ムリリョの絵画が盛りだくさん!壮麗で巨大な世界遺産セビリア大聖堂内部を見てみよう

スペインのセビリア旅行で行った、大聖堂の中の様子をレポ。あまりに広いので、中でも特に感銘を受けた部分を紹介していく。

今回の旅の概要と見どころ、クリスマス・年末年始の街の様子などはこちらの目次代わりの記事から。

南スペインの都市セビリア・コルドバの旅行レポとお役立ち情報

モスク跡地に建てられた、世界で3番目に大きな聖堂

現在は世界遺産となっているセビリア大聖堂は、スペインで最大、また世界で3番目に大きな大聖堂で、セビリアで一番の見どころだ。この敷地には、もともとイスラム教のモスクが建っていた。

イスラムの支配を脱却し、キリスト教徒が南スペインを取り戻した13世紀の「レコンキスタ」後に、モスクを破壊し1528年に建てた大聖堂だ。

“Hagamos una Iglesia tan hermosa y tan grandiosa que los que la vieren labrada nos tengan por locos”
「見た誰もが狂気の沙汰だと言うような、美しく壮大な教会を建てよう」

これは、セビリアの市長らが大聖堂を建てた時に掲げたコンセプトだ。その通り、聖堂内部は狂気さえ感じられるような、豪華絢爛で一歩足を踏み入れれば圧倒されるような空間になっている。

ゴシック様式だが、モスクの名残も少し見られる。

この噴水のあるオレンジの中庭は、イスラム庭園様式の特徴の一つである。

またこの記事で後で紹介する、展望台ともなっているヒラルダの塔は、元はモスクの尖塔(ミナレット)であった。

チケットは事前にオンラインで購入するべし

白い外観が大変美しい聖堂入口。しかし、ここはチケットを求める人で長蛇の列である。数時間並ぶと思われるので、できる限り事前にオンラインでチケットを買っていくことをおすすめする。

私たちはチケットを持っていたので「チケット購入済み」の列に並んだが、それでも20分くらい待たなければならなかった。

中はこれでもかという壮麗さ

一度中に足を踏み入れると、キンキラキンに輝く空間が視界に飛び込んでくる。

中心部の広間の両側には柵で囲われた小部屋のようなチャペルがあり、偉人やパトロンの墓が安置されている。

柵を超えて中に入れるチャペルもある。

チャペルの一つ一つに、このような金色の祭壇がそれぞれ置かれている。聖人やキリストやら聖母子像やら、すごいボリュームの装飾なので、これらを見ていくだけでも美術展を鑑賞しているようである。

広間中央には巨大なパイプオルガンが二つある。これはそのうちの一つ。オリジナルのオルガンは二つとも1888年の地震で破壊されてしまい、今あるものは1900年代初頭に代わりに導入された。

近づいてよく見ると、大変細かい木彫装飾が施されているのがわかる。手がけた彫刻家にとっては、一世一代の大仕事だったに違いない。

聖堂のちょうど中央。左側にはもう一つのオルガン、右側の柵の中には、狂気を具現化したような主祭壇がある。

もうどこに視線を向ければいいかわからないほどの緻密さで彫られた、天井まで届く彫刻群。

下から見上げてもきちんと見えるように、上に行けば行くほど、人物像は大きくなっているのだそうだ。

拡大するとこんな感じ。イエスの生涯における場面がコマ割りのように表されている。たった一人の職人、Pierre Dancartが生涯をかけて作り上げたという傑作である。

聖堂内には冒険家コロンブスの墓がある

この聖堂内には、スペイン大航海時代を象徴する探検家であるクリストファー・コロンブスの墓がある。

コロンブスはイタリア生まれとされているが、ポルトガル、スペインで活動した。ポルトガル王室に航海の援助を求めたが断られたコロンブスはスペインに渡り、スペイン王室からついに援助を受けることに成功し、インドへ向けて航海に旅立った。

そしてご存知、「新大陸」であるアメリカ大陸を(キリスト教界の白人としては初めて)発見したのである。

コロンブスの棺は、当時のスペインを構成していた4国、レオン、カスティーリャ、ナバーラ、アラゴンの国王によって支えられている。

この棺と彫刻は、柵も何もないので間近で見られる。素晴らしい彫刻群をじっくりと眺めることをおすすめしたい。

国王たちが身に着けるローブの、華やかな装飾とたっぷりとしたひだの表現は見事である。

棺の裏の装飾も、入り組んでいて美しい。彫られているのはおそらく当時の紋章とか何かだろう、と思って調べたら、やはり当時の国章であった。1479年~1504年にスペインを治めていたトラスタマラ家のものだ(参考↓)。

 

 

セビリアを一望できるヒラルダの塔

聖堂内には、ヒラルダの塔と呼ばれる高さ105 mの鐘楼がある。先述したように、この塔は以前同じ敷地にあったモスクのミナレットを再利用しているおり、大聖堂より330年ほど古い1198年の建造である。

