ロンドンの気になる駅名・地名(前)その歴史と由来を探る【なぜそんな名前に?】

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英語

ロンドンで日々使っている駅には、よく考えてみると「なんでその名前になったんだろう?」と思うものが結構ある。

そこで、今回は独断と偏見でロンドン内の駅の名前をピックアップし、その由来を調べてみた結果を発表する。

駅名は基本的にそのエリアの地名や道、橋の名前などからつけられていることも多いので、駅名の元となった地名の由来も追える限り追ってみた。地下鉄、オーバーグラウンド、DLR、鉄道など、ロンドン内を通る電車のすべての駅名から、個人的に気になったものをチョイス。

探した結果情報があまり見つからなかったものは省いてある。歴史的に興味深いものも多くあるが、「なーんだ」となるあっさりした由来の駅名もある。それらも、疑問が解消できたという点で意義があるのでそのまま載せていく。

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Baker Street(ベイカー・ストリート)

シャーロック・ホームズでよく知られている同名の通りからとられた駅名。ベイカーというくらいだから有名なパン屋があったのかと思いきや、全然違った。1755年にこの通りを設計したウィリアム・ベイカーという人物からとられた名前だったのである。この人物に関してはあまりめぼしい記録が残されていないようだ。

ただまあ、ベイカーという姓自体が、起源はパン屋から来ているので元を辿れば、パン屋……かな……?(笑)。

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Borough(バラ)

有名観光地のバラ・マーケットでこの名前になじみがある人も多いのではないだろうか。

boroughとは、普通の名詞で使う場合には「行政区」というような意味となり、イギリスで暮らしているとちょくちょく目にする。例えば、ロンドンには32のboroughがあり、「Westminster」「Camden」というようにそれぞれの名前がついている。ロンドンだけでもそんなに多くのboroughがあるのに、なぜこのエリアはただの「Borough」なのか?

それは、歴史上ロンドン中心部の範囲が今よりずっと小さかったことに関係している。現在政治の中心地であるウエストミンスターも、11世紀以前にはロンドン中心部には含まれておらず、別の街という扱いであった。

そして、ロンドンの郊外として認識されていたエリアは、現在のバラエリアが唯一のものであった。つまり、今よりずっと狭かったロンドン中心部以外にboroughとして区分けする必要があったのは、このエリアのみだったのである。他にboroughはないから、唯一の郊外エリアをそう呼んでも混乱は起きなかったわけだ。

Cannon Street(キャノン・ストリート)

同名の通りからとった駅名。キャノンとはいっても、大砲には関係ない。Candelwrichstreteという通りの名前が17世紀に省略されたものらしい。随分大胆な略し方をしたものだ。Candelwrichstreteは、1190年に初めて文献に登場する大変歴史ある通りで、「キャンドル職人がたくさんいる通り」を意味する。

Cockfosters(コックフォスターズ)

ロンドナーにネタにされやすい駅名。なぜかというと、cockはスラングで男性器を指し、またfosterは「育てる」という意味があるからだ。

だが、実は王族つながりの由緒正しい名前なのである。このエリアには王家の公園があり、その広さは約8000エーカーにも及んだ。そしてその広大な公園を管理していたのがforesterと呼ばれる森林管理人で、そのリーダーがcockforesterと呼ばれていたのだ。つまり、この場所は「cockforesterの住処」というわけである。

forestersのスペルがfostersになっている理由は不明だ。固有名詞になった時にスペルが変わったのだろうか。

Gospel Oak(ゴスペル・オーク)

そのままと言えばそのままなのだが、この周辺にあったオークの木の下に聖職者が定期的に集まりゴスペルを歌っていたことが由来だという。

オークの木が有名になったのは1700年頃で、この頃にゴスペル・オークという地名で知られるようになった。当時はオークの木が司教区の境に植えられていたそうだが、1800年頃には消えてしまった。

Seven Sisters(セブン・シスターズ)

このエリアは、少なくとも1700年代前半にはこの名前で知られていたようだが、その由来については諸説ある。広場の中心に、クルミの木を囲んでエルムという木が7本植えられていたためこの名前が付いたとされるが、これを基にさまざまな憶測が生まれた。14世紀にこの土地を所有していた人物の7人の娘を7本のエルムと結び付けたという説や、プロテスタントの殉教者の記念として7人の姉妹がエルムを植えたという説がある。

ちなみに、イングランドの有名な絶景ポイントにも同名の地名があるが、そこは7つの丘が並ぶ地形が特徴的なためであり、このセブン・シスターズとは関わりはない。

Seven Kings(セブン・キングス)

上のセブン・シスターズと少し似ているが、こちらはキングだ。7人の王の伝説でもあるのかと思ったら、どうやらそんなことはないようだ。

このエリアは、「Seofecaの居住地」を意味するSeofecingasという地名で知られていた。Seofecaというのは、おそらくこの地のサクソン人のリーダーの名前だった可能性があるとされている。1285年には、この地名がSevekynggesというスペルになったのがわかっている。これが「Seven Kings」という語に似ていることから、現在の地名が定着した。

要は時と共にスペルが変化していきこの名前になったのだが、後世に後付けの伝説が生まれ、「森を開拓していた王家の狩人7人が、馬が川に呑まれてしまったためこの地に足止めされた」という話が語られるようになったという。

Temple(テンプル)

このエリア名の由来は、寺のテンプルではなくテンプル騎士団である。テンプル騎士団とは中世のヨーロッパで興った騎士修道会(戦闘もする修道士の団体)で、そのイングランド本部としてこのエリアに12世紀に建てられたのがテンプル教会(Temple Church)である。それによりここがテンプルという地名を獲得した。

この教会は現存しており、イギリスの法曹院の一部が利用しているほか、公にも開かれている(※ただ、新型コロナウイルスの影響で2020年10月現在は教徒以外の一般人への公開は中止されている)。


調べてみると、やはり古くからの歴史が密接に関わっているものが多かった。地名から、ロンドンの歴史を少し垣間見れたような気がする。

他にも調べた駅名はあるのだが、量が多いので後編としてリストアップした。次の記事では、「他国の名前や他地域の名前が入っている地名」と、「パブ由来の地名」について紹介していく。

ロンドンの気になる駅名・地名(後)異国やパブを起源とするもの
前編の記事「ロンドンの気になる駅名・地名(前)その歴史と由来を探る【なぜそんな名前に?】」に続いて、ロンドン内で由来が気になる駅名をピックアップしてその起源を探ってみた。 後編となるこの記事では、その中でもロンドン外の地名が含まれていたり、パブ由来であったりするものをまとめた。一口にパブ由来と言っても、そのパブがその名前を採用した経緯もさまざまな背景があって面白い。パブの名前が地名・駅名になると...
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