バイクでロンドンを発ち、アイルランド一周10日間の旅をしてきた。運転は夫で私は後ろに同乗していたので、走っている最中でも、道中さまざまなものを「発見」できた。
この記事では、今回の旅の概要と目次を書いていく。
目次
アイルランドと北アイルランド
アイルランドは、アイルランド共和国(緑)と、北アイルランド(赤)の2つの国に分けられる。
北アイルランドはイギリスの一部で、アイルランド共和国は別の国だ。どちらも公用語は英語とアイルランド語、地続きなので文化も同じだが、別の国として機能している。
バイクで国境を渡る時には、特に印のようなものやボーダーコントロールなどもないため、パスポートチェックなどは不要だ(飛行機で移動する際には必要)。
北アイルランド(イギリス)からアイルランド共和国に入った途端、マイル表示はkmに、通貨はポンドからユーロに変わるのが少し不思議な感じがする。
フェリーを使って渡る
ルートは、ロンドンから北上してHoly Headという港からフェリーに乗り、アイルランドの首都ダブリンへ渡るというもの。ダブリンから北上し、アイルランドをぐるりと一周してまたダブリンに戻る、という文字通り「一周」だ。
巨大なフェリーで、バイク、乗用車はもちろん、大型トラックやバスなども一緒に乗り込める。私たちはこんなスペースにバイクを置いて中へ入った。
3時間ほどのフェリーの旅だったが、レストランにバー、映画館、免税店までついていて、かなりリラックスした旅となった。
動いていても全く揺れを感じないので、普通にホテルの中にいるみたい。
こちらは免税店。お土産もそうだが、飲食物の価格はやはり割高だ。
フェリーの値段はホーリーヘッド⇔ダブリン往復で1人あたり70ポンド。この値段で海外(一応)に行けて、こんな設備の船に乗れるならお得だと思う。
バイク旅の醍醐味
私はバイクそのものには興味がなく、最初は夫のバイク趣味に付き合って同乗するようになったのだが、だんだんバイクの旅が好きになってきている。
バイク旅のいいところは、なんといっても「視野が広くなる」ことだ。車だと車体で遮られてしまう視界が、バイクだとまんべんなく見渡せる。
風や匂いを感じることができるのも好きだ。農場の近くを通った時は動物の匂い、森に入った時は緑の匂いがする。この独特の臨場感はバイクでないと味わえないな、と思う。
最も大事なのは天気
バイク旅で一番大事なのは天気だ。アイルランドは常に雨が降っていると言われるほど冴えない天気が多いらしいが、私たちが旅行した時はラッキーで、1日しか雨に降られず、ほとんどが快晴だった。
初日などは走行中に風を受けていても汗ばんでしまうくらい気温の高い日で、こんな日は珍しい。
植物の緑と空の青が美しい。
ギアが全部ウォータープルーフなので、雨が降っても濡れはしないけど、雨の日はやはり車の方が快適だな、と思う。
「のっぺり旅」ではいろいろな発見がある
今回、ダブリンやベルファストなど都市部には行かずに、ひたすら海岸沿いや地方の小さな町を走って回った。
都市部も楽しいが、どうしても「観光地」感が前面に出ているし、お店などもロンドンとたいして変わらないので、地方の方が楽しそうだと思ったためだ。せっかくのバイクだし、大自然を満喫したい。
大都市は今やどの国でもだいたい同じような構成になってしまっているのは、少し残念だ。
今回の旅のテーマは、今振り返ると「自然」「地方」「動物」だった。
B&B(ベッド&ブレックファースト=日本で言う民宿)だけ日数分予約して、あとはあまり予定を厳密に決めずスタート。面白そうなものや綺麗な景色を見つけたらその都度降りて見に行ったり、のんびりしたり。
地味~~に何時間もバイクに乗っている時もあるし、それでお尻が痛くなったりもする。特別なものは何もないし、ラグジュアリーなホテルに行ったりレストランを予約するわけでもない。
バイクだと荷物は最小限に抑えないといけないので、お洒落な服も持っていけない。そもそもいつもバイクのギアを着ているのでお洒落とはほど遠い格好でうろつくことになる。
