、「韓国系スーパーや日系スーパーならさや入りが売っているよ」と伝えてあげた。まだ自分一人で行ったことのないアジア系スーパーに足を踏み入れだすのはいつになるか、楽しみである。
寿司と刺身がますます好きになった
この2年で、ロンドンでもリーズナブルで美味しい日本食レストランや寿司屋をいろいろ開拓して、彼を連れて行った。美味しい刺身や寿司に出会えたこと、何度も食べて味に慣れてきたとか要因はいろいろあると思うが、さまざまな魚を紹介しながら食べさせていくうちに、寿司大好きドイツ人がここに誕生した。
「お寿司でも食べに行こうか」というと目が輝く。最近は週一くらいの頻度で「刺身が食べたい」と言い出すようになった。肉と芋の国から来て生魚など食べたこともなかった頃に比べると、だいぶ変わったねえ……と感慨深い。
特に好きなのは、サーモン、マグロ、ハマチ(イギリスではイエローテイルという。レア魚)。以前は苦手だったホタテも少しなら食べられるようになったし、手をつけなかったイクラも少しならつまむようになってきた。
ただやはり、エビ、タコ、イカ、ホタテ以外の貝類などは、依然として苦手。
つい最近、我が家で日本人の友人と刺身会をした。生魚に飢えた人々が刺身を売っている魚屋で生魚を買い込み、「思いっきり生魚を食べよう」とキャッキャウフフする会である。夫も参加した。友人がちゃんとした包丁を持ってきてくれて、華麗に柵をスライスしてくれ、美しい刺身がたっぷりできた。
その時の様子。酢飯や日本酒も用意して、宴会。美味で楽しい夜となった。
包丁と砥石に目覚める
この会に感激した夫は、その後包丁と砥石をAmazonで購入する。
イギリスでの日本の包丁の質と日本人シェフの技術は名高く、日本の包丁はかなり高い値段(100ポンド以下はまずない)で売られている。
ちなみに私は、スイスのメーカーvictrinoxが出している日本の一般的な包丁と同じ型(三徳包丁)を渡英時に購入し、ずっと愛用している(40ポンドくらい)。
砥石は持っておらず、これまでは日本の友達に買ってきてもらった小型の包丁研ぎ器を使っていた。
夫はさすがに日本の包丁は買わなかったものの、「シェフナイフ(chef’s knife)」と呼ばれる万能なタイプを購入した。砥石購入の際には「包丁やその研ぎに関しては日本人が参考になるから、どんなものがいいのか日本語で調べてほしい」と言われ、リサーチに駆り出された。
砥石が到着すると即座に家にあったすべてのナイフ、包丁を研ぎまくり、知らぬ間にあらゆる刃物がキレッキレになっていたのが嬉しい驚きだった。
早速その週末に刺身の柵を買ってきて、「うおお~すごい切れる!」と感激していた。とにかく刺身を切りたかったらしい。
日本酒を自腹で買い出す
寿司とくれば日本酒は外せない。レストランで日本食と一緒に日本酒を(私に付き合わされて)飲んでいるうちに、日本酒の味になれてきたようだ。
近所のスーパーで、アジア系スーパーでないのに珍しく日本酒を売っており、自分でもたまに買ってくるようになった。ただ、安価なだけあって質はまあそれなり。美味しい日本酒はとても高いのであまり買ってこれないのだが、いつか日系スーパーで美味しいのを仕入れて飲ませてあげたい。
徳利とおちょこのセットを買う
ずっと日本酒の徳利やおちょこは買わずにすませてきたのだが、日本食レストランでおちょこで飲むスタイルにだんだん慣れてきた夫は、なぜかいきなりある日スイッチが入った。
夕食の寿司のお供用に日本酒を買いに行った時のこと。
突然「ダメだよ! 日本酒はサケグラス(おちょこのこと)で飲まないといけないんだ! 買わないと!」と言って、その時近くにあった韓国系スーパーに突入し、よくわからない柄(甲骨文字? の柄が入ったもの)の徳利とおちょこセットを衝動買いしてきた。
それがこれである。今度、可愛いおちょこを日本の実家から持ってこようと決意している。
