5泊6日でポルトガル旅行に行ってきた。この記事では、ポルトガル第二の都市であるポルトの街中を散策した時の様子と、素晴らしい教会について紹介したい。
ポルトガルの街の概要と、この旅の目次的な記事についてはこちらから。
目次
小さく穏やかな街、ポルト
リスボンも他の有名なヨーロッパの国と比べると小さな都市だったが、ポルトはさらにこじんまりしている印象。ここでは2泊した。観光スポットもリスボンほど多くないので、個人的には2泊で十分かなという感じ。
市内にはドウロ川という大きな川が流れている。この川には何本も大きな橋がかかり、向こう岸との行き来に使われている。この画像の橋はドン・ルイス1世橋といい、車両でも徒歩でも渡ることができる。
川沿いは観光客で賑わうエリア。眩しいくらいの快晴に、川を眺めながらコーヒーやカクテルが飲めるのだもの、そりゃ誰でも来たくなるというもの。ただ歩いているだけでも活気があって楽しい。
ポルトもリスボンと同じく坂だらけ。また、街中には小さな公園や緑豊かな広場が点在している。
この広場に立っているのは、エンリケ航海王子の彫像。リスボンでもそうだったが、やはり大航海時代の重要人物はいろいろな場所で称えられている。
ちょうどカーニバルの祝祭の時期だったので、こんな仮装用のグッズがお店のディスプレイに。
カーニバルとは謝肉祭ともいい、キリスト教圏で断食の前に行われる祭りのこと。
ドイツ人の夫に聞いてみたら、今は飲めや歌えやのフェスティバルが主で、実際に断食をしている人はまずいないという。ただ、断食の代わりに日々断ちたいと思っているもの(アルコールやタバコ、甘いものなど)を断つ人は結構いるらしい。
夜でも人通りが多く、車両も多い。カーニバル時期は飲食店もカーニバルの時期限定のメニューやハッピアワーをやっている。
中心街を歩いていたらいきなり現れた群像彫刻にビビった。暗闇にいきなり現れたからちょっと怖い。
なんだか深夜になったら動き出しそうな雰囲気さえある。なんだこの建物……と思ったら中は普通のショッピングモールだった。せっかくなので入って、アクセサリーなどを買った。
アールヌーボー調の内装が大変綺麗だということで有名らしい、「世界一美しい書店」と言われる「Livraria Lello(レロ書店)」の入口のディスプレイ。
ちょっと「不思議の国のアリス」的なおとぎの国の世界観を感じさせる。とても入ってみたかったのだが、最終日に行ってみるとなんと入口に結構な行列ができていた。その日はあいにくの雨だったので、残念ながら諦めたのだった。
晴れた日に立ち寄った小さな公園では、完全に春の風景が広がっていた。私の住むロンドンとはすごい違いだ。
色とりどりの花が一斉に咲いたような、絵に描いたような景色だ。
色ごとに層を作り出して噴水の周りに植えられたチューリップ。もはや芸術ではないか。
Jardim das virtudes
住所:4000-507 Porto, Portugal
ポルト大聖堂
ポルト最古の建物だというポルト大聖堂にやってきた。正面は装飾のないシンプルな作り。ロマネスク様式のバラ窓と、バロック式の玄関の融合。
路上演奏のパフォーマーが奏でる音色が、この重厚で荘厳な大聖堂の雰囲気によく合っていて、さらに気分が高まる。
1100年頃に建設が開始され、完成したのは1200年代だという。中では、メインの境界部分に加えて、さまざまな部屋を見学できる。
中庭を囲む回廊には鮮やかなアズレージョ壁画が並び、ポルトガルの伝統を感じさせる。
小さな宝物庫には、聖堂で使われてきた聖具が展示されている。
天井画が印象的な参事会会議室
優れた装飾が施された会議室。ここで司祭たちがミーティングをしたのだろうか。特に、天井は聖人や天使をモチーフにした絵画が嵌め込まれ、まるで美術館のよう。この天井画は17世紀に制作されたものだ。
中央の絵に描かれているのは、四大天使の一人であり天使の長である聖ミカエルが悪魔を制しているところ。この会議室の守護聖人として祀られているという。
次の部屋に置かれていた、巨大な燭台。こちらも17世紀の作。300〜400年前のものがこうやって見られるのはすごいことだと、改めて思う。
脚部分には奇妙な老人の顔が飾りとして施されている。
上階からはポルトの街を一望できる
2階でも外に出ることができる。
ここからの街の眺めはこれまた素晴らしい。頭1つ抜けて目立っているタワーは、この記事の後半で紹介するクレリゴス教会の展望タワーだ。
パイプオルガン専用のスペース
パイプオルガンが設置されている部屋。
この部屋にはキリスト磔刑像を戴く祭壇があり、小さなチャペルのような空間になっている。
壁には、キリストの誕生や最後の晩餐など、キリストの生涯を描いた浮き彫りパネルが並ぶ。
