イギリスの「高級歯医者」が色々と予想外だった体験

2017年12月12日

ロンドンのプライベート高級歯医者に行ってきたが、私の知っている歯医者とかなり違うシステムで驚きの連続だったので、一連の流れを書いてみる。

ちなみに、これがイギリスで初めて行った歯医者なので、イギリス内での比較はできない。

イギリスの医療システム

イギリスの医療システムをざっくりと説明しておこう。

  • イギリスにはNHSとプライベートという2つの保険システムがある。
  • 最初から専門の科(耳鼻科、皮膚科、外科など)に直接かかれない。

NHSとプライベート

NHSとはイギリス保険サービスの略で、要は国民健康保険が使える病院だ。日本はどの病院でも基本保険診療が使えるが、イギリスは「NHS専用」の病院しか、NHS保険を使えない(といっても数多くあるが)。NHS病院では基本的に治療が無料だ。

無料なのはいいことだが、皆が使うので、予約がとりづらく、すぐに見てもらえなかったり、医師も給料が一律なのでやる気がなく質が悪いところも多い。

プライベート病院とは、NHSに加盟しておらず、自費診療または個人で加入している保険を使って治療を受ける病院。自費診療だと高額だし、保険に入るとしてもその分のお金がかかるが、予約はスムーズにとれ、質も高いところが多い。

最初から専門の科に直接かかれない

これは私が嫌いなシステムの一つなのだが、日本のように、症状によって「今日は耳鼻科に行こう」「内科に行こう」などができない。まず「GP」と呼ばれる一般医にかからなければいけないからだ。

このGPは一応幅広く一般的な症状を見られる医師とされていて、まずこの医師の診察を受け、その人が「これは専門医にかかった方がいい」と判断したら専門医に紹介状を書いてくれて、そこで初めて専門医にかかれるという仕組みだ。

はっきり言ってとても非効率である。

NHS病院には必ずGPがいる。プライベート病院でも総合病院にはGPはいる。「皮膚科」「整形外科」などの専門分野に特化した病院は基本プライベート病院だ。

歯医者にはGPはおらず専門医のみ

歯医者は別枠として認識されており、GPを通す必要はなく、いきなり専門医(歯医者)に行っていい。

だが歯医者にもNHSとプライベートがある。私は今年から歯科保険に入ったので、プライベートのデンタルクリニックに今回初めて行ってみた。

高級プライベートクリニックが集まるHarley Street

今回は特に何か歯のトラブルがあったわけではなく、定期検診とクリーニングをしてもらう予定だった。半年前に日本に一時帰国したときに歯医者に行って定期検診をしたので、半年ぶりの検診となる。

ロンドンの中心部に、高級プライベートクリニックが集結した「Harley Street」という通りがある。

プライベート医院の中でも、特に質が高いとされるクリニックが集まっている。その分診察代も高い。だが保険でカバーされるからと強気になった私は、人にその中の一つを勧められて予約しようと思ったのである。

歯科医の携帯電話に電話して予約

まずそもそもこれに驚いた。人から「いい歯医者がいる」と紹介を受けた歯科医のところに行こうと思ったのだが、渡された電話番号が携帯の番号であった。

「普通病院の受付に電話するんじゃないの…?ウェブサイトでオンライン予約とかはできないの…?」と思ったが、ウェブサイトがないという。
ここで、「有名な歯医者なのにウェブサイトがないのか…」とちょっと不思議に思った。

そして医師に直接電話をして予約。フレンドリーな女性でここは一安心。

医師一人だけの小さなクリニック

予約当日、Harley Streetにたどり着いた私は病院を探したのだが、歯医者があると思われる場所は住宅街のような場所にある建物。扉には10人くらい医師の名前が並んでいた。

入ったところにレセプションがあるが、どう見ても建物の受付で、病院の受付ではない。受付で予約した医師の名前を告げて待合室で問診票を書きながら待つ。

待合室はこんな感じで大変優雅であった。
数分待っていると、その歯医者さん自ら迎えにきた。そして院内に通されると…。

広い診察室に1台の診察台、そして助手さんが一人。完全に個人クリニックなのね。

私が思い浮かべていた、クリニック専用の受付があって、歯科医も複数人いて、助手さんもたくさんいて…というものとは大違い。イギリスでもそれが普通らしく、ここまでプライベートなクリニックは珍しい(おそらくこのHarley Street界隈だけ)とのちに聞いた。

診察の質は大変よかった

だが、診察は評判なだけあった。
流れとしては、短い問診→口内診察→X線→クリーニング。

密なコミュニケーション

日本の歯医者の診察では、「痛かったら手を挙げてください」くらいで、あとは会話はないのが普通だったが、今回の診察は、患者と医師がかなり密にコミュニケーションをとりながら進んだ。

横になって実際に口内を見てもらう診察では、口を開けながら質問に答えなければならないこともあるので、ちょっとやりにくいかもしれない(笑)。

歯や歯茎だけでなく、あごの筋肉の状態まで見てくれ、「かなり筋肉が硬いけど、ストレスある?頭痛や首の痛みは?」などと質問された。

患者に何をしているかを理解させてくれる

歯茎の健康状態を見る段階で、使う器具の説明、そして「今からあなたの歯茎を診察して、歯1本ごとに数字を言っていくけれど、10段階で1、2なら問題なし、それ以上だと問題あり、ということだからね」と説明があった。

実際の診察では確かに「2、1、4、2、3…」など助手に番号を告げて記録をとっている。終わった後に、「少し傷んでいる歯茎もあったけれど、表面だけだから、これから歯石とりをすればそれで十分対処できる」と教えてくれた。

こんなに丁寧に手順を説明されたことは日本の歯医者ではなかった。

撮影したX線を見る際は、気になる部分だけを説明するのではなく、以前自分が治療した歯が現在どうなっているかも見せてくれた。

このように、なんにしても「プラスアルファ」という感じで、とても明快な診察を受けられて、大変すっきりいい気分で病院を後にすることができた。

私が日本人だとわかると「日本にいつか行きたいのよ~」と言ったり(西洋人は日本と聞くとこう言う人が多い)あなたの苗字はなんて発音するの?と訊いてくるなど、フレンドリーな対応でそれも好きだった。

保険の書類記入もその場でさっとすませてくれたし、いい先生だったと思う。

気になるお値段は

全部ひっくるめて390ポンドなり。

ひえ~。初診料込みだからとはいえ、高い…!日本だと、初診+クリーニング(3割負担)で高くても5000円くらいだよね…。ということは全部自己負担なら1万7000円くらい?

そう考えるとやっぱりイギリスのプライベート歯医者は高い。今回は保険でカバーされるからいいけれど。

従来の歯医者とはだいぶ違った新しい体験ができた。また半年後の定期検診もこちらに通おうと思う。