これまで何回か週末旅行などでさっとパリに行っているが、そろそろ美味しいレストランストックがたまってきたので、ここで紹介していきたいと思う。
パリはロンドンと違い、そこら辺の店に入ってもたいてい何でも美味しい。なので、ここでは特に私が感動したお店に絞ってリストアップしていく。
目次
評判のレストランのねらい目はランチのコース
パリのレストランでかかる食事代は、決して安くない。特に日本から来ると、一般的にヨーロッパのレストランの値段は余計高く感じるだろう。都心のパリならなおさらである。
ミシュランに選ばれるような高級店はもちろん、評判のレストランはかなりいい価格になってしまうこともある。だが、そういう店は平日のランチがねらい目だ。
だいたい「前菜+メイン+デザートで●●ユーロ」といったような、単品で頼むよりリーズナブルなコースを提供している店が多いからだ。もちろんディナーでそういうコースがある店もあるが、ランチの方が価格が安くお得度が高い気がする。こういうコースは、フランスではformulaまたはmenuという。単品で頼むメニューはa la carte(アラカルト)という。
この記事ではランチもディナーも入り乱れているが、概してお酒込みで2人で100ユーロ(以下)くらいのレンジのお店を揃えた。私はお酒が好きで、ディナーなら夫と2人でワインを1本あけたりするので、そこまで飲まない人はもっと安くなるかな。
では、ここからおすすめの5店を紹介していく。パリの中央を横断している大きな運河、セーヌ川の北と南にわけてみた。ほとんど中心部のレストランだが、中心部→郊外よりの順になっている。
セーヌ川北側のレストラン
Les Enfants Rouges
日本人のシェフが経営しており、スタッフやお客さんも日本人が多いレストラン。フランス料理に日本的な要素を加えた素晴らしい料理を提供している。
前菜のさらに前に出された、カボチャのムースとチョコのクランブル。ちょっとしたデザートのよう。
私が前菜で頼んだコーンのスープ。冷たいものか温かいものを選べる。この日は暑かったので、冷製にした。
このスープには良い意味でショックを受けた。
赤いものはカリカリのベーコンなのだが、スプーンひとすくいを口に含むと、コーンの甘さ、焦がしたコーンの香ばしさ、ベーコンの塩味と旨味が一気に舌を撫でる。また食感も、クリーミーなスープ、カリカリしたベーコン、シャクシャクとしたコーンが混ざって抑揚がある。
さまざまな食材を繊細に組み合わせていく、フランス料理の神髄を見たような気がしたのだ。
夫の頼んだ前菜、サーモンのマリネ。これはほとんどお刺身を食べているような感じで、やはりいろいろな食感とソースの風味が組み合わさっている。いくらが異常にプチプチしていて驚いた。
私が頼んだメイン、鹿肉のシチュー。お皿に乗っている黄色いものは小さなポテトグラタンである。
これが、
こうなる。
鹿肉はナイフがいらないくらい、スプーンでもほろほろと崩れるほど柔らかい。このまったりとしたソースと、酢漬けのマッシュルームとベリーの酸っぱさが良くマッチする。
夫の頼んだメインは、イベリコ豚のソテー。アサリとの組み合わせが斬新。イベリコ豚は旨味がたっぷりでやはりとても柔らかく、アサリのエキスとその他ソースとの合わさり、またシャキシャキのカリフラワーの食感もあいまって本当に美味しかった。
繊細なフランス料理を味わいたいなら、絶対におすすめのレストラン。あと、日本人にとっては日本語で注文ができるのもメリットかも?
住所:9 Rue de Beauce, 75003 Paris, France
Le Petit Marché
レビューによると鴨のグリルが有名らしく、鴨好きの私がワクワクして行ったレストラン。結果的に大正解であった。
前菜の鯛のセビーチェ。要はカルパッチョみたいなものである。パクチーがアクセントとして添えられていて、パクチー好きの私は歓喜。
ぷりぷりしていて、シャキッとしたキュウリともよく合っていた。やや酸味の強い味付け。
夫の頼んだサーモンのカルパッチョ。ヨーロッパでタルタルと言えば、細かく切った生の肉または魚をマリネや味付けしたものをいう。
アボカドと混ぜてあり、まったりと濃厚な食感、それでいてさっぱりとした味付けなので、白ワインによく合う。味付けはこちらの方がしっかりしていて好みだったかも。
さて、これがメインの鴨のグリル。ボリュームもすごいけど、何がすごいって、付け合わせに焼いたバナナがついてくること。
鴨のグリルはややレアで、牛肉のステーキにも似ており、噛むと味がギュッと出てくる。
こってり系の甘しょっぱい味付けなのだが、甘いバナナと一緒に食べると、これがどうしてかなり美味な組み合わせなのだ。こんな組み合わせ、考えたこともなかった。フランス人はすごい。
夫の頼んだラムのステーキ。クリームにハーブをきかせたソースが、溶けるように柔らかな肉に絡まっている。それでいてラムの風味と肉質が堪能できる。
鴨好きの人にぜひ行ってもらいたいお店。
住所:9 Rue de Béarn, 75003 Paris, France
セーヌ川南側のレストラン
La Jacobine
ここは料理1つ1つの繊細さはあまりないけれど、代表的なフランス料理のとっても美味しいバージョン(なんだそれは)を食べられる場所。
