ヨハネがジョン?プラハがプラーグ?英語ではこんなに違う地名や人名

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英語

イギリスで英語で生活していると、西洋圏の地名や人名などの固有名詞が、日本語で慣れているものとは違う読み方で発音されているものに多く遭遇する。日本語では、現地での読み方(英語以外の読み)を採用している場合が多々あるからだ。

渡英してからしばらくは、「おお~この名前は英語になるとこうなるのか!」という驚きの連続であった。特に私は美術が好きなので、キリスト教の聖人名や芸術家の名前など、自分が親しんでいる日本語名とはずいぶん違うので最初は慣れなかった。

言語によって発音が違うからそれは当然と言えば当然なのだが、聞き慣れていないと英語名が出てきた時に一瞬「?」となってしまう。

そして私は、そういう「言語によってミカエル=ミヒャエル=マイケル=ミシェル=ミゲルというように読み方が変わる」という現象がとても興味深くて個人的に大好きなのだ。なぜかはうまく言えないけど……。

今回は、私が渡英時から今まで出会ってきた、「英語になるとこんな発音になるのね固有名詞リスト(←長い)」を紹介していく。私が思いついたものだけなので、もちろんこれ以外にも多々あると思う。

英語の発音は、オックスフォード英語辞典を参考に便宜上強引にカタカナにしておくが、完全に再現できるわけではないので大体の目安としてとらえてもらいたい。細かい発音は地域や人によっても異なることがある。

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人名

聖人や伝説上の人物

イエス・キリストが英語だとジーザス・クライストになるのは多くの人が知っているだろう。それ以外にも、キリスト教の聖人名や伝説上の人物など、英語読みになると日本語のイメージと大きく異なる名前が多い。

  • アキレス→英:アキリーズ(Achilles)
    ※ギリシャ神話に出てくる英雄。この人物から名付けられたアキレス腱もアキリーズ・テンドンと発音する。
  • カタリナ→英:キャサリン(Catherine)
  • ゲオルギウス→英:ジョージ(George)
  • ダヴィデ→英:デイヴィッド(David)
  • パウロ→英:ポール(Paul)
  • ヒエロニムス→英:ジェローム(Jerome)
  • ペトロ→英:ピーター(Peter)
  • マタイ→英:マシュー(Mattew)
  • マルコ→英:マーク(Mark)
  • ミカエル→英:マイケル(Michael)
  • ルカ→英:ルーク(Luke)
  • ヤコブ→英:ジェイコブ(Jacob)
    ※また、ヤコブの英語版の名前をジェームズともいう。ヘブライ語起源の名前は「J」がヤユヨの音で読まれ、英語ではジェイの音で読まれるので、このような例は多くある。下の2つも同様である。以前「Book of Job」という語に出会い「仕事に関する記録か何かかな?」と思っていたら、旧約聖書の中の書物「ヨブ記」だった、ということがあった。
  • ユダ→英:ジューダス(Judas)
    ※キリストを裏切ったユダのこと。日本語で「ユダ」と同名で呼ばれる他の有名人物は、英語では「ジュード(Jude)」「ジューダ(Judah)」などスペルと読み方が若干異なるものがある。
  • ヨハネ→英:ジョン(John)

歴史上の有名人

  • アリストテレス→英:アリストトル(Aristotle)
  • アルキメデス→英:アーキミーディーズ(Archimedes)
  • シャルルマーニュ→英:チャールズ・ザ・グレート(Charles the Great)
  • ジャンヌ・ダルク→英:ジョアン・オブ・アーク(Joan of Arc)
    ※初めて英語で聞いたときに一番「!?」となった名前。元のフランス語がJeanne d’Arcなので、確かにそのまま英語にしただけなのだが……。
    d’Archはde Arcがくっついたもので、場所を指す。つまり「アルク(出身)のジャンヌ」という意味の名前なのだ。
    レオナルド・ダ・ヴィンチが「ヴィンチ出身のレオナルド」という意味であるのと同じパターンだ。ただ、英語ではダ・ヴィンチはそのままダ・ヴィンチと呼ばれている。
  • ソクラテス→英:ソクラティーズ(Socrates)
  • プラトン→英:プレイトー(Plato)
  • フリードリヒ→英:フレデリック(Frederick)
  • ホメロス→英:ホウマ(Homer)
  • マルティン・ルター→英:マーティン・ルーサー(Martin Luther)
  • ユリウス・カエサル→英:ジュリアス・シーザー(Julius Caesar)

