イギリスでは食べられない?イギリスでマイナーな日本の洋食とは? 

広告
イギリスの食文化

オムライスは「日本の」洋食の代表格だとか、イタリアではナポリタンは存在しないとか聞いたことがあるだろう。

それ以外に、私がイギリスに来てから「あれ……? 意外とこっちにないな……」と思ったり、「ふむ、あるはあるけど日本のものとは結構違うな……」と思った洋食を紹介してみる。

注意点として、

  • イギリスでも、お店やスーパーによってはあるかもしれないし、私が住んでいるロンドン以外だと事情が違ったりするかもしれない
  • 家庭料理ではあるかもしれない

という可能性もある。ここでは、ロンドンで生活していて一般的に「あまり見かけない」「食べ方や種類が違う」という位置付けのものについて書いていく。

あと、日本はアメリカの影響も強いので、アメリカではメジャーなものもあるのかも? 

広告

スープ・シチュー類

コーンスープ

実はイギリスで見かけないコーンスープ/ポタージュ。日本のように缶やインスタントは売っていない。日本にいた時はそこまで頻繁に飲んでいるものでもなかったが、イギリスに住んでいて意外と恋しくなってしまうのがこれ。

スーパーではコーンの缶詰は売っている。その缶詰に「クリームコーン」という種類のものがあるらしく、それを使えばコーンスープができるらしいという情報ももらったが、まだ見つけられていない(多分私のよく行く店舗には置いていない)ので、いつか見つけた時は試してみたいと思う。

ちなみにあさりが入ったクリームスープ、クラムチャウダーもない。そもそもイギリスではムール貝以外の二枚貝(クラム)があまりメジャーではない。売ってはいるけど。

ホワイトシチュー

ホワイトソース自体はベシャメルソース(bechamel sauce)という名でどのスーパーにも安く売られているし、パスタやラザニア、その他肉料理のソースによく使われる。

イギリスにある、ホワイトシチューと似ている(または同じ)ものとしては、パイに入っているものがある。特にチキン&リーク(大型のネギ)のパイには、パイ生地の中に鶏肉とリークを具としたホワイトシチューのようなものが入っている確率が高い。

ただ、日本のようにパンやご飯と一緒にホワイトシチューが出てくる料理には出会ったことがない。

茶色のビーフシチューはよくある。だが、内臓やタンを食べる文化があまりないためか、タンシチューにはお目にかかれない。

【海外で日本食】イギリスで牛タンを丸ごと一本さばいて食べてみた
ロンドン生活では基本自炊しており、そのうちの8割は和食だが、やはり材料からして手に入らないものもある。こっちでは動物の内臓をあまり食べないため、普通のスーパーの精肉コーナーではモツやタンが売っていない。 イギリスの一般的な肉事情について詳しくはこちらを。 今回は、そんな私が牛タンを食べた過ぎて、ついに自宅で牛タンをさばいてしまった時のことを書いていきたい。生の牛タンの写真も出てくるので、ち...

欧風カレー

インドのカレーがイギリスに伝わりアレンジされ、それが日本に伝わったという話は有名だが、実はイギリスで欧風カレーに出会ったことがない。こちらの生活でカレーといえば、意味するものはほとんどの文脈でインドカレーかタイカレーである。

スーパーやパブでも見たことがなく、欧風カレーはどこにあるのか謎である。店によってはあるのかもしれない。家庭料理なのかな……? 

※パイに入っている場合があるという情報をいただいた。

広告

洋食の定番メニュー

(日本のような)コロッケ

クロケットと呼ばれる、コロッケの元となったものは、欧州各国で独自のものがそれぞれあるようである。イギリスのコロッケは、冷凍食品でも売られているようだが、具がポテトのみらしい(買ってみたことはない)。

肉などは入っていないらしく、それはほぼポテトフライと一緒なのでは……? と思ったり思わなかったり。またコロッケに定番のソースも同じものはイギリスにはない。イギリスの「ウスターソース」が元になっているらしいが、日本のソースとは味が違うようである。

ハンバーグ

ハンバーガーはいたるところにあるのに、ハンバーグはない。

ハンバーグという名前はドイツの「ハンブルグ」から来ているらしいが、ドイツ人の夫には「なにそれ?」と言われた(夫のハンバーグデビューは日本)。

ハンバーグの起源としては、13世紀に全盛期を誇ったモンゴル帝国がヨーロッパに攻め込んだ際に生のミンチ肉料理が伝わり、それをドイツ系移民がアメリカに持ち込み、アメリカではそれを焼いたものが「ハンブルグ風ステーキ」として広まったという。