エレベーターはないので歩いて上ることになる。途中までは階段ではなく、平らなスロープがずっと続く。これは馬が通れるように、段差のない坂道を作ったからであるという。

頂上には大小さまざまな鐘楼がある。

頂上は展望台になっており、360°セビリアの街を見渡せる。

晴れている日は、素晴らしい眺めが期待できる。

オレンジの木の中庭もここから覗くことができる。

ムリリョの絵画が見られるのもポイント

再び地上に降り、聖堂内を見学することにする。さすが世界3位の大きさを誇るだけあり、内部は大変広く、部屋の数も多い。入り組んだ構造になっているため、ところどころにある地図を確認しながら進むといい。

中では、セビリアの誇る17世紀の画家、バルトロメ・エステバン・ムリリョの作品も見ることができる。

狭い通路を通ったところにある参事会室。ルネサンス様式のドームを持つ部屋で、白を基調とした上品なスタイルだ。前方中央にはムリリョの「無原罪の御宿り」が掲げられている。

ムリリョ「無原罪の御宿り」

白い空間に鮮やかな青色が映える。窓から差し込む柔らかな太陽光があいまって、神聖な雰囲気が漂う。

その他、メインの広間にも、ムリリョ作品がかけられている。

「守護天使」の作品は柵に囲われていてちょっと見づらい。

ムリリョ「守護天使」1665年

こちらが全体像。幼児を導く守護天使は、キリスト教では人間一人一人に生まれた時からついているとされる天使。日本でいう守護霊のようなものだろうか(ちょっと違うけど)。

暗い教会の中では、明るい衣服と中性的で優美な雰囲気を持つ天使が引き立つ。本当に道を示してくれるように見えるかもしれない。

ムリリョ「Vision of St Antony of Padua」 1656年

チャペルの一つにあった、パドヴァのアントニオを描いた作品。ポルトガル出身の教会博士だが、イタリアのパドヴァで病気で亡くなったのでこう呼ばれている。

彼が亡くなった時は、天使たちが天から舞い降り、教会の鐘を鳴らしたという伝説も伝わっており、この作品はその場面を描いているのだろう。敬虔なキリスト教徒が死の間際についに天からの迎えを受け、その信心が報われた瞬間なのかもしれない。

ムリリョの弟子の作品「聖母子」17世紀

こちらは名前のわからない、ムリリョの弟子とされる人物の聖母子像。ムリリョ作品の特徴である画面全体を満たす柔らかな雰囲気、女性のたおやかな表現が良く出ている。

その他部屋の内装やお宝も必見

その他、聖堂内で見られる部屋や法具、芸術品を紹介しよう。

こちらはムリリョのマリア像が見られる参事会室の隣にある控室。モノクロームかつすっきりと洗練されたパターンは、現代にも通じるモダンなセンスで溢れている。

両側の壁は聖書の場面を描いたレリーフで覆われている。

一つ一つ部屋のテーマが違っていて、部屋を移る度に今度はどのような内装が現れるのかワクワクする。

神聖ローマ帝国皇帝カール5世(兼スペイン国王カルロス1世)の着ていたローブで、1500年代前半のもの。

襟元に聖人像を表した刺繍が施されている。

主聖具納室には、絵画や調度品が多数展示されている。かなり混んでいるので、少しせわしない。

この部屋の天井もレリーフで埋め尽くされていてこれまたすごい。

その下方にある、ミニ祭壇のようなもの。

イエスの血だらけの生首が怖い。鼻血まで出ているし、ここまでリアルにしなくても…。信仰心の深さの表れだろうか。キリスト教芸術は結構生々しいものも多い。

美しすぎる十字架。私がこれまでヨーロッパで見た十字架の中でも、ゴージャスさでかなりの上位に食い込む。

色鮮やかなステンドグラス。中が暗いので、外からの日の光で大変美しく輝く。

聖堂内丸ごと博物館というか、とにかく見どころがありすぎるといっても過言ではないセビリア大聖堂。事前にチケットを予約していくこと、時間に余裕を持っていくことをおすすめする。

最後に、大聖堂付属の小さいけれど豪華な「サグラリオ教会」も紹介したい。


セビリア大聖堂

住所:Av. de la Constitución, s/n, 41004 Sevilla, Spain

入場料:一般9ユーロ(月曜日の16:30~18:00は無料となるようだが、事前予約必須)

大聖堂付属の小さな教会「サグラリオ教会」も見どころ沢山!

セビリア大聖堂の脇にくっついているサグラリオ教会。ここは無料で入場できる上、見ごたえもなかなかだ。

天井に網がかかっているのが少し残念だけれど、中の装飾はゴージャスである。やはり左右に柵で囲まれたチャペルがある。

チャペル内の祭壇は金色が基本。そして聖人や天使の彫刻群がもりもりと配置されている。

このチャペルには、ムリリョの「無原罪の御宿り」(いくつもパターンがある)の複製画が上にかかっている。幼いキリスト(多分)の像がきりっとした美少年で可愛い。

こちらがメインの主祭壇。

下段にキリスト生誕の場面、中央にキリストの十字架降下の場面が表されている。キリストの生涯が凝縮されたような祭壇だ。

十字架降下の左右に立っている、大天使2人はまるで風に乗っているように衣服が舞い、軽やかな表現となっている。

セビリア大聖堂に行った際には、こちらもぜひ見学することをおすすめしたい。


サグラリオ教会

住所:Av. de la Constitución, 20, 41004 Sevilla, Spain

入場無料

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