「イギリスの水は硬水」という話を聞いたことがあるかもしれない。確かに、私の住んでいるロンドンでは日常的に使うのは硬水だ。
しかし、イギリス全土が硬水かと言うと、そうではない。ここでは、イギリスのエリアごとの水の硬度について調べたことをお伝えしたい。
水の硬度とは何か?
水の硬度は、1L中に溶けているカルシウムとマグネシウムの質量(mg/L)により決まり、量が多ければ多いほど硬水であるとされている。
世界保健機関 (WHO)のガイドラインによると、区分は以下の通り。
- 0~59mg/L……軟水
- 60~119mg/L……中硬水(中程度の軟水)
- 120~179mg/L……硬水
- 180mg/L……非常な硬水
日本の水は、沖縄など一部地域を除いて基本的に軟水である。欧米は硬水・非常に硬水を使っている地域が多い。
地域別水の硬度一覧
以下、HARD WATER MAPをもとにイギリスの地域ごとに水の硬度をリスト化してみた。
イングランド
Bath – 硬水
Birmingham – 中硬水/硬水
Blackburn – 軟水
Blackpool – 軟水
Bolton – 軟水
Bournemouth – 硬水
Bradford – 軟水
Brighton – 硬水
Bristol – 硬水
Bromley – 硬水
Cambridge – 硬水
Canterbury – 硬水
Carlisle – 硬水/軟水
Chelmsford – 硬水
Chester – 軟水/硬水
Cleveland [Teesside] – 軟水
Colchester – 硬水
Coventry – 硬水
Crewe – 軟水
Croydon – 硬水
Darlington – 軟水
Dartford – 硬水
Derby – 硬水/軟水
Doncaster – 硬水
Dorchester – 硬水
Dudley – 中硬水
Durham – 軟水
Enfield – 硬水
Exeter – 軟水
Gloucester – 中硬水
Guildford – 硬水
Halifax – 軟水
Harrogate – 軟水
Harrow – 硬水
Hemel Hempstead – 硬水
Hereford – 中硬水
Huddersfield – 軟水
Hull – 硬水
Ilford – 硬水
Ipswich – 硬水
Kingston upon Thames – 硬水
Lancaster – 軟水
Leeds – 硬水/軟水
Leicester – 硬水
Lincoln – 硬水
Liverpool – 軟水
London E – 硬水 (アルファベットは郵便番号の一部。見方はこちらの記事をどうぞ→知ってると便利! イギリスの郵便番号制度)
London EC – 硬水
London N – 硬水
London NW – 硬水
London SE – 硬水
London SW – 硬水
London W – 硬水
London WC – 硬水
Luton – 硬水
Manchester – 軟水
Medway / Rochester – 硬水
Milton Keynes – 硬水
Newcastle upon Tyne – 硬水
Northampton – 硬水
Norwich – 硬水 Nottingham – 硬水
Oldham – 軟水
Oxford – 硬水
Peterborough – 硬水
Plymouth – 軟水
Portsmouth – 硬水
Preston – 軟水
Reading – 硬水
Redhill – 中硬水
Romford – 硬水
Salisbury – 硬水
Sheffield – 硬水
Slough – 硬水
Southall Uxbridge – 硬水
Southampton – 硬水
Southend-on-Sea – 硬水
St Albans – 硬水
Stevenage – 硬水
Stockport – 軟水
Stoke-on-Trent – 硬水
Sunderland – 硬水
Sutton – 硬水
Swindon – 硬水
Taunton – 中硬水
Telford – 硬水
Tonbridge – 硬水
Torquay – 軟水
Truro – 軟水
Twickenham – 硬水
Wakefield – 硬水
Walsall – 中硬水
Warrington – 軟水
Watford – 硬水
Wigan – 軟水
Wolverhampton – 硬水
Worcester – 中硬水
York – 硬水
ウェールズ
Cardiff – 軟水
Llandrindod Wells – 中硬水
Llandudno – 軟水/中硬水
Newport – 中硬水
Swansea – 軟水
Shrewsbury – 中硬水
スコットランド
Aberdeen – 軟水
Dundee – 軟水
Dumfries & Galloway – 軟水
Edinburgh – 軟水/中硬水
Falkirk & Stirling – 軟水
Glasgow – 軟水
Galashiels – 軟水
Inverness – 軟水
Kilmarnock – 軟水
Kirkwall – 軟水
Kirkcaldy – 軟水
Motherwell – 軟水
Paisley – 軟水
Perth – 軟水
北アイルランド
Northern division – 軟水
Eastern division – 軟水/中硬水
Southern division – 軟水/非常に硬水
Western division – 軟水/硬水
硬水で生活すると起きること
上のリストで、ロンドンは全部硬水じゃん! 地域分けする意味あんのかよ! と思った。私はロンドンに住んでいるので、全部硬水で生活しているのだが、軟水と違うこと、気を付けることを書いてみる。
髪や肌がゴワゴワになる(でも慣れる)
最初の1カ月はシャワーを浴びると髪がゴワゴワになり、肌も荒れた。でも不思議と、少し経つと体が慣れてくるのか、コンディションが整ってくるから不思議。
イギリスでは現地のシャンプーやコンディショナーを使うことをおすすめする。日本の製品は軟水で泡立つように作られているためか、泡立ちが悪い場合がある。
私は髪の量が多く、いつも日本では定期的に梳いてもらわないといけなかったのだが、硬水のせいか? あまり髪が広がらないため、多く見えなくなった。その代わり日本に帰った時にはぼわっとなる。
軟水を使いたい人はwater softener機能があるシャワーヘッドを使うと、軟水と同じ水になるらしい。
ライムスケールが発生する
ライムスケールとは、ケトルや鍋、食器、お風呂など、水を使う用具につく白い石灰質の物質のこと。別に健康にも影響ないし、問題はないのだが見た目が汚いためイギリス人にも嫌われている。
硬水を使っていると、このライムスケールがまあこびりつくこびりつく。特に電気ケトルは顕著。グラスや食器にもついてしまうのが困りもの。
食洗機に塩が必要
硬水の地域では、食洗機に塩を入れるスペースがある。スーパーでも専用の「dishwasher salt」が売っている。
塩で硬水を軟らかくし、食洗器や皿にライムスケールがつくのを防ぐ作用があるのだという。硬度が高ければ高いほど、より多くの塩が必要になる。
我が家の食洗機にももちろん塩スペースがあり、理由も特に調べず「そういうもんなのかな」と塩を入れていたが、そのためなのか、とこの記事を書くために調べてわかった。
ただ、塩をちゃんと入れていても、頻繁に使うグラスなどはライムスケールがついてしまう。一度ついてしまうと食洗機で洗ってもとれなくなる。
なので、気になる食器があったら定期的にライムスケール・リムーバーなどの洗剤でクリーニングするといい。我が家では、酢と洗剤で定期的に飲用グラスのライムスケールを除去している。
イギリス硬水地域のイヤなやつ「水垢」を除去してグラスをピカピカにする方法
飲むとお腹が緩くなる人がいるかも?
私は気にならないので、普通に水道水も飲んでいるが、軟水に慣れている日本人だと豊富なミネラルのせいでお腹が緩くなる人もいるとか。
来たばかりの時は様子を見ながら飲んだほうがいいかも?
日本とはかなり異なる水事情、知っているのと知らないのとでは大違い。イギリスにわたる前に、目的地の水の硬度を調べておくと、その後の生活がしやすくなると思う。
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