イギリスを統計から見るシリーズ「【統計で見る】イギリスの幸福度は世界19位。どんなことが幸せに影響する? 」の続編記事。
この記事では、イギリス国家統計の「幸福度には何が一番関係しているか?」より、恋愛関係の状況と幸福度がどう関連するのかを見ていく。
概要と、興味深かったものを抜粋して訳してある。
※この記事の内容はあくまで統計結果であって、これにより個人の幸福度を決定するものではありません。
参考資料:Measuring National Well-being – What matters most to Personal Well-being? (2011~2012年)
既婚者が一番幸福度が高い
ここでいう恋愛関係とは、既婚、独身、同棲、離婚、別れた直後、配偶者に先立たれたなどのパートナーとの関係を指す。
この調査は以下の4つの代表的な質問を設けて行われた。
- 全体的に、最近自分の人生にどれだけ満足しているか?
- 全体的に、人生であなたがしていることにどの程度価値があると思っているか?
- 全体的に、昨日どれだけ幸せを感じたか?
- 全体的に、昨日どれだけ不安を感じたか?
これらの質問に回答者は0~10の間で程度を表して回答する。0が「全くない」、10が「完全にある」を表す。
その他の環境がすべて同じだった場合、恋愛のステータスが幸福度に与える影響は以下のようになる。
- 既婚者は他のステータスの人より「幸福」に関する3つの数値すべてが一番高く、「不安感」が一番低い。
特に、「人生の満足感」は幸福度にかかわる他の要素にくらべて、比較的大きな差がついていると言える。
- 独身の人は既婚者より「人生の満足感」が0.5ポイント低い。
- 配偶者に先立たれた人は、既婚者より「人生の満足感」が0.7ポイント低い。
- 離婚したり相手と別れた人は既婚者より「人生の満足感」が0.6ポイント低い。
図:恋愛関係のステータスと幸福度の相関関係
上のグラフが「人生の満足感(緑)」「人生に感じる価値の高さ(紫)」「昨日幸福だったか(オレンジ)」
下のグラフが「昨日不安を感じたか」を表している。
0の基準は「既婚・パートナーがいる人」の数値。
グラフの横軸は左から「同棲」「独身」「配偶者に先立たれた人」「離婚/パートナーと別れた人」。
グラフの縦軸は質問の解答で得られた平均の数値だ。
「幸福」に関する3つの項目
同棲している人は既婚者の次に「人生の満足感」「人生に感じる価値」「昨日幸福だった」の数値が高い。
一番これらの項目の数値が低いのは、「配偶者に先立たれた人」であった。
幸福に関するこの3つの数値の満足度は、既婚者>同棲>>独身>>>>離婚/パートナーと別れた人>>配偶者に先立たれた人であった。
「不安感」に関する数値
「昨日不安を感じたか」という質問に対して、既婚者と比べると他のステータスの人は数値が高かったものの、上記の幸福に関する3つの項目よりは差が少なかった。
ここでは順位は既婚者<同棲<配偶者に先立たれた人<独身<<離婚/パートナーと別れた人であった。
幸福に関する3つの項目と比較すると、「配偶者に先立たれた人」は「独身」「離婚/パートナーと別れた人」より不安感は低いのだ。
(感想)明らかに、恋愛ステータスは幸福度に大きく影響すると言えそうだ。
だが、幸福に関する質問と、不安感に関する質問との「配偶者に先立たれた人」の順位の逆転を見るに、不安を感じるかどうかは「関係に満足しているかいないか」の要素が大きいのだろうか。
つまり同じ「パートナーとの別れ」でも、「死別」の場合は幸福感は低いが不安感も低い。「(生きているけれど)離別」の場合は幸福感は死別より高いが、不安感も高い。
最も幸福度に関係する要素が実験で明らかに(動画)
最後におまけとして。これは上の統計とは別の実験である。
ハーバード大学で、75年間にわたっていろいろな出自の人の人生と幸福度を調べた実験がある。貧困層、富裕層、様々なバックグラウンドを持った人の生涯を記録し、何が幸福度に関係したかを調べたもので、研究者はある1つの結論に達した。
この結論は、まるでこの統計を象徴しているかのようだ。
それを発表している短い映像があるので、答えが知りたい人はぜひ見てね↓(右下の吹き出しマークからJapaneseを選ぶと日本語字幕が出ます)
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