それが日本に入り、現在のハンバーグとなったというのだ。モンゴル人もドイツ人も、まさか自国の生肉料理が今美味しく食べているハンバーガーの起源になっているとは思いもよらないだろう。

ちなみにドイツで食べた生の豚肉ミンチについてはこちらからどうぞ→ドイツ旅行で出会った美味しいドイツ料理を写真付きで紹介

ハンバーガー好きのイギリス人には、チーズ乗せハンバーグもウケると思うのだが、付け合わせは米ではなくパンになると思われるので、「それならハンバーガーでよくない?」となるのが容易に想像できる。ハンバーグは米食文化のおかげでここまで日本で人気になったのかもしれない。

ちなみに、イギリスのスーパーには、すでに丸く成形してあるハンバーガー用の味付け済みのパテが売っているので、これを焼けば簡易的にハンバーグを作れる気もする(味付けや入っているものが日本のものと違うので、全く同じとまではいかないだろうけど)。

ドリア

「そういえば一度もドリアをイギリスで見たことがないな、サイゼリアのミラノ風ドリアで有名なくらいだからイタリア料理なのかな? でもイギリスではこんなにイタリア料理がメジャーなのに、ドリアがないのは何でだろう……」と思って調べたら、ドリアは日本でできた洋食だった。

1930年代に日本で働いていたスイスの料理人が欧州人の顧客のために考案した料理なのだという。

ということは……ミラノ風ドリアは、ナポリタンがナポリに全然関係ないのと同じくミラノに全く関係なかったのだ。そりゃそうか。

その他

魚のカルパッチョ

※写真は我が家で自作したもの

カルパッチョはヨーロッパにもあるが、基本的にイタリア発祥の生の牛肉料理を指す。私はてっきり魚のカルパッチョもあるのかと思っていたら、なんと日本発祥の料理であるらしい……。これは結構衝撃であった。

日本のシェフが本来のカルパッチョを魚バージョンでつくったのが始まりだとか。

こっちのお店で食べられる、魚のカルパッチョのようなものとしては、ペルー料理レストランで出てくるセビーチェが一番近い。生の魚のスライスをハーブやオリーブオイルでマリネしたもので、ペルーの国民食なのだという。

クレイジーソルト

万能調味料といっても過言ではないクレイジーソルト、一度もスーパーで売っているところを見たことがない。オンラインなら売っているようだ。

欧州、米国で使われている、とパッケージに書いてあったのに……とよくよく見直してみたら正確には「アメリカ・ヨーロッパの一流レストランの隠し味」だったので、一流レストランに行けば使われているのかもしれない。

ハーブ入りの岩塩自体はイギリスでも売られているが、配合や使われている材料が違うのか、味は全然違うのである。私は家族に日本から持ってきてもらったものを現在使用している。

ショートケーキ

正確に言えば、白いクリームにいちごが乗った、ショートケーキと似たようなケーキはもちろん存在する。が、あまり日本ほどお目にかかるものではない気がする。あとイギリスではビスケット生地のものも多いようである。

©︎Megan Chromik

ビスケットタイプの一例はこんな感じらしい。だいぶ違う。

ショートケーキのルーツは、イギリスの16世紀の料理本に出てきたケーキだという。それがアメリカに渡り、日本にやってきてアレンジされ、現在の日本のショートケーキの姿になったという説がある。

日本ではケーキといえばまずショートケーキが思い浮かぶ、ショートケーキはケーキの王道NO.1であるというような共通概念があるが、こちらだと「いちご入りのケーキの一種」という認識に過ぎない、というか……。

あとショートケーキという単語も、現在イギリスでは一般的には使われていない。使われる場合は、ケーキではなくショートブレッドに似たクッキーなどを指す場合が多いようだ。


というわけで、イギリスではなかなか出会えない洋食を紹介してみた。毎日洋食を食べられる環境であるイギリスに住んでいても、日本の洋食を食べたくなることは結構あるものなのだ。

その他、イギリスの食文化についてはこちらから。

【過去記事まとめ】イギリスの食文化がまるわかり! 飲食店情報まとめ有

コメント