レンブラントの家訪問@アムステルダム:アトリエと奇想のコレクション

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オランダ

アムステルダム国立美術館でレンブラントの代表作「夜警」と、その他の作品を堪能してレンブラント三昧のひと時を過ごしたが、さらにレンブラントの家にも行ってきた。

この旅の目次と、アムステルダムという街の基本情報についてはこちらから。

アムステルダム旅行レポ:アートと可愛い街並み&大麻と性風俗が共存する街
ユーロスターを使い、ロンドンからアムステルダム旅行に数日間行ってきた。 私にとっては初めてのオランダ。以前から、周りの人が口をそろえて「アムステルダムはいいよ」「大好きな街」と言っていたのを聞いていたが、実際に行って「なるほどね」と思った。今回は、アムステルダム旅行で見てきた面白い物、興味深い物を順次レポしていきたいと思う。 この記事はその目次の役割を果たす。そして、アムステルダムとはどんな街...

アムステルダムには、レンブラントが実際に住んでいた家があり、現在は博物館として公開されている。

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レンブラントの家

このカラフルな家がその場所。アムステルダムの家はどれも縦に長い。外から見ると狭そうだが、中はかなりゆったりした空間があることがわかった。

ここはレンブラントが住居兼作品の制作場所として、1639~1958年の約20年間暮らした場所だ。

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生活感溢れる部屋

ここはレンブラント家のキッチン。暖炉にはいつも火が燃されており、メイドがここで料理をした。レンブラント一家は食事をここでとったという。

キッチン奥から扉の方を見ると、なんとベッドがある。これはメイドのものだという。

スペースは十分にあるとは言え、キッチンで寝るのかあ……と思ってしまうが、メイドの待遇としては当時は普通だったのかもしれない。

レンブラント自身の寝室

絵画が多数飾られたこの部屋は、レンブラントの寝室兼リビングルームの役割を果たしていた。写真には写っていないけれど、手前にはベッドがある。

飾られている絵は、レンブラント自身の作品(聖書の場面)と、また彼が敬愛していた画家の作品である。気に入った作品に囲まれた部屋を作るところに、こだわりがうかがえる。

 

商談を行う客を迎え入れる部屋

エントランスホール。右に見えているのが外に通じる扉である。

ここには、レンブラントが販売する絵が展示されていた。レンブラント自身の作品と、弟子の作品、またディーラーとして他の芸術家の作品を販売することもあった。

エントランスホールについている小部屋。レンブラントのミニ書斎で、ここで絵の売り上げなどを計算したという。

ここは控室で、やはり販売する絵が飾られている。彼は顧客をここで迎え、ワインを出し、実際に作品を見て、購入する絵を決めてもらっていた。

控室の扉の蝶番側の柱。一見大理石に見えるが、なんとそう見えるように彩色してあるだけで、実際は木材なのだという。高級感を出すトリック。

見てわかる通り、素晴らしい造りのこの家は大変高価だったが、購入時のレンブラントは売れっ子で、何も問題ではなかった。しかし徐々に金銭的に陰りが出始め、ついに1656年、レンブラントは破産してしまう。その2年後にはこの家は彼の手元を離れ、業者に売りに出されるようになる。

当時のこの家の家具や調度品は多くが残っており、この再現された家にも当時のものがそのまま使われている。

レンブラントは浪費癖があり、制作のために必要な資料としての骨とう品や、コレクションの美術作品を多額の金を出して購入していた。収入が減ってもこの浪費は収まることがなく、借金で首が回らなくなっていったという。

レンブラントの珍奇なコレクション

そんな背景で集められたコレクションの一部を、この家で見ることができる。

古代ローマの胸像から、甲冑、貝殻、動物の剥製に至るまで、世界中の珍しいものがコレクションされている。

大きな亀の甲羅や海中植物。

シャコガイの貝殻。幼児ならすっぽりと収まりそうなくらい大きい。

彫像や甲冑、その他貝殻や海の生き物の剥製など。

棚の奥の壁にかかっているのは、大蛇の抜け殻である。天井にまで届きそうな長さ。

天井にはエイとワニが舞い、

足元にはたくさんの足(彫刻)と蝶の標本。何とも奇妙な空間である。

ガラス製品と、机の上に積まれた書物は(おそらく)「美術の書」で、この中に有名な画家たちの素描や版画を8000枚保管していたという。これがレンブラントが持っていたものの中で最も高価だと言われている。

レンブラントの作品が制作されたアトリエ

広いアトリエもある。レンブラントはここでさまざまな作品を制作したのだ。

各種さまざまな画材や、参考にした資料などが保管されている。

この部屋では、レンブラントが用いた当時の絵の具作りのデモンストレーションなども行っている。私が行った時は、この日のデモンストレーションは終わってしまっていたようで、説明だけしてもらった。

鉱物や金属などの化合物から成る顔料の塊を、この石の台と、もう1つの石ですり合わせて粉にする。そして油と混ぜて絵の具として使うのである。

これは豚の腸で、作った絵の具をここに入れれば、最大6カ月間保存することができたという。「今でいうビニール袋のように使われていたの」と係の人が説明してくれた。

これには感心した。豚の腸はソーセージにもなるし、絵の具の保存袋にもなる。豚を余すところなく使用する西洋文化の一端を見た気がした。

弟子のアトリエ

レンブラント自身のアトリエよりもかなり小さなアトリエ。さらに中は狭いスペースに区切られており、ここでは4~5人の弟子が作品制作を行っていた。

窮屈ではあるが、各スペースには窓から自然光が入る良環境で、楽器や武器の模型、布生地などがインスピレーションを与えるために弟子たちに貸し出されたという。弟子たちはこの静かな空間で、自分の制作に向き合うことができた。


レンブラントの家は、思ったよりも見るものが多く、巨匠と呼ばれる画家の私生活を覗いてみたい人にはおすすめ。
17世紀当時のオランダの家の内装や造りもわかるので興味深い。

アムステルダム中心部にあるので、他の観光地からのアクセスも良好。


レンブラントの家

住所:Jodenbreestraat 4, 1011 NK Amsterdam, Netherland

料金:13ユーロ

今回のアムステルダム旅行で見た、レンブラントの「夜警」と他の作品のついてはこちらから。

アムステルダムでレンブラント「夜警」と初期作品鑑賞(解説あり)+レンブラント広場

その他今回のアムステルダム旅行の記事はこちらから。

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