コロナ対策:イギリスで外出自粛→ロックダウン。この3週間を振り返る

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ロンドン・イギリス生活

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、イギリスでも外出自粛や施設閉鎖などの指示が出た。そしてその1週間後、ロックダウンとなった。

この記事では、ロンドン住みの私が外出自粛→ロックダウンのこれまでの3週間、実際にどのような生活をしているかを記録したものだ。これを書いている現在も、イギリスはロックダウン中である。

私の家の周辺でのことなので、地域や場所が違えば状況も異なるかもしれない。あくまでロンドン内の一部エリアのこととして見てほしい。

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3月16日に政府からアナウンスメントが出る

3月16日月曜日、イギリス首相が会見を行い、「social distancing(集まりを避ける、他人と物理的に距離をとるというような意味)」の方針を発表した。主に以下のようなことが国民全員に求められた。

  • できる限り在宅で仕事をすること
  • 不要不急の外出をしない(食品や日用品の買い物など必要な場合はでかけていい)
  • 特に多くの人が集まる場所(パブやクラブ、ジム、劇場など)にいかない
  • (家族以外の)他人との距離は2mとる

この時点で、感染者数は1,543人、死亡者数は53人

同じ週に、教育機関の閉鎖、飲食店の閉鎖も発表

その数日後の18日、政府は公立の小中・高等学校を休校にすることを発表。

さらに数日後の20日には、パブやレストランなどの飲食店、劇場、映画館などの公共施設も閉鎖指示が出された。

それでもまだ、小売やその他のサービスのお店は開けているところもあったようだ。

また、飲食店は店内飲食スペースのみ閉鎖で、デリバリーやテイクアウトの営業は可能というものだったので、これらのサービスは普通に利用できる。

実際、体調不良の人や体に不自由のある人などは、食品を買いに外に行けなかったり自炊ができなかったりするので、ライフラインとして必要なサービスだろう。

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外出自粛1週間目

友達と遊ぶ予定はキャンセル

3月中に何件か友達と遊んでいる予定を入れていたが、最初の発表が出た時点で、やむを得ずすべて中止。予約していたレストランもキャンセルした。

今後友達にしばらく会えないのかと思うと寂しい。交通機関を使う外出はこの週から止めた。

飲食店や美術館など次々に自主閉鎖

まだ飲食店や公共施設の閉鎖発表がされる前のこと、最初の「自粛要請」の会見があった時点で、数日内にロンドンの主要な美術館、博物館は軒並み閉鎖を発表していた。

飲食店も自主的に閉鎖を始めたところがあり、1つ予約をしていたレストランからは、こちらがキャンセルする前に「店舗を一時閉鎖します」と予約キャンセルの連絡が来た。

外は通行人が減る

交通機関を使っていないので、あくまで家の近所(ロンドン中心部のキングスクロス)の話だが、外は明らかに人が減った。巨大なターミナル駅なのでいつもは観光客や通勤の人で激混みのキングス・クロス駅も人はまばらにしかいない

道を歩いているのはおそらく地元の人だろうという人ばかり。犬の散歩やランニングをしている人は見かける。巷で言われている「他人との距離を2m開けるべき」というのは近所での散歩くらいなら容易だ。

マスクをしている人をポツポツ見るようになる

基本、ロンドンでは普段マスクをしている人はいない。ゼロだ。だが、この週は外に出るとちらほらマスク着用の人も見かけるようになった。とはいってもまだしていない人が大多数だけど。

