リスボンでぜひ行きたい、ジェロニモス修道院と市内中心部のおすすめ教会

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ポルトガル

5泊6日でポルトガル旅行に行ってきた。この記事では、500年前に建てられた巨大なジェロニモス修道院と、リスボン中心部の美しい教会について見所を紹介していく。

ポルトガルの街の概要と、この旅の目次的な記事についてはこちらから。

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大航海時代の栄光を讃えるジェロニモス修道院

ジェロニモス修道院は、リスボン市内中心部からバスで約30分ほどいったベレン地区にある。リスボン国立古美術館と同じ方向(美術館は中心部からバスで約15〜20分ほど)なので、同日に回るのがいいと思う。

500年以上前の大航海時代に、エンリケ航海王子の功績とヴァスコ・ダ・ガマのインド到達を讃える目的で作られた建物だ。現在は世界遺産に登録されている。

この修道院の近くには、同じく世界遺産でヴァスコ・ダ・ガマを讃えて作られた「ベレンの塔」と大航海時代の記念碑「発見のモニュメント」があり、人気の観光スポットとなっている。私達は、時間の都合でこの修道院だけ見学した。

ジェロニモス修道院は「マニエル様式の最高傑作」とも言われる建築物。マニエル様式は、ポルトガルの大航海時代の「成功」を賛美するものとして16世紀前半に流行した。

航海や船などに関連したモチーフが随所に施され、また大航海時代の交易で得た富を誇示するかのような過剰な装飾性が特徴だ。

修道院見学は有料だが、付属の教会のみ入る場合は無料となる。

中央には開けた中庭があり、主要な建築物はその周りを囲う回廊となっている。外側には、細かな装飾が施されたアーチ型の窓が規則的に並んでいる。

外観も内装も、かなりデコラティブである。突き出しているのは、西洋の宗教建築物で一般的な、水を排出するガーゴイル(雨どい)。何の動物だろうか? 

回廊の内側はこんな感じで、360℃ぐるりと回ることができる。天井のヴォールト(アーチを組み合わせた天井の建築構造)が、骨太かつどっしりしていて目を引く。

回廊内にはさまざまな部屋が付属しており、その多くに入ることができる。

アレシャンドレ・エルクラーノという19世紀の歴史家の墓。

修道院の大部分は1511年に建設が終わっていたにも関わらず、この部屋がようやく完成したのは1800年代のことだった。そのため、本来修道士たちの集会所として建設されていたものの、その目的で使われることは一度もなかったという。墓として使うのは代替用途だったということだろうか……。

棺を支えるライオンの彫像が、なんだかびっくりしたような奇妙な顔をしている……。フレーメン反応みたい。

階段で上へ登る。石造りの階段のひんやりとした空気は、500年前からずっと変わらないのではなどと思う。

修道院内の教会、Church of Santa Mariaの後方を上から見ることのできるスペースに出る。

このスペースには、実際の人間くらいのサイズのキリスト磔刑像が置かれている。流れる血や青白い肌、痩せてゴツゴツと浮き出た脚の骨がかなりリアル。

上階の回廊に出てみた。見晴らしがいい。

不思議な生き物たちが彫られた装飾豊かな柱

柱の装飾を見ながら歩いていると、実にいろいろな動植物のモチーフで埋め尽くされていることに気づく。

一番下は犬。その上は翼を持つドラゴンのような生き物がいる。緩やかな弧を描くその体は、植物の同様の形状と呼応している。

下から、豚、ドラゴン、尾が絡まった一対のトカゲ? 

紋章を支える、鳥とライオンが混ざった生き物グリフィン。

これだけ、回廊ではなくて教会内の柱。

顔は女性、体は鳥の怪獣が彫られている。こうした特徴を持つ怪獣で有名なのはハーピーやセイレーンだが、航海に関連する生き物であるセイレーンの可能性が高いかもしれない。セイレーンはその美しい歌声で船乗りを惑わし溺れさせるとして古代から知られる魔物で、後に人魚の姿で表されるようになった。

修道院内の教会

修道院内にある教会(Church of Santa Maria)は、一度外に出て違う入口から入るようになっている。1回に入れる人数を区切っているようで、人が多いと列に並ばなければいけない。

