【統計で見る】イングランドの成人の6割が太っている!?イギリスの深刻な肥満事情

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統計

イギリスを統計から見るシリーズ。

今回は、イギリス人の肥満率はどれくらいなのか、イギリスNHS(国民保健サービス)の発表した報告書「Statistics on Obesity, Physical Activity and Diet, England, 2019 」(執筆時最新版)から、イギリスの肥満率の実態について取り上げる。画像もすべてこの報告書に拠る。© 2019, Health and Social Care Information Centre

アメリカの方が肥満率は高いけれど、イギリスはヨーロッパでも肥満率の高さで上位の国とされ、危機的状況である。実際、ロンドンの街を歩いていてもよく肥満体型の人を見る。

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イングランドの成人の過体重・肥満率は64%

この統計はイングランドのみで、イギリス内の他の国は入ってないことを留意されたい。

肥満かどうかは、BMI(体重kgを身長mで2回割った数値)を基準にして判断される。BMIが25〜29の人は過体重、30以上の人は肥満、40以上の人は病的肥満というカテゴリとなる。

 2017年、イングランドの成人で過体重または肥満とされた人はなんと64%。そのうち肥満(病的肥満も含む)とされた人の割合は29%だ。

1993年と比べると約10%も増えており、推移も増える一方というデータが出ている。上の灰色のグラフは「過体重・肥満」の割合、下の青色のグラフは「肥満」のみの割合。

性別による肥満率の差

過体重または肥満とされた人の割合は、男性で67%、女性で62%であった。男性の方が一見深刻そうに思えるが、男性は肥満(病的肥満も含む)よりも過体重の人の割合が多く、肥満の割合が高いのは女性の方だという。

地域による肥満率の差

過体重、肥満の割合はまた、地域によっても異なる。最も割合が低いのはロンドンで、最も高いのはヨークシャー・アンド・ザ・ハンバーとウェスト・ミッドランズ。

一番低いとはいえ、ロンドンでも50%代後半である。なんということだ。

年齢による肥満率の差

濃い青が肥満(病的肥満も含む)、水色が過体重の割合。

過体重・肥満全体の割合が一番高いのは45〜74歳の男性で、78%。3つの年代層にまたがっているが、割合はほぼ同等である。

この年代の男性を10人並べたら8人は過体重以上だということだ。恐ろしい……。ロンドンで見かけるスラッとした中年以降の男性は実は大変貴重なのでは……。

また女性は65〜74歳が一番割合が高く、73%。これもかなりの割合だ。中年よりも高齢者の方が高い。

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イギリスの肥満率を他の国と比較してみると

OECD(経済協力開発機構)のメンバー国の肥満率を並べたグラフがある。こちらは過体重の人はカウントされていない。

このグラフでは、イギリスの成人肥満率は26%とされている。この数値はイングランドではなくイギリス全体。イングランドのみの肥満率も29%なので、イングランドとイギリス全体でものすごい差があるわけではないようだ。

トップはアメリカで、40%にも達する。その後、ヨーロッパではハンガリー、トルコ(トルコがヨーロッパかは議論がある)、ポルトガルがイギリスよりも高いという結果が出ている。個人的にはハンガリー、ポルトガルは意外であった。

日本と韓国は最も割合が少なく、10%以下。

子どもの肥満

子どもの肥満もBMIも基準にしているが、性別、年齢による成長を考慮した基準がそれぞれ当てはめられている。

2017〜2018年に肥満だとされたイングランドの6歳の子どもの割合は20.1%。対してイングランドの4〜5歳の子どもだと9.5%。5歳から6歳の間に何があるのだろう……。

貧困と肥満の関係

貧困と肥満は大きく関係しているという結果が出ている。

4〜5歳、また6歳どちらのグループにおいても、貧困度が高い地域の方が低い地域に比べて肥満率が2倍以上高い。

こちらは6歳のグループの肥満率のグラフ。左側が最も貧困率が高い地域で、右が最も貧困率が低い地域だ。

肥満の親と肥満の子どもの関係

2016〜2017年のデータからは、子どもの過体重・肥満は親の肥満と関係していることがわかった。

肥満の母を持つ子どもの28%は肥満であるという結果が出ている。対して、肥満ではなく過体重の母を持つ子どもだと肥満率17%と減り、肥満でも過体重でもない母親を持つ子どもだと8%にまで減少する。 

同様の傾向は肥満の父を持つ子どもにも見られる。子どもが肥満である割合は、肥満の父を持つ子どもの24%、肥満ではなく過体重の父を持つ子どもの14%、肥満でも過体重でもない父を持つ子どもの9%となる。


さて、こんな肥満率になってしまう国では、人々はどんな生活習慣を持っているのだろうか。

別記事では、イギリス人の運動習慣と食生活についても統計から見たデータを紹介したい。

【統計で見る】イギリス人の生活習慣を探る:運動と食生活の実態

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