芸術家

  • クールベ→英:クーベイ(Courbet)
  • クラナハ→英:クラナック(Cranach)
  • ティッツァーノ→英:ティシャン(Titian)
  • フェルメール→英:ヴァミーア(Vermeer)
  • ベラスケス→英:ヴェラスクウィズ(Velázquez)
  • ミケランジェロ→英:マイケランジェロ(Michelangelo)
  • ミュシャ→英:ムーカ(Mucha)

あ、あと美術家ではなく作家だけど、「人魚姫」などを書いたアンデルセンが英語だとアンダソンになるのも最初は慣れなかった。

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国名や地名

土地や国の名前も同様に、英語だとだいぶ印象が変わるものがある。

国名

  • アルゼンチン→英:アージェンティーナ(Argentina)
    ※これは日本人にはやや紛らわしくて、国名のアルゼンチンはArgentina(アージェンティーナ)で、「アルゼンチン(人)の」という形容詞はArgentine(アージェンタイン)となる。
  • イラク→英:イラク/アイラク(Iraq)
    ※辞書を見るとイラクの発音で載っているが、アイラクと読むのも聞いたことがある。一部そういう読み方をする人もいるらしい。同様に、イランも公式にはイランだが、アイランと呼ばれているのを聞いたことがある。
  • クロアチア→英:クロエイシャ(Croatia)
  • トルコ→英:ターキー(Turkey)
    ※ これは有名だが、同じくターキーと呼ばれる七面鳥とのかかわりが面白かったので取り上げた。七面鳥とトルコでは、国名のターキーの方が歴史が古い。
    七面鳥が英語でターキーと呼ばれるようになったのは、英語圏に七面鳥がもたされたのがトルコ人によって、またはトルコから持ってこられたとされたからだという。
    だが、他の言語では七面鳥は違う地名が含まれる名前がつけられており、フランス語やロシア語では七面鳥を「インドの鳥」、ポルトガル語では「ペルーの鳥」、マレー語では「オランダの鳥」と呼ぶ。トルコ語では、七面鳥は「インド」という意味の「hindi」と呼ばれている。
    なお、七面鳥は元々は北米原産で、古代メキシコで家畜化されていた鳥である。
  • ニジェール→英:ナイジャ(Niger)
  • ベルギー→英:ベルジム(Belgium)

地名や街名

  • アテネ→英:アセンズ(Athenes)
  • ウィーン→英:ヴィエナ(Vienna)
  • ヴェネツィア→英:ヴェニス(Venice)
    ※これは有名。「ヴェニスに死す」などの作品名で知っている人は多いだろう。
  • ケルン→英:コロン(Cologne)
  • サンクトペテルブルク→英:サン・ピーターズバーグ(St Petersburg)
  • チューリッヒ→英:ズーリック(Zurich)
  • バイエルン→英:バヴェーリア(Bavaria)
  • ハンブルグ→英:ハンバーグ(Hamburg) 
    ※食べ物のハンバーグの語源となった地名。上のサンクトペテルブルクもそうだが、ブルク/ブルグ(burg)は英語ではバーグとなる。ドイツ語圏の地名に多く、burgはドイツ語で城や城塞を意味する言葉だという。
  • フィレンツェ→英:フロレンス(Florence)
  • プラハ→英:プラーグ(Prague)
  • ベルサイユ→英:ヴェーサーイ(Versailles)
  • ミュンヘン→英:ミューニック(Munich)
  • モスクワ→英:モスカウ(Moscow)
  • ワルシャワ→英:ウォーソー(Warsaw)

おまけ:伝説上の生き物や恐竜の名前

  • ケンタウロス→英:セントー(Centaur)
  • ケルベロス→英:サーベロス(Cerberus)
  • トリケラトプス→英:トライセラトップス(Triceratops)
  • ヴェラキラプトル→英:ヴェロシラプタ(Velociraptor)

これ以外にもまだまだあると思うが、このように日本で知られている名前とと英語名がマッチしないことはよくある。

そうした語に出会うたび、日本語の外来固有名詞はいかにさまざまな言語から来ているか思い知らされるし、自分の脳みそに英語名をアップデートしていくのも面白い。

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