カツのないカツカレー?名前だけ同じで中身が違うイギリスの奇妙な日本食

イギリスでもだいぶ日本食が広まってきた。日本食を扱うお店が次々とオープンし、また一般のスーパーでも日本風の食品を売るようになっている。

もちろんイギリス人向けなので、味はイギリスナイズドされているものも結構ある。

だが、その域を超えた、中身が違ってもはや料理名や食材名だけが独り歩きしているものも結構あるのだ。今回は、そんなイギリスで見られる「日本食のようで何かが違うもの」を紹介していきたい。

katsu(カツ)

カツはここ数年で一気に見かけるようになった名前だ。だが、カツ=日本食のシンボルみたいなイメージなのか、カツの姿がなくても「カツ」という名前をつけるという現象が起きている。

例えばこれは「カツカレー(Katsu Curry)」と書かれたソースだが、ご覧の通りカツが入っているわけでもなんでもない、我々日本人からすればただのカレールーである。

裏側にはおすすめの調理法として、「パン粉をつけて揚げたチキン、豆腐、エビにかけるとなお良いです」とある。トンカツはないのだな…と思った(おそらく豚肉の食べられないムスリムの人への配慮)。だが、これはまだマシな方である。

もう一つ見つけたカツカレーソースの原材料表示のところには「ココナッツクリーム」の文字があり、カツどころか日本のカレーですらないのではないか、という疑惑が浮上した。

面白かったので購入した。まだ食べていないが、タイカレー的な感じでエビやナスを入れたら美味しいのでは、と思っている。

この他にも、カツカレー味のインスタントヌードルも見たことがある(本当にカツが入っているとは思えない)。そう、イギリスではいろいろな場所でカツのない「カツ」が頻発する。カツの名称濫用問題がかなり深刻化していることがおわかりいただけるだろう。

Kombucha(コンブチャ)

これはすごい。昆布でも茶でもない、かろうじて液体ということだけ日本の昆布茶と共通している飲み物である。ヘルシーな発酵飲料としてヨーロッパでは「Kombucha」の名で売られている。割と健康意識高めの、オーガニック! ヘルシーな食生活! マクロビ! 的な位置づけの商品だ。

買った。

「ラズベリー&エルダーフラワー」という文字で、私が知っている昆布茶の概念はすべて取り払わなければならないことを悟る。

さらに、自動レジでこれらを買おうとした時に「アルコール飲料なので年齢確認が必要です」という表示が出た。えっ? と思ってパッケージを見たら、左側のRUDE HEALTHの方に1.2%の微量アルコールが含まれているという(発酵の結果だろうか)。

昆布でも茶でもない上にアルコールまで入っているのか…と衝撃であった。

あと「微量なアルコールとはいえソフトドリンクの棚に置かれていたよな…」というのもプチ衝撃。

右側のピンク色の方を飲んでみた。結構酸味があるが、ラズベリーの甘さが加わってバランスのとれたフレーバー。普通に美味しい炭酸飲料という感じで、夏の暑い日にリフレッシュするのに良さそう。当然ながら我々の知る昆布茶の要素は欠片もない。

原材料を見てみると、意外にも(中国の)緑茶が入っていた。茶であった。茶でもないとか言ってごめん。最後に「Kombucha Culuture」という謎の材料がある。

調べてみたら、scobyとも呼ばれるゼラチン状の細菌のコロニーであるということだった。

このKombucha、日本でも「紅茶キノコ」という名前で1970年代にブームになったらしい。紅茶や緑茶に砂糖とこの細菌のコロニーを入れたもので、コロニーがキノコのように見えるため紅茶キノコの名前になったようだ。
日本のネーミングも大概だなと思ったが、少なくとも紅茶は原材料的には合っているので、まだマシな気もする。

The American Heritage Dictionary of the English Languageによると、そのゼラチン状のコロニーが海藻と勘違いされ、Kombuchaの名前と混同されたようだ、と書いてある。海を超えてすごい伝わり方をしてしまったものだ。

Gyoza(餃子)

餃子に関しては、上の二つほどの違いはない。

同じ焼き餃子の形状はしているが、揚げてある上に中身が鶏ひき肉というケースが多い(※もちろん日本と同じ焼き餃子を出す店もある)。こちらもムスリムへの配慮なのかもしれない。

肉の種類が違うのはともかく、揚げてあるともう焼き餃子とは別物である。「Gyoza」を頼んで揚餃子が出てくると「食べたかったものと違う…」となってしまう。メニューに調理法が書いていないお店だと、焼きと揚げどっちが出てくるのかはもう賭けである(店員さんに聞けば教えてくれると思う)。

Sushi rice(スシライス)

イギリスのスーパーに行くと、日本/アジア食材コーナーに「スシライス」なる米が売られているのをよく見る。最初見た時は「酢飯のこと…? でも調理前の米だし…酢飯を作れるように調味料のキットとかが入っているのかな?」などと疑問に思っていた。

だがなんのことはない、要は普通の日本米がなぜかスシライスと呼ばれて売られているのだった。まあ日本食=スシというイメージなので、日本の米=寿司用の米だと思われているのだろう。

おそらく、寿司に使う米がただ炊いただけの米ではなく調味料を混ぜ込んだ酢飯だという認識はないのだろうと思う。玄米の寿司があるくらいだし(詳しくはこちら「イギリスの寿司は日本の寿司とどう違う?驚きの進化を遂げている「SUSHI」」を参照)。

Mochi(モチ)

冷凍で売られている雪見だいふくのような和スイーツは「Mochi」と呼ばれている(アジア系スーパーなどに置いてある)。

まあ日本でももちもちした生地のスイーツに「モチ○○」みたいな名前をつけることはあるから、わからなくはないけど、「mochi」とだけ書かれるとあのお正月に食べる餅を思い浮かべてしまう日本人も多いのではないだろうか。

Yakitori (焼き鳥)

「Yakitori」も日本食を象徴する名前になっているらしく、焼き鳥というメニューを頼んだら鳥ではなかった、焼き鳥ではないものに遭遇したという話をちらほら耳にする。

スーパーで売られている「焼き鳥ソース」の瓶には「焼いたサーモンにもおすすめ」と書かれているものもあり、「鳥」の意味は失われてしまったようだ。

また、テリヤキソースも大変人気である。サーモンにも牛肉にも寿司にもテリヤキソースがかかっている。焼かなくてもそのソースをかければ照り焼きだと思われているようで、焼いていない照り焼きがイギリスには溢れている。


このように、イギリスでは結構オリジナルから離れた面白い日本食をちょくちょく発見する。今後も日本の外でこのような日本食の不思議な進化(?)に出会うのを楽しみにしている。

そういえばイギリスでは豆腐も近年人気の食材だ。イギリス産豆腐を食べ比べてみた記事はこちら。

イギリスでの豆腐あれこれ〜ロンドンで日本のような豆腐は手に入るのか?

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