英語を勉強している過程、または英語圏の海外生活でぶつかる英語の壁は何と言っても「英語での電話」である。
対面で会話はできても、どうも電話では相手の言っていることも聞き取れないし、こっちの言っていることが伝わらない、という経験をした人は多いはず。そして英語での電話は怖い/嫌いな人も多いだろう。
私も未だに英語での電話は苦手意識がある。なんなら日本語でもそんなに得意ではない。顔が見えないから相手の思っていることがわかりにくいし、英語が普段の数倍聞こえにくいのだ。
イギリスのカスタマーサービスではインド系の人が働いていることが多いのだが、インド訛りの強い英語+電話だと聞き取るのが大変難しく、自分の発音の悪さを棚に上げつつ「うう……つらい……」となってしまう。
特に自分の名前を言うと、完全に伝わることはほぼ100%ない。私は名前は「Sara」なので簡単だが、苗字が完全に日本人特有の、英語圏には存在しないものなので伝わらず、アルファベットを1つ1つ言うことになる。
このアルファベットがまたことさら聞き取ってもらえないのだ。TとDとBなどを聞き間違えられるのは日常茶飯事である。
これはネイティブでない限り、どんな英語のうまい上級者でも苦戦しているところを見る。というかネイティブでも起こると思われる。
そんな事態を解消するために、便利なものがある。
「NATOフォネティックコード」である。
重要な文字・数字の組み合わせを正確に伝えるための、国際的なアルファベットの頭文字の規則のことだ。
これはNATO、ICAO、ITUなどの国際機関で使われるほか、国の中でも普通に使われている。イギリスで電話する際にはこれが役に立つ。
病院の予約やら、銀行やアマゾンのカスタマーサービスやら、まあ電話で名前を言う機会は結構ある。
我が家にも下のポスターを張って、電話の時には見ながら使うようにしている。本当は覚えられれば一番いいのだが……。
たとえば、「Sara」とアルファベットで伝えたい場合は、「S in Sierra, A in Alpha, R in Romeo, A in Alpha」と言えば、どんな相手でも必ず通じる。
日本の電話で苗字の漢字を伝える際に、「田んぼの田にお城の城です」と言うのと似たようなものだろうか。
チャーリーとかジュリエッタとか、結構人の名前が多いと思いきや、ゴルフやウイスキーなど普通の単語も混ざっていたりして、さらにZのZuluはアフリカの一民族であるズールー族のことであろう。
何とも妙な組み合わせだが、おそらくこれが一番間違いがなく伝わりやすい単語なのだろう。この表はこれまで何度も改訂され、この形にたどり着いたらしい。
英語で電話をかけることがある人は、これを印刷して持っておくことを強くお勧めする。
英語圏以外のローマ字国家では、その国に合わせたフォネティックコードがあるようなので、住んでいる人は調べてみるといいかもしれない。
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