海外を「ホーム」と感じる感覚がわかってきた

イギリスに住んで3年半、自分の中で「イギリスがホームである」という感覚を随所に持つようになってきた。

生活の中で、自分が移民であることをつくづく思い知らされることもたくさんあるんだけれど、住み続けると、自分がイギリスでの暮らしに順応したんだなあ、と思うことがしばしばある。

旅行して帰ってきたとき

一番イギリスをホームと実感する瞬間。イギリスの外に旅行に行って、イギリスに帰ってくるとき、とても「ホッ」とする。

空港に着いた瞬間から、イギリスの空気というか、イギリスの匂いがする。自宅の最寄り駅に着こうものなら「ホッ」はさらに高まる。完全に自分にとってくつろげる場所になったんだな、と実感するひと時である。

ダブルの「ホッ」

これ、面白いのが、日本での一時帰国でも起こるのである。日本の空港に着いた瞬間、日本語だらけになって日本人だらけになって、「ああ、帰ってきたなあ」とホッとするのは間違いない。自分の生まれ育った場所。イギリスに比べると、なんでも知っている(ように思える)場所。

友達や家族と会ったり、懐かしい日本食を食べたり、懐かしい場所に行ったりしながら、毎回日本の良さ(悪さも)を再確認する。ちゃんとした日本食を食べた際の感動は何回やっても筆舌に尽くしがたい。

ただたまに、自分がいない間に出てきた知らないものやことに触れると、少し決まりの悪さというか、「自分の知らない日本」が増えていっているのもうっすらと感じる。3年だけでもこうなんだから、10年とかもっと長く海外にいたら本当に浦島太郎になってしまいそうだ。

そして、一時帰国からイギリスに帰った時。ここでも盛大なる「ホッ」がある。これが個人的にはとても不思議な感覚なのだ。日本が本来のホームのはずで、あそこ以上にホッとする場所なんてないはずなのに、イギリスに戻った時のあの安心感はなんなのだろう。

風景に思い出が付随するとき

ブリッジを渡った時に見えるテムズ川の風景や、町の中の小さな教会、街中を歩いた時に通り過ぎるレストランなど。ロンドンのあちこち、色々な場所に自分の思い出がくっついていることに気づく。

これは、先日バスに乗ってテムズ川にかかる橋を渡っていた時に、窓から見える川をとったもの。

友達と出会った場所、一緒に行ったところ、夫とデートしたての頃に見たもの、まだ渡英したばかりの頃に1人で色々散策したときの思い出。3年間の歴史がこの街に散っているんだなあ、と思う。

小さな思い出が少しづつ積もっていって、ロンドンは「全然知らないけど好きな街」から「さらに好きな街」になっていった。

「ホーム」にできる場所は何ヵ所あるのか

ふと思ったのだが、「ホーム」という感覚になれる場所の数に限りはあるのだろうか。3ヵ所?5ヵ所?

例えば、人生で5つの国に同じ期間住んだら5つともホームになるんだろうか。人にもよるだろうか。
もしそんな暮らしをしていたら、最終的には「自分の中」がホームになってきそうだ。国ではなくて、自分のいるところというか、自分の存在というか。何それ、悟り…?笑

まあとにかく、ホームが2つできた状態というのは、なかなか面白い。ふわふわしているというか、地に足はついているんだけどついていないというか。この感覚は変わっていくんだろうか。

自分の感覚がどう変わっていくのか、自分でも予測できないし楽しみでもある。