【統計から読む】イギリス人の給料と仕事時間はどのくらい? 

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お金・経済

イギリスの国家統計から読み解いてみるシリーズ第1弾。
単に私が統計資料を読むのが好きだから始めてみた。

今回は、「イギリス人の給料と労働時間(2015年最新版)」について。

  • ちなみに、イギリスでは企業から交通費は支給されない。交通費は例え出ても給料扱いになるのだそうだ。なのでここでは交通費込の金額と捉えたほうがわかりやすいかもしれない。
  • また、以下の統計では金額が月給ではなく週給であることに注意。
  • 日本円換算は執筆時の2016年10月のレートを基に計算。

概要と、興味深かったものを抜粋して訳してある。本文と私の感想をわけるために、私の文には考察と書いておく。

元資料:Annual Survey of Hours and Earnings: 2015 Provisional Results (PDFダウンロードもあり)

イギリスの最低賃金についてのことはこちらから。

イギリスの最低賃金と生活賃金について説明するよ

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概要

  • 2015年春の統計ではフルタイム就労者の平均週給は529ポンド(日本円で約6万7000円)。14年に比べて全体で1.8%増。公共部門では1.8%増、民間部門では1.6%増。下位10%の層は297ポンド以下。上位10%の層は1035ポンド以上。
  • 13年から14年の経済成長率は0.2%。リーマンショック/世界恐慌の09年から、15年までは平均して年に1.5%の経済成長率。成長率は年々遅くなっている。
  • インフレに対応し、収入が増加したと見られる。2008年以来初の収入増加。
  • 年収の中央値は2万7600ポンド(日本円で約351万円)。2014年に比べて1.6%増。
  • フルタイムの年収の中央値における男女差(男性の方が女性より上)は、2014年の9.6%から9.4%と0.2%減。1997年の統計初期から最も差が小さくなる。だがフルタイムとパートタイムの収入差は変わっていない。
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収入の男女差

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フルタイム就労者:男女の収入差は、年齢によってばらつきがある。18-39歳は、差がほとんどない。22-29歳では、女性の方が男性よりやや収入が高い。40歳からは差は顕著になる。これは、女性がこの年代に育児のために労働市場から離れるからであると考えられる。

フルタイムとパートタイムを合わせた全体では、16-17歳を除いて、どの年代も男性の方が女性より収入が高い。全体の収入差は、すでに22歳から、フルタイムのみの場合より幾分広がる。これは、通常フルタイムより低賃金のパートタイムで働く人が女性の方が多いことを意味している。

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1997年から2005年までで、収入の男女差は、低所得者層(下位10%)では6.5%にまで減ってきているが、高所得者層(上位10%)ではあまり変わらず、依然として20%前後の大きな差がある。

職業別の収入の男女差

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どの職業でも男性の方が女性より給料が高い。

職業別による収入の男女差は、「Skilled Trades(専門職)」が一番大きい。
後に「Plant and Machine Operatives(プラント及び機械操作)」、「Managers, directors and senior officers(管理職)」がくる。逆に販売、営業、カスタマーサービスは最も男女差が少ない結果となった。

地域別の収入差

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フルタイム就労者の週給の中央値は、イギリス全体では528ポンド(日本円で約6万7000円)。

高さ順では、ロンドンがダントツで高く660ポンド(約8万4000円)。2位の南東イングランド(552ポンド=7万円)より108ポンドも高い結果となった。この2ヶ所は1997年の初回統計以来、ずっと上位をキープしている。

ロンドンの中でも特にシティと呼ばれる金融街は飛び抜けて高い週給を誇り、921ポンド(約11万7000円)。イギリス全体で最も低いのは北東イングランドのダービーシャーで389ポンド(約4万9000円)。 

この地域の収入差は、必ずしも地域ごとの生活費の差とは関係ない。

考察:図では、赤・黄色の地域が高収入のエリアだ。ロンドン付近は一帯が黄色になっている。それよりさらに高い値を示す赤色のエリアが、中央左側に少しだけある。ここは湖水地方だ。湖水地方はそんなに富裕層が多いのだろうか? 自然が多い場所で、企業などは少ないと思うのだが……。調べてみた。

すると、こんな記事を見つけた。How Lake District holiday homeowners are pushing out local residents
2012年のガーディアン紙より。

湖水地方の真ん中、Chapel Stileという町では、不動産の70%がリゾート業者によって所有されていて、休暇の際のリゾートハウスとしてレンタルをしているとある。それで時価は吊り上がり、今や3寝室つきの物件は70万ポンド(日本円で約9000万円)もするという。こんなに田舎なのにね。なのでもともとの地元の人が家を買えなくなっているのだとか。

湖水地方のエリアで一番巨大なビジネスは旅行業だそうだ。確証はないけれど、これが湖水地方が赤くマークされている理由だったりするんだろうか。

年齢別の収入差

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フルタイム就労者の週給の中央値は、男性で40代 (653ポンド=約8万3000円) 、女性で30代(538ポンド=約6万8000円)が最も高くなる。

就業時間数と残業時間数

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フルタイム就労者の就業時間の平均は、全体が1997年の40時間からやや下がって2015年は39.1時間。男性の方の減少が顕著で、リーマンショックのおきた2008年から2009年の間に、40.7時間→40.1時間に一気に急落した。女性は37.5時間前後で変わらず。

残業時間は1997年→2015年で男性が3時間→1.4時間程度、女性が2.2時間→1.2時間程度に減少している。


イギリスは収入は増加傾向で、就業時間が減少傾向になっていることがわかった。いい国じゃないか……! 

でもEU離脱で、来年や再来年のこの統計はどうなっているだろうか、心配ながら興味がある。

最低賃金についての情報はこちらをどうぞ。

イギリスの最低賃金と生活賃金について説明するよ

最低賃金の20年間の推移についてはこちらから。

【統計で見る】イギリスの過去20年間の最低賃金(時給)の推移とは? 

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