ロンドンの家探しに役立つサイトと注意点を書いていく。
私はロンドンで、過去2年で8件フラット(部屋)を移動した。
トラブルだらけのこの遍歴から学んだことを、この記事では紹介する。特に契約前に気をつけることもがっつり書いたので、初めてロンドンで家探しをするという人はぜひ目を通してもらいたい。
一応前提として、この記事は、私が元々ワーキングホリデービザで渡英して賃貸シェアフラットに住み続けた体験がベースになっている。ただ、家探しの基本の注意事項はどんな物件でもそこまで変わらないはず。
目次
家賃について
まず前提として、家賃について。ロンドンの家賃はとんでもなく高い。社会人でも多くの人が他人とシェアして住んでいる。
個室のベッドルーム+キッチン・トイレ・バスはシェアというパターンが王道。これをフラットシェアという。
日本のアパートやマンションなどのように、シェアなしで一人で全部使える物件は、こっちではスタジオと呼ばれ、値段もシェアよりずいぶん高くなる。ロンドン中心部のスタジオで月1000ポンド以下のところはほぼないか、あっても基本訳あり物件だと思っておいた方がいい。
ゾーン1に近づくほど家賃は高くなる
ロンドンはゾーン制というエリアの区切りを使っていて、ゾーン1から9まである。大英博物館とかウエストミンスター寺院とか、いわゆる観光地やオフィスがたくさんあるセンターのエリアがゾーン1。
そこから円環状にゾーン2、ゾーン3……と広がっていく。ヒースロー空港はゾーン6だ。
ゾーン1に近くなればなるほど家賃は高い。郊外に行けばいくほど家賃は安くはなるが、今度は交通費が高い。ロンドンの交通費はゾーン制で、ゾーンをまたげばまたぐほど高くなる。
なぜ特に交通費を考慮すべきかというと、イギリスでは日本と違って基本的に企業は出勤の交通費を負担してくれないからだ(日系企業ならしてくれるところもあるとか)。ロンドンで働く人はそれも念頭に入れておくべきだ。
中心部に近い家、遠い家、どちらがお得?
多くの企業がゾーン1に集中しており、またイベントもほとんどはゾーン1で開催される。だいたいの人は、ゾーン1付近に通う頻度が多くなるだろう。
つまり、センターに近い場所で高い家賃+安い交通費で住むか、センターに遠い場所で低い家賃+高い交通費で住むかの2択だ。
私は実際にゾーン4から1まで住んでみたが、個人的にセンターに近い場所で高い家賃+安い交通費のほうが安く済んだ。移動時間の節約にもなる。ただ、毎日センターに行く必要があるのか、どんな物件かによっても変わってくるので、自分の希望条件およびお財布とよく相談すべし。
ロンドンの住宅事情でいいと思ったこと
日本と比べてよい面もある。
礼金がいらない
イギリスでは日本のような礼金はいらない。代わりにデポジットという預り金を最初に渡す必要がある。これが敷金みたいなもので、だいたい家賃の3週間分~1月分ほど。
万が一備品を壊してしまったなど過失があったら、退去時にデポジットから修理経費などを引いたりするらしいが、普通に暮らしていれば退去時に全額返ってくる。
家具は全部ついている物件が多い
家具つきの物件も多い。物件情報にもfurnished(家具付き)かunfunished(家具なし)かは必ず書いてある。
furnishedの場合は、引っ越しても家具の移動がいらないから楽だ。ベッド+掛け布団からリビングのテレビ、テーブルに椅子、キッチン用品など、全部最初から備え付けだ。食器なども揃っている。何か新しく買う必要はない。
なので、内見の時にどんな家具が置いてあるかチェックするのは大事だ。もちろん前の住人のものはその人が退去時に持っていくこともあるので、何を残るのかを聞いておくといい。
光熱費・住民税が家賃に込みになっているところも多い
シェアのフラットだと、光熱費、インターネット、カウンシルタックス(住民税)が家賃に込みになっているところもたくさんある。全込みとかビル込み(bills included)と言う。
こういう物件を探せばお得。特にカウンシルタックスはエリアや物件のクラスによって計算が違い面倒くさいので、私は今まで込みのところしか住んだことない。