最近はこのセットで日本酒の晩酌を楽しんでいたりする。感慨深い。(2度目)
炊飯器の利便性を理解し始める
渡英してしばらくはこっちで売っている安いライスクッカーを使っていた。一応米が炊けるとはいえ、日本の炊飯器とは利便性と質に雲泥の差がある。
日本に一時帰国した際に炊飯器を持ってきた時、夫は最初は「使い方がわからないから(表示は英語なのに)」、「そんなにライスクッカーと違うの?」と慣れないものに手を触れず遠巻きに見ていた。
だが、よくマッシュポテトを作って食べる夫は「スチーム」機能が芋を蒸かすのに大変便利であることを発見し、それからはしょっちゅう使うようになった。
- 調理時間を指定できる
- 自動で調理が止まる
- 自動で保温してくれる
このあたりが最大の利便性だろう。
最近は米と芋で炊飯器の取り合いになることもあり、私が「元々ポテトは炊飯器使わず鍋で蒸してたじゃん。鍋でやれば?」と言うと「うう……そうだけど……」と躊躇している。どんどん炊飯器を好きになっているようだ。
生の卵にも理解を示しだす
以前は、半熟卵やポーチドエッグは食べても生の卵は食べなかった。が、最近はものによっては完全に生の卵も食べるようになった。
例えば、余った刺身をヅケにしてユッケ風に卵黄を落としたものとか。すき焼き風の煮物の時の生卵とか。抵抗がなくなったらしい。元々卵自体は大好きなので、生の卵黄も美味しいとわかれば喜んで食べている。
ただ、まだ卵かけごはんは食べない……。
イギリスでは、衛生的な意味で生卵がちゃんと食べられる。詳しくはこちら。
イギリスでは生卵が食べられる! 政府公認の安全な卵の見分け方とは?
日本の洋食にも理解を示しだす
以前、自分用にオムライスを作ったら、「それ何?」と訊かれたのでどんな料理か説明した。すると「ああ、俺も学生時代お金がなかった時パスタにケチャップ混ぜて、卵乗せて食べたりしたよ」と「貧乏飯の1つ」みたいな扱いをされた。
違うし!!
しかもナポリタンなんかほとんどそんなレシピなんですが、と思いつつ、その後何度か美味しいオムライスとナポリタンを作る研究を重ねた。
今ではオムライスとナポリタンを出すととても喜ぶ。日本の洋食は勝利を収めた(何に)ので満足である。
お箸を好んで使うようになった
以前より箸を進んで使うようになった。家で日本食を作ると、「これはお箸で食べるもの?」と訊いてくる。「私はお箸で食べるけど、別に好きなもの使えばいいんじゃない?」と言うけど、私が箸で食べるものは真似して箸で食べている。
最近は焼き鮭を箸で食べようと頑張っていた。こちらだと魚もフォークとナイフが常なので、皮から身を外したりするのがちょっと難しかったようだ。
頑張ってお箸使おうとしているのは微笑ましいなあ、と思うけれど、たまに日本人でも箸で食べないようなものに挑戦している時がある。
お店でビビンバを箸で食べていたので、「スプーンの方が食べやすくない?」と言って私がスプーンで食べていたら「なぜだ! ずるい!」と謎にいじけていた。
上で書いた、さやから出した豆だけの枝豆を、お箸で1つ1つつまんで食べようとしている姿も見たことがある。
相変わらず苦手なもの
寿司のところで書いたように、エビ、貝やイカタコは未だにだめ。なので天ぷらやエビフライも好きではない。
納豆も相変わらずNG。豆腐も相変わらず食べない。油揚げは少量なら食べる。
味噌汁も飲めと言われれば飲めるけど、特に興味はないようで、定食でついていると私にくれたりする。
以前に比べてかなりいろいろ食べられるようになったし、日本食をどんどん好きになってくれているので、私としては嬉しい限りだ。
日本食大好きなイタリア人の友達の話はこちらから。
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