スーパーの品薄は激化

この少し前から、すでにイギリスでもパニックになった消費者の買い占め(英語ではpanic buyingという)が問題として取り上げられてきた。

これは近所のスーパーのトイレットペーパーやキッチンペーパーの棚。パスタや米、小麦粉、抗菌の洗剤などの掃除用品、風邪薬なども同じように空っぽ。

ただし、オフライセンスという食品や日用品を売るコンビニのような小さな個人店や、八百屋のような店ではパスタ(トルコとかの)や米の在庫があるのも見かけた。

それだけ食品を調達するのにスーパーに行く人が多いということなんだろう。

生鮮食品も在庫が減る

政府の外出自粛発表後は、上記のものに加え、肉や野菜の生鮮食品の棚までもがかなり品薄になった。

生鮮食品は買いだめにも限度がある(冷凍するにしても冷凍庫分しか入らない)ため、普段社食や外食、テイクアウトを利用していた人たちが一気に自炊に切り替えて、生鮮食品の供給が追いつかないという側面もあると思う。

あと、卵がどこにいってもない。イギリスの卵は生食可能だが、生食という前提がなく基本消費期限が長い(3週間〜1ヶ月とかザラ)ので、買いだめる人が多いのかもしれない。

今後、この品薄状態は解消されるのだろうか……。

また、高価なスーパーの方がものがより残っていることに気づいた。

イギリスのスーパーの種類と格付け表

この格付表の、「普通のスーパー」以下のところでは、かなり品薄だが、それより上だと在庫が少し増える。なので、少し高くつくけどお金を出せば買えるものもある(それでもトイレットペーパーはないけど)。

とりあえず、我が家では買い物は週に1〜2回におさえ、公共交通機関を使わずに買いにいくというルールを決めた。

アジア系の食品は品薄になりにくい? 

普通のスーパーでも、アジア系の麺(ベトナムの米粉麺や中国の麺、うどん、など)、豆腐や醤油などのアジア系の食品、調味料は結構普通に売れ残っている。

また、韓国系スーパーに行った時は、乾麺はごっそりなかったが生鮮食品を含むその他の食品はふんだんにあったので、アジア系スーパーも狙い目かなと思った。マイナーな食文化の恩恵をここで受けるとは……。

「高齢者限定入店時間」を設けるスーパーも

昼間にいっても肉が買えないので、開店時間に大手スーパーのwaitroseに行った時のこと。「今日から開店後1時間は、高齢者の方、幼児や高齢者と暮らしている方限定の入店になります」と入店者を制限していた。写真は入口の前で一般者入店時間を待つ人たち。

ここ以外の他のスーパーチェーンでも、高齢者、体が不自由な人、医療関係者を対象にこうした措置をとっていた。買い占めの激化で医療従事者や高齢者が生活必需品にアクセスできないのは問題になっていたので、朝の在庫が豊富な時間帯にこういう対策を設けるのは大変よいことだと思う。

2週間目、政府がロックダウン宣言

外出自粛の指示が出てからちょうど1週間後の3月23日、イギリス全土を最低3週間はロックダウンするという宣言がされた。ロックダウンとは、必要最低限以外の外出禁止および商業活動の停止など、特定の地域・国レベルで必需サービス以外のものをすべて停止・封鎖し、人の移動を規制することだ。

この時点で、感染者6,726人、死亡者数336人。ちょうど1週間前は感染者数は感染者数は1,543人、死亡者数は53人だったのに。

ロックダウンでは、以下の方針が軸となった。

  • 外出禁止
  • 必需品を扱う店以外は全閉鎖
  • 公共の場での3人以上の集まり禁止

「他人との距離は2mとる」という方針も継続される。

飲食店や小売店はもとより、図書館やコミュニティーセンターなどの公共施設、宿泊施設、教会などもすべて閉まる(教会は緊急の葬儀の場合のみ認められる)。儀式やイベントは、葬儀以外の結婚式や洗礼式などすべて禁止となる。

物流は動いている。また、食品・薬を扱う店、郵便、銀行など生活に必要なサービスを提供しているところは営業していいことになっている。ちなみに飲食店のデリバリー事業も行っても良いことになっている。アマゾンなどのオンラインショピングもできる。

外出禁止のルール

一般人の外出は以下の4つの場合に限り許される。

  • 食品や薬などの必需品購入。可能な限り頻度を減らすこと。
  • ランニングやサイクリングなどのエクササイズ。1日1回、一人または家族と行うこと。
  • 医療機関にアクセスする場合。
  • どうしても必要な場合の出勤。

