ウズラやキジ、ホロホロ鳥……イギリスで売っている珍しい鳥の肉を食べてみた

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イギリスの食文化

イギリスのスーパーでは、日本にいた時は見なかった種類の鳥の肉を結構見かける。今まで鶏と鴨肉と七面鳥くらいしか食べていなかったが、他のものもトライしてみようと考えた。

【料理・食文化】イギリスの「肉」事情について語ろう
肉の話をしようと思う。 日本人から見たイギリスの「肉」事情について語ってみる。日本とはだいぶ異なる食文化が見えてくるはずだ。 ※ここでは、家の近くにあるのでよく使うwaitroseというスーパーの肉を参考にしている。このスーパーはイギリスの中でも一番価格帯が高いので、他のスーパーではもっと値段は安くなる。 スーパーの位置づけはこちらを参照。 鶏肉について もも肉よりむね肉の方が高級 ...

この記事は、そんな思いつきのもと、スーパーで出会ったさまざまな種類の鳥を食べてみた記録である。ちなみにグルメブログではないので、クオリティはあまり期待しないでほしい。SNS映えするようなファンシーな写真は出てこないし、調理法もシンプルである。ストレートに調理して、正直に感想を書いてみたものだ。

また、スーパーで買えるといってもどこでも売っているわけではなく、企業や店舗による。今回はすべてwaitroseという高級価格帯のスーパーで入手した。

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ベイビーチキンを食べる

日本で普通に流通している「鶏肉」は、ほとんどが生後3ヶ月未満の若鶏であるらしい。

地元のスーパーで見つけたこのpoussinと呼ばれる若鶏は、生後28日未満ということで、それよりずっと若い。若鶏というよりひな鳥だろうか。

片手に乗るくらいの小ささだけど、なにげに骨も含めて500gある。価格は3.5ポンドくらいだった。

イギリスでは1kg〜1.5kgくらいある普通の丸鶏が3〜4ポンドでそこらじゅうで売っているので、それを考えるとこのベイビーチキンは割高ではある。

レストランではベイビーチキンという名前で結構よく見かける。食べたこともあるけれどそんなに回数は多くないし、家で調理してみたことは一度もない。お店で食べた時は普通に美味しいなあと思った気がするけど、家で料理してみた場合、普通の鶏肉と比べて味に違いはあるのだろうか。

シンプルに、普通のローストチキンの要領で焼いていく。塩コショウにタイム、ローズマリーなどのハーブでシーズニング(この後オリーブオイルもかけた)。

190℃のオーブンで50分くらい焼く。小さいので普通の丸鶏ローストよりずっと短時間ですむ。オーブンから出したら全体をアルミホイルで包んで10分くらい休ませて……

できた。

左から、手羽先、もも(レッグ)、胸肉。

そんなに普通の鶏肉と違いを期待せず食べたのだが、正直、感動した

すごい、すべての部位が柔らかい。普通はパサパサの胸肉(うまくローストするとしっとりにはなるけど、それでも、もも肉と比べるとね……)までもも肉のよう。全身がもも肉のようにジューシーでとっても美味。

ももの方はといえば、脂っこすぎるわけでもなく、適度に肉汁が詰まっている感じで食べやすい。

いやあ、これは良い。たまに丸鶏のローストを食べたくなるけれど、2人では絶対に一度で食べきれないし、場所もとるし、何より時間がかかるので計画的に準備しなければならずで買うのを躊躇していた。

これなら量もちょうどいいし、美味しいし、調理も1時間程度ですむし。少し割高だけれど、今度からこっちを買おう。と、思わせられるくらい美味しかったのでした。

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ヤマウズラを食べる

ヤマウズラ(partridge)を買った。上の若鶏よりもさらに一回り小さい。骨も含めて225g。こちらも値段は4ポンドくらい。

こうした野鳥は以前は狩りの獲物として一般的だったため、総称して「game」とも呼ばれる。

この鳥が売られているコーナーには、ぶつ切りの鳥の肉が「game cassarole(野鳥の鍋/キャセロール用)」として売られていた。原材料を見ると、カモ、キジ、ウズラと複数の鳥に加えて鹿肉も入っていた。

ベーコンが巻きつけてある。こちらでは一般的らしいけど、なんだか不思議な食べ方。本来はイギリスのクリスマスシーズンの料理で、七面鳥の代わりに食べたりするそう。

パッケージに書いてある説明どおりに調理することにする。「オリーブオイルを塗って200℃に予熱したオーブンで焼く」としか書いていない。塩をふれとすら書いてなかった……。大丈夫かな……。

とりあえずその通りにオーブンで焼いてみる。あと残り10分という時に「内蔵抜いてあるし、詰め物をすればよかったのでは」と気づいたが、時はすでに遅すぎたのでそのまま食べることにした。普通の鶏に比べると小さすぎてすっかり失念していた。

でき上がった。

塩味はついているぽいので、胡椒だけ追加して食べてみた。

とにかく小骨が多く、ナイフとフォークでばらそうにもなかなか肉が離れない。

肉質が鶏と比べるとかなり硬め。筋肉ぎっちり、という感じ。特にもも肉は、ムチンムチン、ブリンブリン、という食感で、弾力がすごい。手で持って食べても結構な力を要した。

味は結構癖があり、人によっては臭いと感じるかも。鴨の肉をもっと何倍もワイルドにしたような感じ。

ところどころ苦味があるような気もする。これは内蔵が少し残っている部分をたまたま食べてしまったからなのか、肉そのものの苦味なのかいまいちはっきりしない。

あと「ベーコンは別にいらないのでは」という結論に達した。パサパサだし、すぐ剥がれるし……多分もっと美味しいベーコンを使ったり、自分で巻いたりすれば美味しくできるのかもしれない。