カウンシルタックスについて詳しくはこちら→イギリスの住民税(カウンシルタックス)とは? 日本との違いを解説
ロンドンの住宅事情で大変なこと
ロンドンの人はとにかく引っ越しをよくする。なぜかというと、
- 条件を妥協して入居するケースが多い
- 家に関するトラブルが起きやすい
この2点だと思う。
条件を妥協して入居するケースが多い
前述したように、ロンドンは基本的に家賃が高い。そして住宅不足だ。希望の家賃でいい物件というのはすぐうまってしまう。
「もう時間もないしここでいいか……」と思って入居するものの、いい物件が出たらすぐ引っ越したい、と思う人がたくさんいるからだ。ロンドンの部屋はいつも取り合いだ。
トラブルが起きやすい
こっちだと不動産会社に頼らず自分で大家と交渉するケースが多いのと、基本的に他人とシェアハウスをするのでトラブルが起きやすい。イギリス人でも苦戦している。
ちなみに、イギリスではハウスメイトのことをフラットメイトと呼ぶ。
大家とのトラブル多発
大家選びは本当に難しい。物件が素敵でも大家とうまくいかないと地獄と化す。何かが壊れてもすぐ直してくれなかったり、デポジットを返さなかったり……大家関係のトラブルはほんと多い。
イギリス人の知人は「ロンドンの大家は半分が変人だ」と言っていた。
何回か大家同居の家に住んだことのある私の経験からも言える。大家は絶対別居のほうがいい。絶対にだ。
あとは、同居でも別居でも、大家がケチってセキュリティやインフラにお金をかけなかったりすると、泥棒に入られたり、極寒の冬を貧しい暖房環境で過ごすことになる。
フラットメイトもあわないと悲惨
そしてフラットメイトも相当難しい。選べないし、やはりフラットメイトとうまくいかないと地獄と化す。清潔感の違いとか、騒音とか、いろいろね。
大家とフラットメイトは、内見の時に会ってどんな人か見ることができる。でも自分より後から入ってくるフラットメイトは運だ。
私が実際に体験したトラブルのもろもろはこちらからどうぞ。
さて、こうした悲劇をなるべく避けるために、家を探す時に特に注意したい点を挙げてみよう。
家探しの注意点と確認するべきこと
入居してからのトラブルをできるだけ避けるために、以下のことに気をつけよう。
契約前
- 内見には絶対に行く。
- 大家が別の物件に住んでいることを確かめる。(大家は絶対に別の方がいい)
- 家全体の雰囲気、フラットメイトの人柄、大家の人柄を重視すること。
- フラットメイトの人数を把握する。多ければ多いほどトラブルが起きやすいし、シェアする場所も混雑する。
- 近所の環境を確かめておく。(変な人がたむろしてないか、スーパーやお店、駅からのアクセスは許容範囲か)
契約前に大家や代理店に聞いておくべきこと
気になることは後でもいいから「契約前」にメールでも電話でも聞いておく。特に以下のこと。すべてとても大事。
- 大家がDeposit protection scheme(デポジット保護スキーム)に入っているかどうか尋ねる。上でも書いたように、入居前にデポジットを払う必要があるが、このデポジットは法によって守られるべきもの。このサイトを参考に、大家がこのスキームを使っているかどうか確かめるべし。デポジットについて事前に確認せず、デポジットが返ってこない羽目になる人は多くいる。
- 又貸し物件(大家は別にいて、テナントが自分の借りている部屋を貸していること)ではないかどうか。
- 家賃に何が含まれているか聞く。
- 光熱費などビル全込みの物件を探す時は、カウンシルタックス(住民税)も込みかどうか聞く。
- 最短契約日数が何日か聞く。(出てきたくてもその日数は出れないor違約金が発生することがある)
- 契約書の取り交わしがあるかどうか確認する(口約束、メールだけの約束のところ多し。私は5/8がそうだった)。日本人向けフラット、または大家が日本人のところは契約書は英文かどうかも確認する。あとで何か起きて契約を証明したり公的に申し立てをしたりする時に、英文契約書の方がいい。
イギリス政府のこちらのページも読むといい。契約前に確認しておくことがリストアップされている。
How to rent: the checklist for renting in England