これ以外の外出は原則禁止。これに従わない場合、罰金が課されたり、警察によって集団が解散させられたりすることもあるという。

街の様子

といっても、気晴らしに近所を散歩またはスーパーでの買物にしか行っていないので、本当に家の周りのことしかわからないのだが。

ポツポツとランニングや散歩をしている人がいるくらいで、外はとても静かだ。

だが、隣駅に行く時に通る住宅街は、いつもより人通りが多かった。普段は出勤している人たちが自宅にいるようになり、気分転換やエクササイズのために外に出ているから人が増えたように見えるのだろう。

普段ほとんど人が歩いていないエリアなので、それから少し増えたくらいで、混み合っているわけではない。皆、すれ違うときにはなるべく歩道の両端に寄り、距離をとろうとしていた。

いつもは多くの人が立っているバス停もガラガラ。バス自体は走っている(ほぼ人は乗っていないけど)。

店もほとんど閉まっている。開いている飲食店は「注文した料理の受け渡し」というサービスオンリー。

マスクの落とし物。イギリスでは皆普段はマスクをしないので、ロンドン生活5年で初めて目にした落とし物だ。

先週(1週間目)よりも、マスクをしている人がさらに目に見えて増えた。

人によって装備にかなり差があり、スーパーではマスクにサングラス、使い捨てのビニール手袋をして買い物をする人もいた。

寒く暗い冬からやっと暖かく晴天の多い春になったのに、外に出れないなんて……。

様々な路線が通る一大ターミナル駅であるキングス・クロス駅の通常(左)の様子と、現在(右)の様子。電車は動いているが、駅でも「不要不急の交通機関の使用は避けて」と掲示やアナウンスがあった。

交通機関はどうしても出勤が必要な人のみ利用可だが、朝のラッシュアワーで未だに混雑する駅の様子が報道されていたりする。ロンドンだと皆が車を持っているわけでもないし、満員電車対策をしないといけないと思うのだが……。

キングス・クロス駅前の広場も、常に人がたくさんいる場所だが、今はまばら。他人とは数メートル距離を開けてベンチに座っていて、3人以上で集まっている人たちはいなかった。皆政府のガイダンスを守っているようだ。蛍光色のベストを着ているのは警官で、ルールに違反している人(団体で集まるなど)がいないかどうか見張っていた。

また、この広場を歩いているうちに、ここにいる人の半分くらいがホームレスの人達だと気がついた。確かに、彼らは行くところがない。でもきちんと他人と距離を開けていた。

スーパーの状態

この週は2回買い物に出た。ロックダウン後から、スーパーは普通の時間帯でも入れる客の数を制限をするようになり、スーパーの入口には入場を待つ人の列ができるようになった。

ちなみに、食品のオンラインショッピングはもうパンク状態なので頼れない。

1回目に近所のスーパーに行った時は、ラッキーなことに列がなかったのでそのまま入店。他のお客さんとの距離も開けやすいほど空いていたのでよかった。店内にはところどころに「他のお客さんと2m距離を開けて買い物してください」の貼り紙。

野菜はふんだんにあったが、パスタやトイレットペーパーは依然として空。

これは鶏肉の棚。

牛肉(左)と魚介コーナー(右)はまばらに商品が残っている。

肉に比べて魚の残り具合が魚に興味が薄いイギリスらしいと言うかなんというか……。

多くのものは品薄なのに大量に残る日本の豆腐。私が貰い受けよう。

アジア系スーパーと個人商店には列もなく在庫がたくさん

2回めに買い出しに出た時は、近所のスーパーも、隣駅のスーパーも、大手チェーンは全部列ができていたおり、並ぶのが嫌で入らなかった。なので在庫加減は不明だが、人数を規制している分、品薄は多少マシになっているのでは? と予想。