味はまあ、まずくはないし食感は食べごたえあったけど、個人的には一度食べたらもういいかな、という感じ。調理法を工夫すればもっと美味しくなる可能性は高い。パッケージの調理法を信じてはいけなかったね。

キジを食べる

キジ(pheasant)も売っていた。まるごとのものは500gで6ポンド。ベイビーチキンと同じサイズだけれどお値段は高め。よく見ると、またベーコンが巻き付いていた。

横を見ると、なんとキジの胸肉フィレも売っているではないか。しかし、150gで4.25ポンドとお高い。鶏なら、スーパーによってはもも肉を1kg買ってもお釣りが来る値段なのに、それと比較したらこれは貴族の食べ物である。そんな余裕はないから丸ごとの方を買うのである。

……。

………。

…………。

結局フィレにした。日和ったのである。

「もうベーコン巻きはいいや」というのと、小さいから骨をとるのがめんどくさいのと、先に食べたウズラがうーん、という感じだったので、また丸ごと一羽固くて癖のある味だったらちょっとな……と思い、胸肉にしてしまった。

骨をとる労力がいらないのはありがたい。シンプルに塩コショウとタイムで味をつけて、オーブンではなくフライパンで焼く。おそらく鶏より硬いだろうことは想像がつくので、焼きすぎないように気をつけて、フライパンからあげた後はアルミホイルで少し休ませて……

できた。奥のピンク色の物体はこの時冷蔵庫にあったビートルート(ビーツ)のフムス。

胸肉という部位のせいもあるだろうけど、固い……。ボソボソする……。2枚焼いたのだが、もう1枚はもう少しマシだった。

マシなもう1枚はもう少し厚みがあったので、こちらは火が通り過ぎてしまったのだろう。気をつけたんだけどな……。鶏ハムみたいにしたら柔らかくいただけたのだろうか。

ただ、癖はウズラよりもなく、味の面では想像していたよりも食べやすかった。鶏とウズラの中間という感じ。でもそれならお値段と味の面で鶏を食べるかな。

ホロホロ鳥を食べる

ホロホロ鳥(guinea fowl)も売っていたので、いくことにした。

ホロホロ鳥とは、アフリカ原産のこのドット柄の鳥だ。

今回買ったもの。でっか……。丸ごとしか売っていなかった。約1.5kgで9ポンド。鶏の3倍位の値段。

この量で美味しくなかったら本当に手に負えないので、調理は少し考えなくてはならない。しかし、この鳥だけクリームソースとか強いものを使ったら不公平である。

別に好奇心でやっているだけで何の責任もないのだから好きに調理して美味しく食べればいいのであるが、あまりに味に変化をつけてしまうと「比較」としてはどうも……と思ったので、シンプルながらできる限り調味を頑張ることにする。

色が生々しい。羽がところどころポツポツと残っているのでできる限り手でとったが、取り切れないところもあった。その箇所は焼いた後に皮ごと外すしかなさそう。

またローストを作ることにした。一応どの鳥もレシピ検索をするとローストがトップにくるので、まあどの鳥類においてもローストがメジャーな料理なのだろう。

もうパッケージに書いてある説明は見ないで、検索して出てきた信頼できそうなレシピを参考にする。

オリーブオイルにおろしニンニクを混ぜたものを塗って、塩胡椒を振って、いつもは乾燥ハーブだが今回はフレッシュなローズマリーとタイムを中に詰める。特にニンニクには絶大な信頼を置いているので、ハーブと一緒に生のニンニクも詰める。

ここまでやってちょっと置いている間に、ホロホロ鳥のwikipediaを見ていたら「鶏より固い」とか「鶏や七面鳥よりもタンパク質が豊富」と書いてある。鶏よりも一段階パサパサしている七面鳥よりもさらにタンパク質が豊富とは、どんだけ脂肪分がないのか。ここでかなりちょっと不安になる。

だがもう後には引けないのである。淡白だが旨味が濃いという情報も見つけたので、そちらに期待したい。万が一ローストでだめだったら、トマトシチューとかにカレーにして食べてしまえば良いのだ……。

170℃のオーブンで1時間半焼いた後、アルミホイルで包んで少し休ませる。

できた。

実はこれが、とても美味しかったのだ。いい意味で予想外であった。パッサパサなのかと恐れていたが、脚の部分はとてもジューシー。そして全体的に、癖は全くない。確かに淡白といえば淡白なのだが、鶏よりもはるかに臭みがないのは驚きだった。

レッグ部分。ピンクの部分は骨。中はちゃんと温度計で計って火が通っていることを確かめてある。

胸肉はさすがにややドライで、鶏の胸肉と似た感じ。でもパサパサというほどではなく、普通に美味しく食べられる柔らかさ。この部位はほんとーーに癖がなさすぎる、というか味がしない……笑 

胸肉は癖も全くないが旨味も特になく無味、という感じだった。ホロホロ鳥から出た脂とバルサミコ酢でソースを作っていたので、そのソースをつけて食べるとちょうどいい感じ。逆に言えば元の味がなく全部ソースの味になるので、ソースの質で決まる感じ。

全体評価としてはかなり美味しい。羽がついたままのところが結構あったのがマイナスポイント(=皮を剥がさないと食べられない部分があるため面倒くさい)だけど、今まで食べた鳥の中で、鶏と鴨を除いてぶっちぎりの上位だ。これは良い結果であった。


というわけで、さまざまな鳥の肉を食べてみるチャレンジをやってみたが、かなり楽しかった。鳥によっても全然特徴が違う。今後も他の肉を見つけたら食べてみたいなと思っている。

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