でも、ローカルな地域を走っていると、ふと面白い「発見」がいくつもある。1つ1つはとても地味だ。でもそれがいい。
このような、地味にいろいろ見つけていく旅を、私は「のっぺり旅」と呼んでいる。
のっぺり…… 平らで変化のないさま。類義語: 起伏の乏しい ・ 平坦な ・ 抑揚のない ・ 凹凸の少ない
今回の旅で見かけたもの
走っていると、いろいろなものを見かける。
大自然の中で、放牧されている動物たち。
羊や牛はどこにでもいる。
牛がたくさんいる場所にバイクを停めたら、一か所にわらわらと集まってきて、全員から凝視された。そのうちリーダーっぽい牝牛が私たちに向かって鳴き始めたので怪しまれていたのかもしれない(見ていただけなんだけどね……)。
とても美しかった湖畔の景色。左側に教会? お城? のような建物が見える。このような石造りの建物が、もう使われなくなって遺跡として残っている姿を道中多く見かけた。
ある海岸で見つけた笑顔の動物。熊だと私は思っている。
ものすごい手作り感溢れる劇場。一番上に「coming soon -ish」と書いてある。
「ish(イッシュ)」とは「だいたい」とか「くらい」などの意味で、「5pm-ish(5時くらい)」などと使われたりする。
ishが黒枠で強調されているところなど、いつまでもオープンしないのではないだろうか、と思わせる。
石垣文化を見つけた
吊り橋と古城を堪能した
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吊り橋や古城といった名所を回った。城の遺跡では意外なものも見つけてしまった。
バイク旅+ピクニックは王道
バイク旅で私が好きなのが、ピクニックである。
特に今回は、宿が全部人里離れたところで飲食店が周りにないので、夕食をピクニックにし、昼にレストランで地元の料理を食べる、というパターンが多かった。
この時期にはすでにアイルランドは夜の9時過ぎまで明るいので、外で景色を眺めながらのピクニックも十分に可能なのだ。
あまりたくさんのものは運べないので、パンと少しの野菜、チーズ、サラミなどを買い、サンドイッチを作って食べるというもの。
朝食だけは宿についていて、アイリッシュ・ブレックファーストというイングリッシュ・ブレックファーストの亜種のようなものを食べていた。
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農場兼民宿にステイ
利用したB&Bの1つが、本格的な農場を経営しているところだった。
農場に泊まるのは初めての体験だ。着いて荷物をおろしてから、農場見学をさせてもらった。
この春生まれたばかりの子羊たちがとてもかわいい。羊は臆病で、少しの物音でもすぐに逃げてしまう。
こちらが牛舎。オーナーによれば、あと2つ農場を持っていて、ここが一番小さいのだそうだ。
周りの平原も全部オーナーの土地で、動物たちを何百頭も放牧している。
若い牛たち。まだ外には出さずに、ここで太らせてから放牧するという。安全のため、若いうちに角を切る。
羊は基本大人も子どもも放牧されているのだが、この子羊たちは親が死んでしまった子たちで、中で世話をしているんだとか。
かしこい牧羊犬が2匹いた。写真はそのうちの1匹で、人見知りのようだ。もう1匹はとてもフレンドリーで、人が来ると「撫でて~」と寄ってきて、近すぎて写真が撮れなかった。
オーナーは毎日朝の6時半から夜の10時まで働いているという。「利益が少ないので、人を雇う余裕はない」と
「来週から、300頭の羊の屠殺を始めるんだ」と教えてくれたが、改めて、普段食べている肉はこういうところでできているのね、と実感した。見られてよかった。
Rossmore Farmhouse B&B
住所:Rossmore, Tullyearl, Co. Donegal, Ireland
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