住所証明について説明する記事でも書いたが、イギリスの銀行口座を外国人が開設するのは簡単ではない。
そこで、今回は、大手の銀行よりも開設がずっと簡単な、イギリスのオンラインバンクについてまとめてみた。私が実際に持っている+夫が使っているサービスなので、自信を持っておすすめできる。
この記事の情報は2019年2月現在のものです。開設方法や機能や料金は変更になる場合があります。
目次
イギリスのオンラインバンク
共通する特徴
- どの銀行も開設に住所証明が必要ない(ただ合法的にイギリスに住んでいることを示すビザやパーミットなどの書類や、またその他の本人証明は必要になる)
- どこも10分程度で口座開設ができる
- デビットカードは申し込むと、数日後に郵送で送られてくる。このカードで支払いやATMからの現金引き出しもできる
- カードはプリペイドカードとしても使える
- スマートフォンの専用アプリを使って操作するので、スマートフォン必須(PCではできない)
- デビットカードはコンタクトレス機能(決済機械の上にかざしてピッとするだけで支払いできる機能)付き
こんな人におすすめ
- 住所証明がなくて銀行口座が開けない
- コンタクトレス機能のカードが欲しい(大手銀行は、人によってはカードにコンタクトレス機能をつけてくれないところもある)
- 簡単に開けるサブ銀行口座が欲しい
一番便利でおすすめ! Revolut
一番おすすめしたいのがこのサービス。
イギリス国内で使うだけでなく、海外旅行や外貨両替にも超便利。
住所証明いらずで、電話番号や住所、ビザ情報を記入して申請するだけでアプリ上で口座が開設できる。また、カードを申し込むと数日でデビットカードが送られてくる。カードの発行は無料(紛失やスペアなどで2枚目以降を注文する場合は有料)。
無料プランと有料プランがある
私は無料のプランを使っているが、全く不自由なく生活できている。有料はさらに多くの機能がついて月6.99ポンド。
有料カードのみについてくる機能はこんな感じ。
- ATMの無料引き出しが月400ポンドまで(無料プランは200ポンドまで)
- 海外保険
- 無制限FXボリューム
- プレミアムカード
- 国際特急配達
- 優先的な24/7カスタマーサポート
- プレミアムプロモ―ション
- 使い捨てバーチャルカード(1回の取引ごとに使い捨てのアプリ内のカード。より強力なセキュリティのため)
最近では、さらに多機能のメタルプラン(12.99ポンド/月)というのも登場した。
さて、ここからは無料プランで使える主な機能を紹介しよう。
銀行口座として利用できる
給料の振込などのお金の受け取り、家賃の引き落としなどの払込が、従来の銀行口座と同じようにできる。
ただ、気をつけたいのは、口座に自分でお金を入れる場合はATMから現金を入れることはできない。
自分での入金は、他の銀行からの振込または他の口座に紐ついているカードが必要だ。詳しくはこの下を読んでほしい。
他の銀行からチャージしてプリペイドカードとしても使える
すでにイギリスに銀行を持っている場合、その口座とも紐づけて、カードにお金をチャージできる。複数の口座・通貨と紐づけできるので、状況に応じて複数の口座のお金・複数の通貨を1枚のカードで使うことが可能。
ポンドだけでなく、他の通貨でもカードにチャージできるものがある。このカードにチャージできるのは円ポンド、ユーロ、米ドル、日本円も含む15通貨。
イメージとしては、1つの銀行口座の中に15種類の通貨の各口座を持っているようなイメージ。
※このチャージ機能を使うには、チャージしたい通貨の口座を別に持っている必要がある。
私が今使っている(持っている)のは、ポンド、ユーロ、米ドル、日本円の4つだ。
海外旅行に行っても両替の必要なし!