その代わり元々行くつもりだった韓国系スーパーへ行く。イギリスの韓国系、中国系スーパーには日本食品もある程度置いてあるからだ。

客もほとんどいないし、もちろん列に並ばなくていいし、何より棚にほとんどの商品がぎっしり補充されている〜!! 素晴らしい。乾麺は空っぽだったけど、インスタントラーメンや米はたくさんあった。大根(ここは野菜も少し置いている)や和食系調味料などを買う。

帰り道に近所のオフライセンスに寄る。

やはり皆スーパーに行くのだろうか、ここは人も少ないし、大手チェーンスーパーでは品薄になっている野菜も缶詰も豊富にあった。

ここではスーパーで買うつもりだった少しの野菜を買い、帰宅。

宅配が手渡し禁止になる

宅配や郵便は動いているが、手渡しが禁止になったようだ。荷物を届けてくれたお兄さんが「手渡しができないんだ、ここに置いていくね」とドアの前に荷物を置いていった。

受け渡しにサインが必要なものだったが、サインも今はできないようだった(その代わりに配達員が受け取った人の名前を記録する)。

前線で頑張っていてくれる人への拍手

この週から、イギリスでは毎週木曜日に夜8時から数分間、前線でコロナウイルスと戦ってくれる医療従事者への感謝を表して、外に向かって拍手を行うというイベントが開催されるようになった。

これは我が家の窓から撮影した映像。周りの家やマンションから続々と、拍手や歓声が上がるのが聞こえる。

命がけで日々働いてくれている人には、本当に頭が上がらない。外には出れないし、近所付き合いもないけれど、この数分間だけは一体感が感じられる。

3週間目(ロックダウン2週間目)

この時点で、感染者25,150人、死亡者数1,789人。1週間前は感染者6,726人、死亡者数336人だった。どんどん増えていっていて、恐ろしい。

街の様子

この週は仕事が忙しく一番近いスーパーと家の往復しかしていないので、そんなに街中を見たわけではないが、先週とそこまで変わらない。

散歩や運動、犬の散歩、スーパーに行く人達が外に出ていて、混雑ではないが、閑散ということもない、そこそこの人通り。ただ人同士2mという距離は普通にとれるくらいの感じ。

我が家の周辺は皆外出禁止のルールを守っているようだが、ニュースでは、海辺に大勢の集まるなどしてルールを破る一部の人たちの様子が報道されている。そういう人たちのせいで、エクササイズでの外出も禁止というさらに厳しい制限が課されるかもしれないという報道もあった。

そして引き続き天気が良い。他に誰もいない芝生の上で、小さな子と父親がボール遊びをしているというのどかな光景を見て、連日流れてくる暗いニュースに満ちた世界と、全然別の世界にいるのでは、みたいな非日常感を覚えた。

スーパーの様子

近所のスーパーは、まだ入店人数の制限はしていて入口に列ができている状態は変わっていないが、在庫が戻ってきつつある。先週まで、多くのスーパーで「商品購入は1人◯点まで」などと個数制限があったが、それも解除し始めたところもあるようだ。

鶏肉の棚もこの通り。パスタや米の棚は相変わらず空だが、高級ブランドや割高なものは残っていた(笑)。

買い占めが落ち着いたのか、ここ数週間ずっと空っぽだったトイレットペーパーや卵も戻ってきた。これで安心して過ごすことができる。ただ、別の日の午後に行くと品薄になっていたので、まだ完全に安定したとは言えない。


これを書いている間にも、報道される1日の死亡者数が300人、500人、700人とどんどん増えていっている。ロックダウンは当初の3週間より長引くだろう。

旅行にも行けず、友達にも会えず、好きな美術館・博物館にも行けず、私が家でどう過ごしているかということと、気づいたことや精神面での変化は違う記事で書こうと思う。

イギリスがロックダウン。その日々で気づいたことと精神面の変化

イギリスロックダウン中の過ごし方。家での時間をどう使っているか? 

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