ロンドンの中心にはテムズ川が流れていて、水上バス用の停留所が点在している。これを利用して、市内を水上バスで移動できるのだ。
また、各停留所ではそれぞれ異なるルートを走る観光クルーズ用のフェリーも運航している。
この記事では、使い勝手が良い水上バスをメインに紹介し、観光用クルーズについても簡単に触れていくことにする。
※運賃については2019年6月時点のもの。変更がある場合があるので、事前に公式サイトでご確認ください。
目次
お手軽に使える水上バス「Thames Clippers」
「Thames Clippers(テムズ・クリッパーズ)」と呼ばれるこの水上バスは、以下のような状況でおすすめ。
- できれば晴れた日の利用
- 観光用クルーズをするほどの時間とお金はかけたくない
- 目的地までの移動のついでに水上の景色を楽しみたい
というわけで、観光中の移動にもとても良い選択肢となること間違いなし。
ロンドン内にはこのThames Clippersが停まる港(pier=ピア)が22箇所あり、普通の移動や通学・通勤に使える。
©Transport for London for London River Services
この「RIVER」のロゴが目印である。
テムズ川上を走るので、基本的にロンドン内の東⇔西の移動での利用となる。すべての船停留所と船のルートを見たい人はこちら。
通るルートによりいくつかのラインがあり、「RB+数字」で見分けることができる。
ルートは電車やバスに比べると限られてはいるが、天気の良い日にはなかなかリフレッシュ体験を提供してくれる移動手段として人気がある。
誰でも簡単に利用できる
この水上バスには、紙の切符、オイスターカード(コンタクトレスカード)、各種定期券が使える。
観光で来るなら、電車やバスでも使うオイスターカードはまず持っているだろうから、オイスターカードを使うのをおすすめする。紙の切符は割高になるので買わないほうがよい。
オイスターカードをピッと当てる黄色のセンサーが入口と出口に置いてあるので、それにカードを当てて出入りする。
ピアの船停留所に入るとこんな感じ。
行きたい方角のラインに並び、船が来るのを待つ。基本的には20分間隔で来るとされているが、天候やその他川上の交通状況により、遅延することもままあるようだ。
船内は必要十分な設備と行った感じ。揺れもほぼないし移動中も快適だ。ロンドンの主要な場所を通る交通網なので、乗るのはせいぜい数十分〜1時間くらいだろう。写真にあるように、中にはカフェが併設されていて、スナックやコーヒーで一服もできる。
橋をくぐるのを間近で見たり、デッキで風を感じたりするのが楽しい
これは実際晴れた日に、ロンドン中心部からグリニッジ(ロンドン東側)に行くまでに利用した時の写真。タワーブリッジをくぐる寸前の様子。
なかなか壮観。
移動中はいくつも橋をくぐることになる。この橋の下を通るのは船ならではの体験。
船には外に出られるデッキがあり、走っている間に景色を眺めたり風を感じたりできる。
こちらは夕方にロンドン中心部に帰る時の写真。タワーブリッジをバックに見る夕焼けはとても綺麗だった。
デッキを楽しみたい人への注意点としては
- 5月〜9月以外はかなり寒い(ことが多い)のでデッキには出ないほうがいい。外に出たいなら暖かい時期。
- 日本の夏の気候に慣れている人には、暖かい時期でも、晴れていなかったり風が強かったりすると寒い場合があるので、上着は持って乗ったほうが良いかも
といったところ。
運賃は電車より高めだが、乗る価値はあり
ロンドン内は、中心地から外に向かって円環状にゾーン1、2、3……と数え、ゾーン間をまたぐほど、電車でもバスでも運賃が高くなっていく。
しかしこの水上バスは、ロンドンの東西方向にしか走らないので、イーストゾーン、セントラルゾーン、ウエストゾーンという区分になっている。
セントラルゾーン内の移動だと、オイスターカードを使うと大人片道7ポンド(紙の切符だと8.70ポンド。だからオイスターカードを買った方がいいのだ)。
これと同じエリアを地下鉄で移動すると片道2.40ポンドなので比較すると3倍近く高いのだが、移動がてら水上移動を体験できることを考えればこの値段はそこまで高くないのでは? と感じる。観光している時に晴れた日があったら一度体験してみる価値はあると言える。
ちなみにイーストゾーンのみ、ウエストゾーンのみの移動だと、少し中心部から離れるからか片道4.80ポンドとぐっと安くなる。
どの停留所がどのゾーンに当てはまるかは、こちらのルート表で確認。
また、1日中水上バスで移動したいという人には、1日乗り放題パス19.80ポンド(オンラインで事前購入だと17.80ポンド)もある。
より詳細な運賃表はこちらから。
観光用のリバークルーズも良心的な価格で楽しめる
観光用のリバークルーズも各港から出ており、ロンドンアイ周辺を走ったり、ロンドンタワー付近を周ったりとそれぞれのクルーズ会社が独自のルートのクルーズを提供している。
Thames Clippersが「水上の景色も楽しめる移動手段」であるのに対し、こちらは完全に「娯楽用、観光用」のサービスである。
Thames Clippersとの違いは、
- 区間やコースが決められている
- 普通に観光クルーズだけのものから、ランチ、ディナー、アフタヌーンティー付き、シャンパン付き、ミュージック付きなどさまざまなプランがある
- 1つのコースにつきだいたい乗船時間40分〜と長め。上記のように食事やイベントが付く場合はもっと長くなる
- 音声ガイドがついてくることが多い(会社によって日本語対応のものもあり)
また、船の種類もしっかりとしたクルーズ船でゆったりと移動するものから、高速船RIBでテムズ川をスリリングに駆け抜けるものまで、さまざまだ。
値段は意外と良心的で、食事やその他のオプションをつけないスタンダードな観光用クルーズだと最安で10〜20ポンド程度から乗れるようだ。Thames Clippersより少し高めだが、名所を水上からゆっくりと見られ、音声ガイドもつくならなかなかいい。
詳しくはロンドン交通局のサイトがまとまっているのでご覧いただきたい。
個人的には、テムズ川はあまり色が良くない(水が茶色い)ので、せっかくお金と時間をかけてゆったりと観光クルーズするなら、暗くなってから夜景を眺めながらの方がいいような気がする。
昼間なら移動がてらに便利なThames Clippersを使うほうがいいかな、という感じ。
とはいえ、楽しみ方は人それぞれ。ロンドンで天気の良い日は、これらのサービスを使ってテムズ川を楽しんでみるのもおすすめだ。
ロンドンの交通事情全体についてはこちらをどうぞ。
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