ここでは、イギリスの野菜について書いていきたい。国が違えば、ある野菜も違う。
普段自炊をしていると、「この野菜がないからこの和食が作れない……」というのも結構ある。イギリスにない日本の野菜と、あるけれど少し日本のものと違う、という野菜について紹介するよ。
こちらの記事の、より野菜に特化したバージョンです。
日本と違う野菜
ネギ
こちらでは、ネギ的なものはLeek(リーク)という太い下仁田ネギみたいなものと、spring onion(スプリングオニオン)と呼ばれる、いわゆる「わけぎ」がある。
上がリーク(サイズ比較のため500mlペットボトルを置いてみた)、下がスプリングオニオン(こっちはフリー素材)。
万能ねぎや日本の一般的な長ネギはイギリスにはない。ただ香りと味の点で、この2つも全然普通にねぎとして使える。私はこれらををみじん切りにして、納豆に入れるなど薬味として使っているほか、普通に切って炒め物や鍋に使ったりもしている。普通に美味しい。
ほうれん草
ほうれん草(spinach、スピナッチ)は、イギリスでもよく食べられているが、熱を通すのではなく、サラダの具材として生で食べる。こちらで普通に売っているほうれん草は小さな葉っぱがたくさん袋に入っているもので、茎ごと房で売られている日本のものとは異なる。
生でも柔らかくて、シャクシャク食べられる。サラダも美味しいし、茹でれば普通に日本で普段食べるほうれん草と同じ味である。
ただ、茹でると量が半分以下になってしまうので、普通に売っている一袋だとすぐになくなってしまう。日本のほうれん草みたいに、房ごと買っておひたしやお味噌汁でモリモリ食べたいな~とたまに思う。
キャベツ
イギリスでは、キャベツは複数の種類がある。どのスーパーにも、white cabbage、red cabbage、savoy cabbage、spring cabbageの4つはだいたい置いてある。日本のキャベツとは違うやつらである。
white cabbage
ほんのーり緑がかった、ほぼ白に近い、つるんとした見た目のキャベツ(いい画像が見つからなかったので載せていない……)。見た目だけなら、一番日本のキャベツに近い。
しかしこのキャベツ、もんのすごく固いのである。個体差もあるが、固いものは野菜ではなくて石なのではないかと思うほど固い。切るのにまず一苦労だ。炒めても固いので、じっくり蒸し焼きとかにするか、煮物に使ったほうがいいのだろう。
red cabbage
要は紫キャベツである。飲食店でもよく使われている。サラダに入れても、炒めても美味しい。ホワイトキャベツよりは固くなく、使い勝手は良さそう(でもあまり家では食べない)。
savoy cabbage
このキャベツ、見た目も若干脳みそみたいでキモイのだが、最初に炒めて食べた時に苦みがあるのと固いのでとても不味く、それ以来遠ざけていた。しかし、どうやら長時間煮込むためのキャベツらしい。ソーセージや根菜と一緒にぐつぐつに煮込むと、柔らかくなりとても美味しいのだ。
日本のキャベツしか知らなかった私は、あのみずみずしくて柔らかいキャベツの料理や調理法しか知らなかった。キャベツもこんなに種類によって性質が違うんだな、と目から鱗だった。
spring cabbage
三角帽みたいに尖った形をしているためpointed cabbageとも呼ばれる。
これが一番日本のキャベツに近い。食感も味も、使いやすさも。要は、炒め物とか、生で千切りとかにも使えるキャベツである。なのでキャベツはほとんどこれを買っている。
スプリングと名前についているが、春だけでなく、年中手に入る。
カボチャ
「squash(スカッシュ)」と呼ばれる、ヒョウタンみたいな形のカボチャである。パンプキンと呼ばれるものは、日本のカボチャのような丸い種類。イギリスでは主にハロウィンの飾りに使われる。
このカボチャ、死ぬほど固い(それは日本のも同じか)上に、日本のより水っぽいのでホクホクとした食感はない。何より、甘みがない。日本のカボチャと同じような甘みを想定すると期待外れになる。
ただ、決してまずいわけではなく、スープやローストなどで食べるととても美味しい。
イギリスにない日本の野菜
※注……ここに挙げた野菜も、アジア系スーパーや日系スーパーでは手に入るものも多い。
- 里芋
- 山芋
- ニラ
- かぶ
- カイワレ(watercressというとても見た目が似た野菜はイギリスにある。味が少し違う気がするけど、食感は十分代用になる)
- ミョウガ
- ごぼう
- 大根……一部売っているイギリスのスーパーもある(大型店に多い)。英語では「mooli」という名で呼ばれている(たまにDaikonとも)。だが、イギリスのスーパーで売っているのは細い上になんかすごく外側が筋張っているため、かなり厚めに皮を剥かないといけない。ごぼうと大根がないなんて、豚汁作成の道は絶たれたも同然である(ついでに言うとこんにゃくもないし)。
- 白菜……これも、chinese cabbage(チャイニーズ・キャベッジ)という名で大型のスーパーで売っているが、売っていないところの方が多いと思う。※大根や白菜は、チェーンのスーパーではなく個人商店の八百屋に売っていることが結構ある。中東系やインド系の人がやっている確率が高く、アジアの野菜が置いてあるのだ。詳しくは「新居に越して食生活が充実したので家での食事がさらに楽しくなった」の記事でも説明している。
- ピーマン……緑のパプリカはあるので、見た目的には代用できる。だが苦くないので、ピーマンの肉詰めやチンジャオロースなど、肉とピーマンの苦みの組み合わせを味わいたい時は「なんか違う……」となる。
- ししとう……「グリーンペッパー」「チリ」と呼ばれている緑唐辛子的なものはある。見た目も似ている。だがししとうと味は違う。
- シソ……パクチーはどこにでも売っているのに、シソはやはりどこにもない。1回韓国系スーパーで見た目がシソそっくりな野菜を買ってみたが、味が全然違った。イギリスでシソブーム来てくれないかな……。現在は日本で手に入れたチューブ型のシソペーストを重宝している。
- 三つ葉……なくても困らないっちゃ困らないんだけど、地味に親子丼やお吸い物に乗せたい時に「ああ、ないんだ……」と寂しい気持ちになる。
- しいたけ、えりんぎ、シメジ、舞茸など日本のきのこ類……これが全部ないのは和食好きとしてはかなり痛い。現状では、日系やアジア系スーパーで手に入る乾燥シイタケを買って大切に使っている。チェーンスーパーにはエリンギや生シイタケを売っている店舗も存在するが、どこでも売っているわけではない。
意外とイギリスにもある野菜
もやし
英語では「bean sprouts」。もやしはどこのスーパーでも売っている。
1袋50~60ペンス(75~90円くらい)と日本よりは高め。ちなみにキャベツやレタスは一玉で、タマネギや人参は8~10個入った袋が60p(一玉は日本より小さい)とかなので、それに比べるともやしはすごく安い野菜、というわけではないかな。
オクラ
オクラも、意外にもどこにでもあり、「okra」とそのまま呼ばれている。中東でも料理に頻繁に使う食材なので、中東出身者が多いイギリスでは普通に需要が高いのかもしれない。
イギリスの肉事情
肉事情について詳しく書いた記事はこちら。肉も日本とは結構異なるけど、それでも一番ギャップが少ないかな。
イギリスの魚事情
何よりも日本とのギャップが大きいのが魚である。イギリスの魚介類事情は……もうお察しください(涙)……とは言えないので書いた、魚事情についての記事はこちら。
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