金色の装飾がてんこ盛りのメインの教会
ここがメインの教会部分。
ポルトの守護聖人であるという聖ヴァンドームもここに祀られている。フランスにヴァンドームという地域があるが、900年代後半にその地域からポルトにやってきたフランスの騎士たちがこの聖女の像を持っていたのが、ポルトでの信仰の始まりだという。
メインの祭壇。華美がすぎるのでは、というほどに隙間なく金細工の装飾に囲まれている。中央のキリストの絵が色あせて見えるほどだ。
メイン祭壇の横のバルコニーのようなスペースには、角度によってはリアルに見える、トロンプ・ルイユ(だまし絵)的な内装が描かれていて面白い。
パステルカラーの内装を持つ聖具室
教会の後に入った聖具室。バロック様式の大胆で派手な装飾を持つ品物で埋め尽くされている。ピンク、黄色を基調とした柔らかな色彩が特徴的な部屋だ。
褪せてしまっているが、天井もトロンプ・ルイユのように内装が絵で表現されている。
奥にはキリスト磔刑像もある。
ピンクの大理石でできた噴水。なんて綺麗な色なのだろう。部屋のベースカラーともマッチしてとても洗練された雰囲気。
見ごたえのある施設だった。ポルトでは絶対に訪れたい観光スポットだ。
住所:Terreiro da Sé, 4050-573 Porto, Portugal
料金:3ユーロ
クレリゴス教会
最終日に立ち寄った、とても雰囲気の良かった教会。
この日は、この旅行で初めて雨に振られてしまった日だった。雨の中の教会もなかなか趣がある。外壁はアズレージョが施されていて、遠くからでも目を引く。
オルガン演奏を聞きながらの見学
メインの教会部分は全体的にピンク色で可愛らしい感じ。
中に入ると、たまたまパイプオルガン演奏のイベントがあるらしく、人がたくさん集まっていた。幸運なことに、見事な演奏を聞きながら見学することができた。
これは、演奏中にメイン祭壇を上から撮った映像。教会で聞くパイプオルガンは、いつも改宗してしまいそうなくらい心に響いてくる。
東西交流の名残りも見られる聖具室
キリスト教関連の美術品が飾られている聖具室へ。天使たちに囲まれるキリストの磔刑像がまず目に飛び込んできた。
傷が生々しく痛そうなキリスト像。だが、この教会には、これで驚いてはいられないほど驚愕の「キリスト磔刑部屋」があるのだった……(後述)。
漆塗りの長時計。
中国っぽい様式だから輸入したものだと思ったら、どうやらポルトガルで作られた可能性が高いものらしい。人の肌が黒いのはなぜだろうか、どこの地域を描いたものなのだろう……。
なんと日本産らしい幼児キリスト像。心臓を手に抱えている。なんとも興味深い東西交流があったものだ。
キリストを洗礼した聖人である洗礼者ヨハネ。最後にはある国で捕えられ、斬首されて死んでしまう。首が盆に乗せられている様子。金色の盆がまるで後光のようだ。
2階で祭壇の周辺をぐるりと回る
2階から、メイン祭壇の周りの装飾や彫刻を間近に見ることができる。祭壇の周りの聖人像は想像していたより大きかった。原寸大の男性か、それより大きいかもしれない。
パイプオルガン奏者が演奏している様子もちらりと見ることができた。タブレットで楽譜を見ながら演奏していた。モダンだ……!
なんとメイン祭壇の聖母マリアの後ろにも回れてしまうのだ。マリア様の視点が味わえる……集まった人たちを見下ろすのは、なんとも奇妙な感じ。この写真だとちょっと分かりづらいが、冠の上には精霊を表す鳩が飛んでいる。
上からメイン祭壇全体を見た様子。
キリストだらけの部屋
さらに見学を続けていくと、なんとも奇妙な展示室があった。
ひたすらキリスト磔刑像を集めた部屋。昆虫の標本箱を思い出させるような(といったらキリスト教徒に怒られそうだが)、展示の仕方で、不思議な空間。
1つ1つが、痩せた痛々しい人体をよく再現しているので、ここまで並べられるとやや不気味ですらある。
ポルトのシンボルであるタワーを登る
ポルトの街のどこからでも見られる、「クレリゴスの塔」に登る。225段もの階段を登ったところにある展望台からは、街の全景が見渡せるのだ。内部には大小さまざまな鐘が所狭しと並んでいた。
登ってみたけれど、うーん、雨なのでいまいち。晴れの日なら絶景だっただろう。まあ、リスボンでも、ポルトの大聖堂でも、晴天の時にこういうスポットに登って美しい景色をたくさん見られたからいいかな。
大聖堂の次に、ポルトではぜひ訪れてみたい教会。
住所:R. de São Filipe de Nery, 4050-546 Porto, Portugal
料金:6ユーロ
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