以前、「イギリスのポンドは現地では違う呼び方が使われることがある」という記事を書いたが、今回は金額に関するイギリスのスラングについて。
目次
5ポンドと10ポンド
5ポンド札のことはファイバー(fiver)、10ポンド札のことはテナー(tenner)という。カジュアルな言い回しである。
おそらくこの2つがここに挙げたスラングの中では一番見聞きするものでないかと思う。とはいえ、私は日常的にそこまで頻繁に聞くことはないが……(気づいてないだけかも?)。ネット上のコメントとか、新聞ではそこそこ目にする。
その他、日常的に使われるお札である20ポンド札は、「スコア(score)」と呼ばれることがあるらしい。
それ以外の金額の呼び方
ここからは豆知識的な、その他の金額のスラング。私は実際には聞いたことがないが、今でも使われているそう。50ポンド以外は、以下の金額のお札は発行されていない。なので札ではなく金額を指す呼び方。
25ポンド:ポニー(pony)
こちらはロンドンの労働者階級の訛り(コックニー)由来の言葉だという。ポニーはあの馬のポニーのことで、19世紀にイギリスの植民地であったインドから帰ってきたイギリス兵が持ってきたルピー札に由来する。25ルピー札にはポニーが描かれていたことから、これが25ポンドを示すスラングとなった。
50ポンド……ブルズアイ(bullseye)
こちらもコックニー由来。詳しい起源は不明だが、ターゲットの中央部分(↓)を英語では「bulls-eye」といい、そこにダーツが刺さった時のスコアが50点であることから来るという説を見つけた。
50ポンド札はあるにはあるが、これも日常生活では絶滅したに近い。ATMで50ポンド以上引き出してもすべて10ポンドまたは20ポンド札で出てくるし、店によっては50ポンド札での支払いを受け付けていないところもある。
100ポンド……トン(ton)、センチュリー(century)、ビル(bill)
トンは通常1000㎏を指す単語なのに、なぜ100ポンドなのだろう? こちらは、お金だけでなく時速やクリケットの試合のスコアなど、さまざまな場面で「100」を表すのに使われるらしい。
起源を調べてみたが、どうやらこれもコックニー由来であるということ以外、あまり明確な答えが見つからなかった。有力そうなのは、船の登録トン数にまつわる説だ。
1800年代にイギリスで船の容積を1トン(1000㎏)=100立方フィートと定める登録トンが決められた。この100という数字と結びついた「トン」という言葉が、ロンドンの船場で荷揚げをする労働者階級にスラングとして広まったのではないか、ということだった。
500ポンド……モンキー(monkey)
こちらもコックニー由来で、ポニーと同じく500ルピー札に猿が描かれていたからだという。
1000ポンド……グランド(grand)
これはアメリカでも1000ドルを指すのに使われる。また、日本でも使われている、1000を表す記号である「k」もイギリスでよく使用される。一番目にするのは、求人募集の給与欄かな。「salary: 30k-35k(3万~3万5000ポンド)」みたいな形で表記されている。
これ以外にも、コックニーでは特殊なスラングにより5ポンドのことを「レディ・ゴダイヴァ」と呼ぶなど、いろいろ面白いものがあるらしい。
ポンドに関しては、こちらも併せてどうぞ。
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