5泊6日でポルトガル旅行に行ってきた。
この記事では、ポルトガルでよく見られるアズレージョという壁画に特化した美術館と、美しい建築と眺望が楽しめる国立パンテオンについて紹介したい。どれもリスボン東側にある観光地。
ポルトガルの街の概要と、この旅の目次的な記事についてはこちらから。
アズレージョ美術館
アズレージョとは、ポルトガルでは15世紀から伝わり続けてきた伝統的な芸術で、アラビア文化の影響を受けたタイル画のこと。釉薬をかけて焼いたタイルを敷き詰めて壁画を作る。宗教建築や駅などの他に、一般の家に使われることもあるらしい。
リスボン市内中心部からバスで20分ほど東側に行ったところにある国立アズレージョ美術館は、このアズレージョ作品を多く展示している。ここでは、さまざまなアズレージョが見られると共に、大変美しい教会も見学できる。
回廊にも幾何学模様のアズレージョ。イスラム美術を思わせる。
この美術館は、1500年代に王家によって建てられた修道院を利用した建物で、3階建ての建物が中庭をぐるりと囲う回廊の形をしている。
中庭の中央には今は使われていない噴水があった。中を覗いてみると……。
なぜか亀。
青と黄色のコントラストが映えるタイル。
ライオンと猟犬を中央に置き、装飾亭な草花文様をあしらった横長のタイル。元々は宮殿にあった「狩猟の間」に飾られていた作品だそうだ。これはライオン狩りの様子を描いているのだろう。
アズレージョにはさまざまな色が使われるが、よく見かけるのはこのように白地に青の釉薬を使ったもの。
聖ラウレンティウスはキリスト教が禁じられていた頃の古代ローマの聖人で、貧しい者たちに施しをしていてが捕えられ殺害されてしまった。ここでは、捕えられて背中をえぐられているように見える。なんとも残虐な……。
聖アントニオのチャペル
2階には、ポルトガルの守護聖人聖アントニオを祀るチャペルがある。ここも美しいアズレージョが壁に施されている。ポルトガルでは聖アントニオの人気が高く、リスボン市内にはアントニオ生誕の地とされる場所に教会もある。
聖アントニオの生涯を描いた絵画の数々が嵌め込まれた天井は圧巻。
奥には、テラコッタ製の見事な群像彫刻が展示されていた。鮮やかに彩色された群像で、派手なチャペルの内装にも負けていない。キリストの誕生の場面を表したもので、下部中央には生まれたばかりのキリストが見える。
その背後、高い位置には、ラクダや馬に乗ってやってくる異国の地の使節たちが見える。キリストの誕生を祝福しに訪れたのだ。
奥に進むと、これまた豪華な聖歌隊席が現れた。ここでは王家の肖像画や聖遺物を見ることができる。
また、2階からは1階にある教会を見下ろすこともできた。
これも大変美しい教会。後に階下に降りてから見学する。
3階には、一面の壁を覆うように展示された、リスボンの街のパノラマビューを描いたアズレージョが展示されている。
1755年の大地震で8割の建物が倒壊したと言われるリスボンの、地震前の姿を伝える貴重な作品だ。丘の上にそびえ立つのは、完全な姿をしたサン・ジョルジェ城。今は要塞の一部だけが残る。
ポルトガル王家が代々250年間住んでいたリベイラ宮殿。大地震で損壊した後、国王が閉所恐怖症になってしまい別の場所で余生を過ごすことにしたため再建されず、現在ではコメルシオ広場という広場になっている。
この美術館では、階段にも美しいアズレージョが。1階まで降りて併設の教会に入る。
併設の教会は金×アズレージョで豪華絢爛
壁面には青色のアズレージョ、それに金色の白色の贅沢な内装が組み合わさったデザイン。
天井には聖母マリアや聖人を描いた絵画が嵌め込まれている。
野生の鹿を描いたアズレージョ。まわりの植物文様が、教会内装の装飾性にさらにひと味加えている。
メイン祭壇の上部にある半円アーチの聖母被昇天の絵。中央のマリアの上には、父なる神(右)と神の子キリスト(左)、精霊の鳩の三位一体が出迎えている。また天使がたくさん彫られた金の外枠がデコラティブなことといったら……。
メイン祭壇を斜めから見たところ。贅の限りを尽くしたようなデザイン。
メイン祭壇の聖母子像。階段状の玉座のようなもので装飾されている。
上を見上げると、息を呑むほど美しいドーム天井があった。規則的なカーブが織りなす造形が、見ていて心地よい。
この教会を見るためだけでも、入る価値があると思わせる美術館だった。
住所:R. Me. Deus 4, 1900-312 Lisboa, Portugal
料金:5ユーロ、12歳以下無料
ターミナル駅サンタ・アポローニャ近くにあるパンテオン
こちらはさらに東に行ったところにあるスポット。第二の都市ポルトに電車で移動するために利用した、サンタ・アポローニャ駅の近くにある。出発まで時間があるので覗いてみた建物だが、なかなか良かったので紹介したい。
元は17世紀に建てられたサンタ・エングラシア教会という教会だったが、現在は著名人を祀る国立のパンテオンとして運営されている。
中は上まで吹き抜けになっていて、高い天井が特徴的。指導者や作家、歌手など、多くの棺が眠る場所。
天井はドームがいくつもくっついたような特殊な形をしている。この中央のドームは20世紀に加えられたものだとか。
上に登ってみた。上階にも通路があり、ぐるりと一周できる。
かなり高いところまで来た。改めて引いて床の模様を見るとかなりポップで、まるで抽象絵画のよう。
最上部に登ると、海を見渡せる展望台へ出る。ポルトガルは本当に美しい空を持っている。
青い空と青い海、そしてカラフルなリスボンの家々の組み合わせは、今でもすぐに思い浮かべられるくらい印象に残っている。
ナショナル・パンテオン(サンタ・エングラシア教会)
住所:Campo de Santa Clara, 1100-471 Lisboa, Portugal
料金:4ユーロ
この後、次の都市ポルトへと移動
パンテオン見学後、3時間ほど高速鉄道に揺られ、リスボンからポルトに移動した。
最後の日は雨にふられてしまったけれど、小さな街ポルトではゆったり穏やかなホリデーを過ごせた。
ポルトの街の様子はこちらから。
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