【記録】イギリスで大腸内視鏡検査を受けてきた体験談(後編)

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健康・医療

【記録】イギリスで大腸内視鏡検査を受けてきた体験談(前編)」に続き、ロンドンの病院で受けた内視鏡検査の様子をここに記録する。前編では経緯や検査当日までの準備について書いたが、この記事では検査当日の流れについて書いていく。

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内視鏡検査当日

検査を受けた総合病院の入口

検査当日、水分制限による喉の渇きを耐えながら内視鏡科の受付に行く。予約時間より30分早く来てくださいと言われていたからその通りに行ったが、特に早く行った意味はなかった。念のため水分を絶つのも30分早めにしたのに……。

また、前編で書いたように、指示があったからせっかくラテラルフローテストを家でしてから行ったのに、特に検査結果の確認がなかった。こういうところ、本当に適当だな~。イギリスらしい。

しかも、かなり混んでいたのか、予約時間より1時間半くらい遅れてやっと検査となった。特に早く行った意味は(2回目)

まず診察室に通され、看護師から摂取してる薬や既往歴、最終飲食日時など基本的な質問を受ける。鎮痛剤の説明も再度受けた。その場で血圧と酸素量を量り、患者識別用のバーコードがついた紙を腕に巻かれる。

診察室にはすでに着替えが用意されていて、下着もすべて脱いで着替えに着替える。前と後ろから抱き合わせる感じで羽織る浴衣のような検査着は、最初着方がわからず間違えた方法で着てしまったところ、女性の看護師さんが来て直してくれた(恥)。

その後医師が診察室に入ってきた。「お待たせしてすみません、お腹空いたでしょう~!」と申し訳なさそうに言う先生。優しそうな人でホッとする。この時、私の胃はもう空腹すぎる状態を通り越して虚無になってしまっていた。絶望しすぎて辛さを感じなくなってしまった心のように、「私はここにはいません」みたいな顔をして何のシグナルも出さなくなっていた。なるほど、1日断食するとこうなるのか。

症状(検査に至った経緯)、家族の既往歴などを確認し、同意書にサインをする。同意書には、今回の検査は診断のためのもので、組織採取をしたりポリープがあったら取り除いたりしますよ、というようなことが書いてあった。検査についての質問があれば、このお医者さんとのやり取りが最後のチャンス。

フレンドリーに進んだ実際の検査

この後、実際の処置室に行って検査を受けた。先ほどのお医者さんと、他に看護師さんが4人。1人の患者に対して随分手厚いな~と思った。それぞれ名前を紹介してくれて挨拶。

ストレッチャーに寝かされ、腸をリラックスさせる効果があるという薬(これは選んだ鎮痛剤とは別)を腕から注射される。再び血圧測定器と酸素量測定器をつけ、鎮痛剤(gas and air)の吸入器を渡される。

大きくガスを吸うと瞬時に、お酒に少し酔ったようなじんわりとした感覚が全身を包んで面白かった。意識ははっきりとある。あと、気のせいかもしれないけどなんだかガスがアルコールというか、なんかジンぽい香りがする……? ジントニックを例に出した説明を受けたから脳にバイアスがかかっていたのだろうか……。

さて、では痛くないのかというと、ほとんどの工程では痛みがなかったが、腸の曲がり角にカメラを通す時は数回かなり痛かった。思わず「いててて」と日本語が出た。先生は謝りつつ「腸が狭いから曲がっている部分がきつい」という説明をしてくれた。

ちなみに、検査中は、ずっとお医者さんと看護師さんたちがいろいろ話しかけてくれた。仕事のこととか、日本の観光事情とか、ロンドンの美味しい日本食レストランのこととか。かなりわきあいあいというか、フレンドリーな感じだった。患者の気を紛らわせるためもあるのだろうか。

でも会話中にも痛みは不意にやってくるし、会話していると鎮痛ガスを吸えない(今思えば本末転倒では?)ので、「そう日本のクライアントと時差が9時間あるからオンラインミーティングとかは大変なんd…ウァァァァアア(悶)」とかやっていた自分は、思い返せばかなりシュールである。

会話に集中してガスを吸えてない時でも痛くない時はまったく痛くないので、実際にガスにどの程度効能があるのかわからなかった。ただ私は思った。「これで出産は無理では……?(したことないから実際の痛みはわからないけど)」と。

