ロンドンの中心部に野生の狐が出没。なぜ狐が都会のど真ん中に沢山いるのか?

ロンドンには野生の狐がいる。しかも、郊外でなく観光地がひしめく中心部にもいる。

観光など短期間の滞在だと見ることはないかもしれないが、数年住んでいれば、狐と遭遇することは珍しくないのだ。

ここでは、イギリスの都会の狐について、気になる点を調べてみたので紹介したい。

ロンドンで見た狐たち

これは私が渡英したての時に住んでいた家の近所に現れた狐。どこかの家が放棄したゴミを漁っている。

写真を撮っていたら気づかれた。この場所はロンドンのゾーン3で、都心部まで電車で30分くらいの住宅地である。

この動画は、ロンドン中心部(ゾーン1)、ロンドンナショナルギャラリーに近い小さな公園で撮ったもの。

こんな大都会の中に狐が複数住んでいるなんて…。

食べ物と住処を求めてやってくる

さて、彼らが都会に住む目的は食べ物と住処である。

イギリス大手ニュース「ガーディアン」にこんな記事があった。

Foxes surge into England’s towns and cities

この2017年の記事によると、イングランド内で都会に住み着いている狐は15万匹に及び、過去20年間で4倍になったという。ロンドンだけでなく、狐を都会で見かけるのはどの都市でも当たり前のことになってきているようだ。

イギリス全体の狐の生息数は減っている。しかし都会に住む狐の数は増えている。人間の住む範囲が広がり、野生の生き物が都会に住むしかなくなったことが、この変化を起こしているのだろう、と記事にはある。

実際、イギリスの人口は年々増えており、人間の居住範囲が広くなっているきているのは間違いないだろう。

【統計で見る】イギリスの人口が史上最多に。人口増加の原因とは?

また、野生で獲物を見つけるよりも都会で食べ物を漁る方が簡単だ。そして都会に住む狐が増えるほど、繁殖の相手も見つけやすくなる。

狐が人間に及ぼす影響とは

自治体によっては、都会に狐が増えたことを考慮して、その影響について周知しているところもある。

ロンドン西部のKensington and Chelsea区域の自治体は、「Urban Fox(都会の狐)」というウェブページを公開している。

それによると、狐の人間社会への影響は、以下のようなものである。

  • 繁殖期の夜間に出す大きな鳴き声、狐同士の戦い、またゴミ袋を破るなど(ただ、狐の繁殖期は1年のうち数週間程度で、またゴミ袋を漁るのは狐だけでなく猫や犬もするため、すべてが狐のせいではない)。
  • 人間に対する攻撃の危険性として、狐が人間の子供を攻撃する確率は極端に低く、犬による被害の方が遥かに多い。
  • 猫にとっては狐は脅威となりうるが、狐は猫の死体を食べることがあるが、攻撃することは大変稀である。
  • ウサギやモルモットなどのペットは狐に襲われる可能性がある(でもノラネズミを食べるため害獣駆除にも一役買っている)。

狐への対処法として、以下のことが推奨されている。

  • 食べ物のゴミを放置せずに、狐の入れないところに保管する
  • 無害な化学物質を用いる(一定の期間を要する。また毒を違法に用いた場合は罰金または実刑)
  • ペットフードを庭に残さない
  • ドアや窓を開けっぱなしにしない など。

狐由来の病気のリスクはあるのか

狐に関する情報を提供している自然環境保護団体「The Fox Project」によると、現在、狐による病気感染のリスクはゼロか、限りなく低いという。

狂犬病がイギリスで最後に流行したのは1902年のことで、また犬パルボウイルスや犬ジステンパーは、これまでイギリスの狐からは検出されていない。

妊婦にとって危険なトキソプラズマ症は、家猫からの感染が主で、狐からは感染しない。

また、万が一狐に噛まれた場合でも、家猫に噛まれるよりも病気感染のリスクは少ないという(もちろん気になるなら病院に行ったほうがいいだろうけど)。

狐に被害を被っている場合、駆除する場合の方法

自治体では、狐の駆除は行っていない。コストがかかりすぎる上、成功率が低いためだ。このウェブサイトによれば、現在、合法的に狐を駆除するのは2つの方法があるという。

一つは、獣で撃つ方法である。だが、都会の中では危険すぎる。もう一つは、ケージに捕えて、獣医に安楽死をさせることである(安楽死は獣医師かできない)。だが、ほとんどの獣医は、健康な生き物を殺すことを好まないので、依頼できる可能性は低い。

それとは別に、害獣駆除業者で狐を殺すところはあるが、そうしたサービスを利用する際のコスト、リスクマネジメントはすべて自己責任だとも言及されている。

都会の狐を駆除するのはほぼ現実的ではないという印象を受けた。

イギリスでは狐はペットにできるのか

イギリス政府によると、狐を飼うことは法律で禁止されておらず、届け出も必要ない。つまり犬と同じように飼えるということだ。

ただ、飼っている人は大変稀だし、動物関連のチャリティ団体では狐をペットとして飼うことは反対する声を挙げているところもある。

理由としては、沢山の運動スペースを必要とすること、臭いがきついこと、人間に慣れている生物ではないこと、トイレのしつけができないこと、餌が犬や猫より複雑であることなどさまざまなものがある。


ロンドンで見つけた動物全般に関する記事はこちら。

犬、猫、キツネ、カモメ、白鳥…イギリスの日常で見かける動物たち

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