私にとってはこれが一番のメリット。ヨーロッパ旅行中、ほとんどの通貨に自動で両替してカード決済ができる。
- 北欧やチェコなどユーロ以外の通貨を使う国でも両替の必要がない
- レートも両替サービスの中では一番いい(と思う。インターバンクの為替レートを採用している)
- 両替手数料は平日は無料。週末は0.5%(ドル、円、ポンド、ユーロなど主要通貨)〜1%(マイナー通貨)かかる。
というわけで、使い勝手は抜群。私はヨーロッパ旅行によく行くので、このカードを重宝している。
私は基本ポンドでしかこのカードを使わないが、旅行先でもスーパーや飲食店などカード支払いの場所で、いつものように支払うだけ。両替はカード側で勝手にしてくれるのである。
また、同じ両替レートで旅行先のATMでの現金を下ろすことも可能。
対応通貨は幅広い
サービスによって、対応している通貨の数は異なる。
- 上で紹介した、カードにチャージできる通貨は15種類。
- 海外旅行などで、現地通貨で支払いやATMでの現金引き出しができるサービス……合計140通貨に対応(取引手数料は無料)。
- 国際送金、オンラインバンキングは24通貨に対応(手数料も無料)。仮想通貨も取り扱っている。
ATM手数料
ATMから現金を引き出す際は、月に200ポンド/400ポンド(プランによる)まで無料だが、それ以上だと引き出す金額の2%が手数料としてかかる。
Revolutでの日本円の使い方
現在、日本円→ポンドの両替や、日本円のチャージもできるようになった(※2020年に、日本在住者も口座を開設できるようになった)。
また、Revolutカードで日本のお店での支払いやATMからの現金引き出しもできるのだ。
実際に日本で使ってみた体験から、日本での使い方と日本円両替の方法を説明した記事はこちらから。
欧州在住者の一時帰国に最適!Revolutの日本円の使い方解説【2021年版】
家計簿代わりの機能がある
カードを使って決済した瞬間に、どこで何のためにいくら使ったか自動で判断して記録してくれる。後で見返したり、支出を把握したい時に大変便利だ。
こんな感じで、スーパー、飲食店、交通費など、わかりやすいロゴと具体的な店名などで一覧表示してくれる。
明細ファイルをダウンロードすることもできる。
Revolutの主なメリット
Revolutの魅力は、以下である。
- 対応通貨が数多い
- 1つのカードで複数の通貨をチャージできる
- 日本円もチャージ、両替ができる
特に2・3番目は、これから紹介するMonzoとMoneseにはない機能なので、日本人にはRevolutが一番便利だと思う。
詳しい申し込み方はこちらの方のブログが詳しいので参考にしてね。
イギリスの銀行口座が10分で開設できるRevoultがすごい。
Monzo
これは夫が使っているサービス。RevolutとMonzoどちらも使ってみた夫曰くMonzoも「Revolutと全く同じ使い勝手」だという。
機能はRevolutとほぼ同じだが、以下のような違いがある。
- カード内で持てる通貨はポンドのみ。海外でのオート両替機能、ATM引き落とし機能はあるが、どのくらいの数の通貨に対応しているか具体的には不明。日本円を含めた多数の通貨に対応しているようだ。両替レートの良さもほぼ同じ(マスターカードの両替レートを採用)。
- 家計簿機能にさらにプラスで、海外に行っている期間の支出を自動でお知らせしてくれる機能もある。
- プランは無料プランのみ。
- ATM手数料はイギリス国内は無料。海外での利用は1回につき3ペンスかかる。
詳しい申し込み方はやはりこの方のブログが(略)。
モバイルバンキングのMonzo card(モンゾカード)が愛されている理由
Monese
こちらは口座開設に特化したサービスで、超スピーディーに口座が作れる。ビザとセルフィ―動画による本人認証をするだけで口座が開ける。こちらも任意で申し込めばカードがすぐに送られてくる。
サービスも上の2つとほぼ同じだが、対応通貨の数と手数料で、上の2つに劣っている。
対応通貨
カード内で持てる通貨……ポンドとユーロのみ。
国際送金……欧州を中心とした7通貨のみ。
海外でのオート両替、ATM引き落とし……どのくらいの数の通貨に対応しているか具体的には不明。日本円に対応しているか不明。
手数料
無料プランでは、
- カード発行に4.95ポンドかかる
- ATM手数料が1回ごとに1ポンドかかる(でも多額の現金を引き出したい時は他2つよりお得)
- 他の通貨のATM手数料にさらに2%の手数料がかかる
と、だいぶ手数料がかかるのである。
ではなぜ私がこのサービスを使っているかというと、実は他の2つは以前は口座の機能を持っておらず、カードのみのサービスだったのだ。なので口座を開設したければMoneseしかその時はなかった。理由はそれだけである。
今口座を作るとなったら、Revolut(かMonzo)だけで事足りているはずだ。
無料プランと有料プラン
有料プランは月4.95ポンド。Revolutより安い。
有料プランでは、無料プランでかかる手数料がいくらか軽減される。
- カード発行は無料
- ATM手数料は月6回まで無料
- 両替手数料は0.5%
ATM手数料について
イギリスでは、大手銀行は基本的にATM手数料が24時間365日いつでも無料である。回数制限もない。
なので、Monzo以外のサービスは、他の銀行と比べてATM手数料の制限があるのが若干ネックだ。何かを定期的に現金で支払わなければいけない事情の人にはおすすめしない。だが、普通に生活するならイギリスでは現金をほぼ使わずに過ごせるのでまず問題ないだろう。
それでもやはり大手の銀行口座は必要?
ここで紹介したオンライン銀行、とっても便利なのだが、やはり大手(店舗型)の銀行口座は1つは持っていたほうがいいと思う。
その理由は主に2つ。
システム障害が起こる可能性がある
オンラインのサービスだけに頼っていると、システムの不具合が起こった時にお金を振り込んだり引き出せなくなる。実際、上で紹介した3種類の銀行は全部、システム障害が起きたり、ある券売機で使えなくなったりしたことがある。
そういう場合、きちんと企業側から通知してくれるし、サポート対応も迅速でいいのだが、やはりオンライン銀行だけしか持っていないとちょっと危険な気がする。
明細が送られてこない
すべてのオンライン銀行で、取引明細は画面上で見ることができる。PDFでダウンロードもできる。ただ紙の明細は郵送では送られてこない。
その点、大手銀行の明細はきちんと郵送で定期的に送られてくる。これは何がいいかというと、この紙の明細がイギリスでは住所証明として扱われるのだ。賃貸契約書などは住所証明にならないのに、銀行明細は住所証明として最強という変な国なのである。
住所証明を確保するという意味で、大手銀行からの明細郵送は有用である。
住所証明と店舗での銀行口座開設について、詳しくはこちらを読んでいただきたい。
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