アメリカは他の多くの国と違い、長さや質量などの単位にヤード・ポンド法を用いていることで有名だが、実はイギリスでも日本人には馴染みのないこれらの単位が日常的に用いられる。
今回は、イギリスで生活しているとよく遭遇する単位について紹介したい。日本で使われている単位はメートル法といい、ずっとメートル法で生きていた私は、未だにヤード・ポンド法に慣れない。
目次
メートル法とヤード・ポンド法の違い
ヤード・ポンド法という名前だが、ヤード(長さ)とポンド(重さ)だけではなく、さまざまなものの単位がここには含まれている。
イギリスでよく使われる単位を、メートル法と比較してみよう。左がヤード・ポンド法、右が私たちに馴染みのあるメートル法。
- 長さ:インチ、フィート、ヤード、マイルなど⇔ミリメートル、センチメートル、メートル、キロメートルなど
- 重さ:ポンド、ストーンなど⇔ミリグラム、キログラムなど
- 液体の重さ:オンス、パイントなど⇔ミリリットル、リットルなど
他にもいろいろあるらしいけれど、実際の生活でよく見るのはこれくらい。
イギリスではヤード・ポンド法は公式ではないけど健在
イギリスのヤード・ポンド法は帝国単位とも呼ばれ、1824年に定められた。厳密にはアメリカのそれとも基準が異なるという。帝国単位はその前のイギリス単位が基になっており、アメリカのヤード・ポンド法もそこから枝分かれしたものらしい。
1995年よりイギリスでも公式の単位はメートル法になったが、未だに多くの人が日常的に帝国単位を使っている。メートル法と帝国単位が併記されているのも見る。
また、法律においてもいくつか例外があり、法律で強制、または使用を許可されている単位がある。そのいくつかが、上で挙げた種類だ。
例えば、パブでのビール1杯の単位は必ず「パイント」で表さなければならないとか、道路標識はヤードやマイルで表示しなければならないとか、そういう決まりがあるようだ。イギリスでは車の速度計もマイル表記になっている。
長さの単位:インチ、フィート
1インチ=25.4 mm。
1フィート=12インチ=0.3048 m。
メートル法で言えばmmやcm、mなどの短めの長さを表す時に使う。
イギリスでは特に身長の表記でよく見る。ただメートル法に慣れていると、なんて中途半端な単位なんだ……と思ったり。
ちなみに、イギリスで靴を買いに行くとわかるけれど、靴のサイズ表記もインチらしい。しかし、単純にインチで計算すると合わないのだ。
例えば、UKサイズ5が日本の23.5cmに当たるそうなのだが、25.4mm(1インチ分の長さ)×5=127mm=12.7cm なので、23.5cmに全然及ばない……なんだこれ。
調べてみたら、どうやらイギリスでは4インチ(10.2cm)を0インチ扱いにし、そこから独自の規格で計算していくらしい。なので、靴のサイズは単純な帝国単位のインチでは測れないらしい。なんだか複雑で私の頭ではよく理解できなかったので、ネットで見つけられる「日本の靴サイズとUK靴サイズの換算表」みたいなものを今後もずっと使っていこうと思う。
距離の単位:ヤード・マイル
こちらはさらに大きな長さの単位。
1ヤード=3フィート=0.9144 m
1マイル=1760ヤード=1609.344 m(約1.6km)
ヤードとマイルの間にも中間の単位があるが、よく見るのはこの2つ。
以前、アイルランドにバイクで旅行に行った時に面白い体験をした。
イギリスの一部である北アイルランドは、別の国であるアイルランド共和国と当然地続きになっているが、車で国境を超える時は、その境をまたいだ瞬間から道路標識の表示がマイルからキロメートル表記になる。この時が一番「ああ国境を超えたんだ」と実感した。
重さの単位:ポンド、ストーン
1ポンド=約454g
1ストーン=14ポンド=約6.4kg
ちなみにポンドはlb(複数形はsがつく)、ストーンはstと表記する。
これは体重を表したり、スーパーで果物や野菜の価格表記(1lbあたりいくら、と書かれている)でよく見る。
例としてはこんな感じ。NHS(イギリスの国民保健サービス)のダイエット体験談のページから。
わかりやすいようにkgとlbが併記されているが、個人の発言の引用には、「2 stones and 4lbs」といったように、ヤード・ポンド法が使われている。今でも現役で多くの人が使っている単位なのだ。
ちなみに、トン(約1000kg)はヤード・ポンド法でも使われている。
通貨のポンドと重さの単位のポンドは関係があるのか?
ポンドといえばイギリスの通貨の名称でもあるが、重さの単位のポンドと密接な関わりがある。
通貨のポンドという名称は、重さの単位のポンドから名付けられているのだ。
15世紀からイングランドではトロイ衡という質量単位法が使われていた。トロイ衡は帝国単位の基になったイギリス単位の一部でもある。
この中にトロイポンドという銀の重さを表すための単位がある。以前、イングランドでは1トロイポンドの重さの銀を通貨として使用していた。これが由来で、現在の通貨もポンドと呼ばれているのだという。
液体の単位:オンス、パイント
1液量オンス=約28ml
1パイント=20オンス=約568ml
料理のレシピを見ていると、水や液体調味料の量を表すのによくオンス(oz)が使われる。この単位をなかなか覚えられず毎回mlに換算している。また、なぜオンス(ounce)の略表記がozなのだろう……と見る度に思う。
他にレシピでよく出てくるのは、テーブルスプーン(tbsp)とティースプーン(tsp)いう表記だ。日本の大さじ小さじみたいなもの。
パイントは、イギリスでは圧倒的に「ビールのための単位」である。パブやレストランでは、ビールジョッキは1パイントが基本単位だ。
イギリスでは、ビールグラスに1パイント分の容量が入る証明である印がつけられていたり、「1 pint」の基準となる線が引いてあったりして、きちんと1パイント分のビールを提供しなければいけないと法律で決まっている。ビールには真剣な国なのである。
500ml以上も飲めないよ、という人のために、半量のハーフパイントという注文もできる。
パブでの注文の仕方はこちらで詳しく解説しているのでご参考まで。
これらの表記を、メートル法に換算した値を覚えてしまえばもう少しイギリスでの生活が便利になりそうな気がする。が、メートル法とあまりに違うので、やはりなかなか難しくまだできていないのだった。
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