代表的なイギリスのパブ飯の一つにパイがある。甘いパイではなくて、パイ生地の中にいろいろな種類のシチューが入っている、食事用のパイだ。
私の中では、イギリス料理の中では美味しい貴重な食べ物という位置づけとなっている。
スーパーでも温めるだけのパイや冷凍のパイが売られているので、パブやレストラン以外でも食べられる。先日、私は新しい形のパイを見つけてしまった。「缶詰に入ったパイ」である。
買った。
いや買うでしょ、なんだよ缶詰のパイって。ていうか中はどうなってるんだ。ちなみに値段は2ポンドだった。
というわけで、今回はイギリス飯「缶詰パイ」の食レポをしよう。
缶詰パイを食べる
味はチーズ&オニオンか、ステーキ&キドニーの2種類しかなかった。チーズをあまりたくさん食べられない人間なので、キドニーパイにした。
ステーキ&キドニー(腎臓)パイは、パイ生地の中に牛肉とモツのシチューが入ったもの。このパイに使われているモツは豚のものだった。要は西洋版モツ煮込みなので、日本人はそんなに抵抗はないかも。でもモツ煮よりも臭みがあるので、好みは分かれると思う。私は好きでも嫌いでもない。
パイなら、チキン&リークとか、ギネスビールで牛肉を煮込んだギネス・パイとか他の具の方が好きだ。今回は選択肢になかったからしょうがない。
缶詰だけどなんだかやたら大きい
それにしてもサイズがでかい。パイとしてはまあ普通の範囲内のサイズだと思うが、こんな大きな缶詰は見たことがない。比較として、普通の缶詰(カニ缶とトマト缶)と並べてみた。パイ缶の大きさがおわかりいただけるだろう。
Fray Bentosという名前のブランドで(一瞬弁当にかけてるのかと思った、そんなわけはない)、1800年代後半に創業した老舗ブランドらしい。
賞味期限は2022年7月ということで、今から1年半くらい持つ。缶詰に入ったパイなんて、生地はぐちゃぐちゃなんじゃないの……と思っていたら、これはちゃんと調理をして食べるものなのだった。
缶詰パイを調理する
裏を見ると、「蓋を開けてから230℃に予熱したオーブンで25~30分焼く」とある。あ、焼くんだ! そりゃそうか。そして結構時間かかるね?
缶切りで蓋を開けた。開ける時、蓋の縁で指を切りそうになるのでナイフとか使って開けた方がいい。すごく頑丈な蓋なのと、イギリスの缶切りに慣れていないのもあって開けるのに数分かかった。
開けたところ。うーーん……これは……どうなるんだろう……。開ける時にナイフが当たって少しひびが入ってしまった。
とりあえずオーブンに入れる。こんなにでかい缶詰をオーブンに入れる作業はなんだか不思議な感じがするな……。
時間が経つと、ちゃんと膨らんできた……!
25分後にオーブンから出したところ。
見た目がちゃんとパイじゃないか……!!!
ちょっと感動してしまった。ちゃんとできるもんだ(ナイフで割ったところはそのまま割れてしまったけど)。シチューがパイ生地に包まれているのではなく、下にシチューが入っていて、その上にパイ生地が蓋代わりに乗っているパターン。
だが、問題は味である。これまでの経験から、イギリス料理、特にこういう総菜やインスタント系料理への期待値がものすごく低くなっているので、食べられたらラッキーくらいの感覚で食べてみる。
実食してみる
実食。大きいので夫と二人で取り分けて食べる。取り分ける時にシチューがこぼれてしまい、相変わらず映えない写真しか撮れていない。
いや、意外と普通に美味しい……!
地の底のような低い期待しか持っていなかったからかもしれないが、パイ生地は焼いたばかりだからサクサクだし、シチューも思っていたよりちゃんとした味がする。具は少なめだけど、缶詰だし安いしこんなものだろう、という感じはする。
いやわからないけど。イギリスの味に慣れてしまっただけかもしれないけど(あまり自分の舌が信じられなくなっている)。ただ、予想していたよりも良いものだったので嬉しい驚きだった。
でももう1回買うか? と言われると、もういいや(笑)。一般的な非常食にはならないけど、日持ちするからこの味のパイが好きな人が買っておいたりするのかな。
なんにせよ、面白い体験ができてよかった。他にも気になるものがあったら今後もトライしていきたい。
後日、その他の缶詰・瓶詰食品にもトライしてみた。その時の記録はこちら。
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