前述したように、教会だけの訪問なら入場無料。修道院の有料のチケットを持っている人も教会見学だけの無料の人も関係なく、同じ列で待つことになる。

細密な装飾がもりもりの教会正門。だが実際にはここからではなく横の入口から入る。

先程は上から見た教会は、地上階から見上げると天井が高くより荘厳な印象。相変わらず柱の装飾がすごい。

外から射し込む光でステンドグラスの色が床に反射されていた。綺麗。

こちらがメイン祭壇。キリストの生涯を描いた一連の絵画が設置されている。

祭壇の周りの各チャペルには、金の映える絢爛な祭壇が並ぶ。これは聖家族(聖母マリアと聖ヨセフと幼子キリスト)を祀っている。

こちらは、十字架を背負い磔刑場のゴルゴダの丘まで登るキリストを祀ったチャペル。キンキラキンである。

他の場所でもよく見たが、このキリスト像のように、ポルトガルの教会では聖人像の着ている服が彫刻ではなく本物の布(後から着せている)であることが多かった。そのため、彫像がより存在感を帯びて見えて、なんとも興味深かった。

下の棺には、これまたリアルなキリストの彫像が。本物の人間のようで、最初に目に入った時にはちょっと驚いた。

教会内には偉人たちの墓も

こちらはポルトガル最大の詩人と呼ばれるルイス・デ・カモンイスという人物の墓。ここの土台のライオンたちは大人しく伏せている(見るとこはそこか)。

この人のことは全然知らなかったが、ちょうど合わせている手の部分に窓から射し込んだ光が当たっているのが神々しく、なんだかとても神聖な雰囲気だったので思わずパチリ。

これとよく似たスタイルの、航海士ヴァスコ・ダ・ガマの棺もあったのだが、写真を撮り忘れてしまった。ガマの棺には、大きな帆をいくつも広げる船が彫られていた。


ジェロニモス修道院

住所:Praça do Império 1400-206 Lisboa, Portugal

料金:修道院10ユーロ(教会のみの見学は無料)、修道院+付属博物館やベレンの塔とのコンビチケットもあり

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リスボン市内中心部の綺麗な教会や遺跡

リスボン市内中心部に戻ってからは、リスボン大聖堂以外にも小さな教会を巡った。

サント・アントニオ・デ・リシュボア教会

大聖堂のすぐ近くにある教会。ポルトガルの守護聖人聖アントニオの生誕地に建てられたと言われている。

聖アントニオは1195年に生まれた実在の人物だが、そのキリスト教への貢献により死後1年経たずに聖人として認められた。

小さな教会だが、黄色とピンクのパステルカラーの内装が、落ち着いた柔らかな空間を作り出している。

メイン祭壇にはもちろん、聖アントニオ(パドヴァのアントニオとも呼ばれる)が祀られている。腕に抱えられているのは幼いキリスト。

ちなみに、聖アントニオはブラジルの守護聖人でもある。大航海時代から300年にわたりポルトガルがブラジルを植民地支配したことで、この聖人信仰も伝わったのだ。

チャペルの聖母マリア像。これも布の服が着せられており、リアルな人形ぽくもある。

ここは(おそらく)司祭たちが着替えをする更衣室。ここはさらに壁の装飾が凝っており、壁画のような描き込み具合だ。

ここを抜けると、小さな地下室があった。

柵が邪魔で見づらいが、1982年にローマ法王が訪問し、聖アントニオに祈りを捧げた場所がここなのだという。

聖アントニオは生前から人々に大変慕われていたというが、今でも時を超えて未だに篤い信仰を集めている。


サント・アントニオ・デ・リシュボア教会 (Igreja de Santo António de Lisboa)

住所:Largo de Santo António da Sé, 1100-401 Lisboa, Portugal

入場無料

カルモ修道院

1400年前後に建てられた修道院で、1755年のリスボン大地震で倒壊してから再建されることなく廃墟となった建物。今は修道院の建物の一部が残る遺跡として公開され、内部には博物館が併設されている。

当時の建造物の名残が残る。これは人間の頭に翼がついた天使ケルビム。

天にそびえ立つ石造りの柱と壁。地震が来る前は、どんな姿をしていたのだろう。

柱の上で休んでいる猫がいたのでしばし眺めたりし、その後中の博物館に入った。

博物館は撮影禁止なので画像は載せられない。主にこの修道院の建築遺物や、古代ローマ時代の彫像などが展示されていた。

その中になぜかミイラが2体展示されていたが、南米かどこかのものだったと思う。大航海時代に、南米から持ってきたものなのだろうか。


カルモ修道院(Convento da Ordem do Carmo)

住所:Largo do Carmo, 1200-092 Lisboa, Portugal

料金:大人5ユーロ、14歳以下無料

カトリック信仰の強い国なだけあって、この他にもリスボン中に小さい教会はたくさんある。散策がてら探してみるのも楽しいのでおすすめだ。

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