パリ一美味しいとレビューで言われていたオニオンスープ。他で食べたことがないので比べようがないが、王道のオニオンスープ、という感じ。パンに染みたスープがじゅわっと出てくるのがたまらない。
もっと寒い時に食べたらさらに美味しかっただろうな~。
エスカルゴも頼んだ。ガーリック+オイルでパンが進む進む。ワインも進む進む。本体というより、ソースを楽しむものだな、これ、と食べる度に思う。
ここは肉の煮込み系がメインに多かったのだが、私はラムの骨付き肉の煮込みを頼んだ。
ラム肉は食感しっかり、とこどころトロッとしていて食べ甲斐がある。また、やっぱフランス料理の特徴はソースなのよ!! と再確認するくらいソースが美味しかった。イチジクが一緒に煮込まれていて、ほのかなフルーティーな甘みがある。
このソースがまたね、日本人が好きな味、というか米に超絶合う。別に醤油が入っているわけでもないと思うけど、ちょっと懐かしさすら覚える味だったかも。
夫が頼んだ豚肉のフィレミニョン。牛肉でよく聞く部位だが、豚肉は珍しい。要は尾に近い赤身肉で、脂肪の少ない柔らかい部位だそう。
さっぱりとしているので、濃厚なクリーム系ソースをよく絡めて食べる。マスタードがピリリとアクセントになって、飽きがこない。肉だけど軽い感じで食べられる。
シンプルに美味しいご飯を味わいたい時におすすめのお店。
住所:59-61 Rue Saint-André des Arts, 75006 Paris, France
Bistrotters
初めて行った時に衝撃を受けたとともに、何度もリピートしたい(してる)レストラン。
ここでも、さまざまな食感のハーモニーと、繊細な調理法、味付けに驚かされること間違いなし。
青ネギが混ざったマグロのタルタル。上に乗っているのはアボカドのクリーム。
塩気もちょうどよく、さっぱりとしているマグロと濃厚なクリームの組み合わせが抜群。薄いクラッカーがついているので、それに乗せて食べると、パリパリの食感が追加されてさらに◎。
夫が頼んだ鶏むね肉の前菜。むね肉だけど大変柔らかく、シャキシャキのラディッシュと一緒にサラダ感覚で食べられる。
メインに頼んだタコのグリル。
私、魚介類、特に軟体動物の扱いに関しては日本料理を上回るものなどないだろうと思っていたのだけど、それが覆された。これが私の人生の中で一番美味しかったタコ料理。
グリルなので刺身のようなぷりぷり感ではなく、とにかく口の中でほろりとほぐれるほどソフトな食感。タコってこんなに柔らかくなるの⁉とびっくりした。
バジルのソースをつけて食べると最高。一口ごとに美味しい、美味しいと言いながら食べた。
夫のメイン、子牛のステーキ。完璧なミディアムレアに仕上がった肉を、マッシュルームの旨味が存分に出たソースと絡めて食べる。肉とキノコの相性はやはり間違いないと思わされる逸品。
もう1つ、友達と行った時のメニューも載せてみよう。
前菜のイカのサラダ。ここでは魚介ばかり頼んでしまう。ボイルしてあるイカがカボチャのソースと合わせてある。ハーブとスパイス、ソースの甘み、イカの旨味などが一気に押し寄せる。
友人が頼んだ、季節の野菜の前菜。こちらもカボチャのソース。たぶんハロウィンが近かったからかな。軽くグリルしてある野菜と新鮮な生野菜がミックスされている。
白身魚のグリル。魚見えてないけど。笑
全体的に白のカラーでまとまっているプレート。泡立っているものは酸味のあるソースで、その下に魚が隠れている。こんなソースの添え方は斬新。
クリーム状のものはカリフラワーのペースト。ほんのり甘くて、芋のようにまったりしており、一気にカリフラワーペーストのファンになった。
友人は牛のステーキを頼んでいたが、写真は撮らなかったのでない。こちらも相当に美味しかったようだ。焼トウモロコシが乗っていて、その甘さと香ばしさもとてもバランスがよかったと。フランスでは、甘味と塩味の組み合わせにさまざまなバリエーションがあるので楽しい。
ここは万人におすすめしたいレストラン。
住所:9 Rue Decrès, 75014 Paris, France
番外編:フランスで味わってほしいビールとスイーツ
フランスに行ったらぜひ味わってほしいものをおまけで紹介。
甘味を普段食べない私が珍しく好きな洋菓子。
フランスの小さな焼き菓子、カヌレ(Canelé)。外はややカリッとしているが、中はもっちもち。超もちもち。蜂蜜の味がほんのりして、美味しいのだ、これが。
ロンドンでも売っているところはある(日本でも確実にある)けれど、巡り合える機会はそこまで多くないので、パリに行くと探してしまう。パリでは、パン屋さんやお菓子屋さんに普通に置いてある確率高し。
こちらは友人に「フランスには美味しいビールがあるよ」とおすすめされて飲んでみたホワイトビール。「1664 Blanche」というメニュー名であった。
これが大当たり。ビールの概念を覆すほどフルーティーで美味しい。ピーチのようなフレーバーなのだが、甘いわけではない。とても飲みやすく、癖になる。苦いビールが苦手な人におすすめ。
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