カメラが映す映像は目の前のスクリーンで見ることができ、私の腸はツヤツヤしたピンク色でいかにも健康そうな感じであった。我ながら「腸、なんて美しいんだ…」と思った。自分の中身を見ることなんてそうそうないので面白かった。ちょっとハイだったのかもしれない。

結局、見た目通りに私の腸は健康で、ポリープや炎症などが見つかることもなく「all normal」という結果であった。ではあの5日くらい続いた腹痛はいったい何だったのか……。念のため、細胞採取も行ってくれた。取ったサンプルは研究所で診断され、結果は後日知らされるという。

処置の時間は15~20分くらい。検査で使ったストレッチャーごとリカバリールームに運ばれる。自分の持ち物はすべてストレッチャーに載せられており、リカバリールームで回復後に着替えをして退出することとなる。

処置後は本当にお茶とビスケットが出た

リカバリールームに着くと、「あなたの荷物はストレッチャーの下に乗せてるからね」とだけ説明をされ、(体感)15分くらい放置された。体調も良好だしすることもないので、忙しく動き回る看護師さんや周りの機器を見つめながらボーっとしていた。

それよりも少し前から気になっているのが、注射の針部分がまだ私の右腕に刺さったままであることだ。これは、検査前に腕に注射された腸をリラックスさせるための薬剤のためのもの。注射針を腕に刺して固定し、薬剤の入った管を都度装着して薬剤を注入するという方式で、その注射針の頭の部分はまだ腕に残ったままなのだ。

我慢できないほどではないが、地味に痛い。これ、取り忘れてるんじゃないよね……?

しばらくしたら看護師さんからいきなり、「飲み物は何がいいですか、コーヒー?紅茶?」と訊かれた。紅茶を選ぶと、「ミルクは入れる?」「砂糖は?」とちゃんと好みを把握しながらミルクティーを作ってくれた。

紙コップに入ったミルクティーと水、クリームを挟んだ小さなビスケットの袋がサイドテーブルに置かれた。「おお~ほんとにティータイムがあるとは!」とちょっと感動。空っぽの胃にミルクティーが沁みる。

左腕はまだ血圧測定器をつけられていて動かしづらいので、右腕のみでゆっくり飲食する。しかし右腕を曲げるたびに注射針が食い込んで痛い。看護師さんが皆忙しそうにしているから声をかける機会を失っていたのだ。

食べ飲み終わって少ししてから看護師さんがやってきて、今回の検査結果や検査後の過ごし方に関する注意事項、次回のフォローアップ診察の日程などを記載した書類をもらい、「検査で腸に空気を入れたから、今日いっぱいはお腹が張った感じがするかもしれません」といった説明を受けた。ここでやっと「この針は外してもらえますか」と訊いたら、「今外すわよ~」とあっさり外してもらえた。

まったく驚いた様子もなかったので、取り外し忘れていたのかこれが正規の順序なのかは謎である。針を外したところはガーゼを当ててもらったが、家に帰って数時間後に外したらめちゃくちゃ血が出た痕跡があってびっくりした。…やはり早く取り外すべきものだったのでは?(いやわかんないけどさ)

その後、カーテンを閉めて元の服に着替えて退室。

病院外観

ありがとう病院。検査してもらえて、異常がなくてよかった。お医者さんによると検査後はどんなものを食べてもいい、とのことだったので、この後食べるメニューを考えながら帰路についた。

採取した細胞の診断結果は2週間くらい経ってから郵送で送られてきた。検査結果が深刻な場合は結果が出てからすぐに電話などで連絡が来るのだろうけど、何もない場合は割とのんびりしている。結果、細胞にも異常は見られなかった。よかった。

今回の件で、胃腸が健康であることはわかって一安心だが、結局何が原因であんなに胃腸が荒れたかはわからないのだった。あれからは起こっていないし、まあ、脂身の多い肉や揚げ物をたくさん食べないとか、お酒を飲みすぎないとか、食べた後すぐに横にならないとか、常識的な範囲で健康を考えて生活していこう……と思った次第。あと検査前の準備で、人生で一番胃腸をデトックスできたのは良い経験だった。

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