【統計で見る】イギリスも高齢化社会!日本と比較してみた

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健康・医療

「統計で見る」シリーズ。

今回は、前回「【統計で見る】イギリスの人口が史上最多に。人口増加の原因とは? 」で参考にした資料と同じ、イギリス統計局が2017年に公表した「イギリスの人口統計2016年(執筆当時最新)」から、イギリスの高齢化社会の実像を見ていきたい。

概要と、興味深かったものを抜粋して訳してある。

元資料:Overview of the UK population: July 2017

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概要

  • 高齢化が進んでおり、2016年の65歳以上の人口は18%、85歳以上の人口は2.4%
  • 2016年では、16~64歳の年代人口1000人に対し、65歳以上の人口は285人。
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イギリスも高齢化が進んでいる

ライフスタイルの変化と医療の発達で、イギリスも高齢化が進んでいる。2016年には、65歳以上の人口は18%、85歳以上の人口は2.4%であった。

ちなみに、日本の2016年の高齢者人口割合は全体の27.3%で、イギリスより約10%高い。

上の図の「PLAY」を押すと、1996年からの高齢者割合の推移、また2036年までの予測をイギリスの地図上で見ることができる。青色が濃くなるほど高齢者が多いということだ。

高齢化社会になったのには、さまざまな要因が絡み合っている。出生数、死亡数、医療、ライフスタイルの変化などだ。

子どもは減ってきているが、働き盛りの世代人口は横ばい? 

それぞれの年代ごとの人口比率も変わってきている。

1976~2046年の年代別人口割合

上の表は、年代別の人口の割合(%)を表にしたものである。1976年から2016年まで、0~15歳の若い世代の割合はどんどん減っており、その代わりに65歳以上の高齢者世代はどんどん増えているのがわかるだろう。

その傾向は今後も続いていき、2046年には若い世代は17.7%まで下がり、高齢者世代は人口の1/4近くまで上がる予想が出ている。

だが、16~64歳の、いわゆる就労世代の割合は、1976~2016年の40年間は上下はあるが割と安定している。だが今後は減少していくと見られる(子どもが減っているのだから当然だ)。

16~64歳の割合が過去安定している理由は、「過去のベビーブーム」と「移民」である。

  • 1960年代のイギリスのベビーブームで生まれた人たちは、現在40代後半~50代後半であり、また彼らの子どもたちは今20代。それがこの世代の数を押し上げている。
  • 20~37歳のグループは、2006~2016年の間で急激に増加しているが、これは他国からの移民の影響が考えられる。

2016年のイギリスと日本の世代別人口割合を比べるとこうなる。若者世代の年齢の差が1歳あるが、影響はそこまで大きくないだろう。

イギリスの世代別人口割合……0~15歳:18.9%、16~64歳:63.1%、65歳以上:18.0%

日本の世代別人口割合  ……0~14歳:12.4%、15~64歳:60.3%、65歳以上:27.3%

イギリスは若い世代と高齢者世代の割合がだいたい同じだが、日本の場合は高齢者世代が若い世代の2倍以上である。
これは大変だ。なぜなら、2016年では就労世代の割合は2国とも似たようなものだが、2046年になったら、日本の就労世代の割合がイギリスよりはるかに下回るのは目に見えている。

寿命ものびている

主に医療の進歩と生活の変化により、イギリス人の寿命もここ数十年でのびてきている。

女性の場合、2015年に生まれた人は、82.8歳が寿命とされ、1991年生まれの人より4歳プラスである。
男性の場合、2015年に生まれた人は、79.1歳が寿命とされ、1991年生まれの人より5.7歳プラスである。

寿命は今後も上がり続けていくと見られる。2026年には女性85.1歳、男性82.1歳、2036年には女性86.6歳、男性83.7歳になると予測されている。

ちなみに、日本人の寿命は(算出方法はイギリスと同じ)で、2016年で女性87.14歳、男性80.98歳で、すでに20年後のイギリスより上である。

ヨーロッパ他国との比較

高齢者が増えた結果、イギリスの高齢者人口指数も増加している。これは、16~64歳の就労年代1000人あたりに対し65歳以上の高齢者がどれくらいの数いるかを表した指数だ。2016年は285人という結果だった。
この指数の数字が大きくなればなるほど、労働人口に対する高齢者の割合が増しているということになる(子どもを含めた全人口に対する割合ではないことに注意したい)。

では、他のヨーロッパの国と比較するとどうだろうか。

この図は、国ごとの高齢者人口指数を色分けしたもの。指数が高いほど青色が濃くなっている。

指数が最も高いのは、フィンランド、ドイツ、イタリア、ギリシャなど。
最も低いのはスロヴァキア、ルクセンブルグ、アイルランド、アイスランドなどだ。数値が低いということは、高齢者1人あたりを支える労働者の数がより多いということだ。

イギリスはちょうど中間。

アイルランドはイギリスに属す北アイルランドと、アイルランド共和国で色が変わっているのが面白い。国境を越えた瞬間に老人が減るのだろうか。

日本はこの指数を出していないので数字はわからないが、年金破綻問題が取りざたされ、少子高齢化の現状を見るに、高い割合であろうことは想像がつく。

イギリスと日本の比較まとめ

イギリスと日本を比較してみた簡単なまとめ。

  • イギリスでも高齢化は進んでいるが、65歳以上の人口はイギリス18%、日本27.3%で、日本はイギリスより約10%高い。
  • 2016年のデータによると、イギリスでは若い世代と高齢者世代の割合がだいたい同じだが、日本の場合は高齢者世代が若い世代の2倍以上。就労世代の割合はイギリス日本ともに同じ程度だが、今後日本の就労世代の割合がイギリスよりはるかに下回るのは目に見えている。
  • イギリスの平均寿命は、2015年で女性82.8歳、男性79.1歳。日本は2016年で女性87.14歳、男性80.98歳。この時点ですでに20年後のイギリスより高い寿命となっている。

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