「3. Looking for your new home」の「Things to check」のセクションは要チェック。
契約後
- デポジットの領収書は絶対にとっておく。(退去時にデポジットを返してくれずもめることも多い)
- (大家が日本人でない場合)英語で聞きたいこと、言いたいことは言う。
これは本当に大事。下手でもいい。単語しか言えなくてもいい。伝えることが大事。紙に書いて予習していってもいい。あと自分に不利な条件なのに我慢してYESを言わないこと。
「日本人」のイメージ:大人しい、お金にクリーン、綺麗好き、真面目
こういう観点から、日本人を積極的にテナントにしたい、という大家もいる。
一方で、「歯向かわない、英語が苦手」というイメージで、好き放題のルールを設ける大家もいる。
後者のイメージに迎合してはいけない。「NOと言える日本人になる」こと。特にMixBのフラットは、日本人テナントに絞って募集していることが多いので、この点に注意。
入居後トラブルが起こったら
入居後に大家とのトラブルが起きた場合、まず大家と話し合い、それでも解決しない深刻なものだったら、自治体に申し立てをしたり、法廷に持ち込んだりすることもできる。以下のサイトを参考にあげておく。
Complaining about your landlord
ここには、大家との話し合い方から、それで解決しなかったときの自治体への報告の方法、さらにそれでも解決しなかった場合の対策が載っている。自治体が対応できる問題の種類には限りがあるので、参考にする際は細部までよく読むのをおすすめする。
家探しに役立つサイト
MixB
これのみ日本語。日本語の大家や仲介者が日本人向けに出している部屋情報多数。日本語でコミュニケーションできることが多い&日本人だけのフラットを探したい人にはいいかも。
※ここで出会った物件でも、日本人外国人どちらもトラブルになった大家はいる。日本人の大家からはデポジットを返してもらえなかった(普通は全額返ってくる)ことがあった。内見の時に注意して見極めるべし。
※比較的賃料が高めの傾向がある気がする。ぼったくり? と思うようなところも。
spareroom
シェアフラットを探すならイギリスで一番おすすめ&現地人の誰もが使っているサイト。外国人のフラットメイトでも構わないという人はぜひ。安くていい立地の掘り出しものも見つかる確率が高い。大家別居か同居かでフィルター検索もできる。
Gumtree
テナント募集の案件は山ほどあるが、詐欺みたいなこともあるらしいので、参考写真のある物件のみ参考に。
Zoopla
シェア物件よりスタジオやファミリー向けの家が多い。エリアごとの価格帯を見るには参考になる。
ちなみに私がシェアフラット時代に実際に使ったのはMixBとspareroom。
家探しで使う英単語
- en suite……自分の部屋にバスルームとトイレがある。
- deposit……デポジット。入居時にひと月の家賃前後支払う。器物損壊などなければ退去時に全額返ってくる。
- bills included……光熱費などの料金込み。
- viewing……内見。
- furnished……家具付き。家具なしはunfurnishedという。
- DSS……社会保障制度(生活保護とか)を受けている人。DSSお断りの物件が多い。
- reference……前の大家からの紹介状、職場(勤めていれば)からの確認文書など。保証人制度と少し似ているかも。テナントへの信用の証拠(ちゃんと収入があるか、前の家ではきちんと家賃を納めていたかなど)として求められたりする。必要ないところもある。
家探しはほんと根気とタイミングだから、コツコツやるしかない。こちらを少しでも参考にしていただければ幸いだ。
私のトラブルだらけの家探し遍歴はこちらから。
その他、イギリスへの旅行、移住に役立つ情報はこちらから。
コメント
ロンドンのハムステッドにあるFLAT 3 LYNDHURST GARDENS HAMPSTEADと言うフラットを購入する日を夢見ながら頑張ろう✨と思います。
もっと値段が下がったときに購入しようと思ったんです。
51才ですがロンドンに住む事は可能ですか