「ドーセット旅行①グランピング1-2日目:1年ぶりの旅行」に続き、1年ぶりの旅行の記録第2弾。初日は散々な目に遭い、2日目も雨が降っていたため景色を楽しむどころかぬかるむ土との対峙になったが、3日目からは大いに晴れた。
3日目:カラスとBBQと羊
前の記事でも少し書いたように、この日は朝から快晴で、ヤートから美しい景色が望めた。
……と、うっとりしていたのもつかの間、私がキッチンヤートに行っている間、宿泊ヤートのドアを開けっぱなしにしたまま夫も離れていたようで、ヤートに戻ったらなんと室内に置いておいた菓子類がカラスに荒らされていた。
被害者はこの2名と、宿泊ヤートの外に転がっていたポテトチップスの小袋(開けられてほとんど食べられていた)。チョコレートには嘴で突いた跡がくっきりとついていた。固すぎて食べられなかったのだろう。
明らかに、カラスは「ヤートに食料がある」ことを知っているのだ。自然に慣れていない人間たちの胸には「カラスに油断するな」という教訓がこの日刻まれたのだった。
BBQ用の食料やら木炭やらの買い出しを終え、このグランピングエリア周辺を散策することにした。羊の群れを追いかける形になりながら小道を進む。
子羊もいて可愛い。羊のキュートな尻を横目にさらに奥へと歩いた。
キジだけを大量に飼育している囲いがいくつもあった。人間の歩く方向からわーっと逃げていくのがちょっと面白い。でも間近でも見てみたかった。長く続く囲いをぐるりと周ってヤートに戻る。
戻る途中に、露天風呂の側を通ったら、他の宿泊客であろう家族が使用中だった。期せずして覗く側(覗いてないけど)になってしまった私は、「いや、これ人が側を通ったら普通に見えるな……」と確信した。「これは無理だ」と露天風呂は諦めたのだった。水着で入るならそれでもいいのだろうけど、日本人の私には水着を着て風呂に入る発想がない。
3日目の夕食からBBQ開始
この日の夜は早速バーベキュー。本当は昼もしたかったが、散策やら買い出しやらしていたら時間が無くなり、適当にパンとハムとかで昼食を済ませた気がする。
グランピングって何気にやることたくさんあるな、と思った。キャンプ要素もあるのだから当然だろうと言われたらそれまでなのだが、実際にやってみないとわからないものだ。慣れていないので勝手がわからないことが大きい。
買い忘れた日用品や追加で必要になったものなどを車でスーパーに買いに行くだけでも結構時間がかかるし、BBQで火を起こすのにも時間がかかる。もちろんそれも楽しいけれど、本来の目的としていた「ゆったりと読書」をほぼできていない。
おそらく、もっと日数があってその生活に慣れたらもう少し時間を効率的に使えるのだろう。今回のグランピングは元々4泊5日の予定だったが、アクシデントで1泊分無駄にしているし。
普段火を起こすことのない人間は、この施設にあるような大きなグリルにどのくらいの量の炭が必要なのかもわからない。
今回は鶏肉、魚介、野菜を食べる。ポートベローマッシュルームという大きなキノコをじっくりと焼くと、ジューシーになって美味しい。
BBQ中も、カラスがいつでも隙を狙えるようにと、遠くからじっと様子を伺っている。かならず一人は所有物から目を離さないよう注意が必要だ。火の準備中に、食べ物がないから大丈夫だろうと少しの間離れたら、またもやカラスに外に出しておいた木炭の袋とウエットティッシュの袋を破かれていた。食べ物かどうか探っていたのだろう。愚かな人間は何回か経験しないと学習しない。
パンやオリーブ、チーズなどもテーブルに広げる。
ガーリックシュリンプも作る。本当は殻付きのエビを買いたかったが手に入らなかった。そもそも、このエリア自体シーサイドエリアであり、こんなにも海が近いのに、最寄りの町には魚屋がないのだった(1軒卸売りの店は見つけたが、午前しか営業していなかった)。ちなみにフィッシュ&チップス屋は山ほどあった。さすがイギリスである。魚の扱いがぶれない。
エビの隣はナスを丸ごと焼こうとしているもの。
明らかに火力が弱いが、とりあえず今回はこのまま続行。
エビはぷりぷりでニンニクがきいていて美味しい!! 白ワインが進む。グリルで炙ったパンと一緒に食べても美味しい。
いい感じにできた骨付き鶏もも肉とマッシュルーム。どちらもジューシーだし、炭の香りがほんのりついている。味付けはシンプルに塩コショウだけで十分。
シーバスのグリル。魚のフィレはとても薄いのでこの時のような弱火でもすぐ焼けた。旨味が詰まっている。これも成功。
ミックス野菜は入れ物に入れて蒸し焼きにしていたのだが、なんせ火力が弱いためいつまで経ってもできない。日没までに焼けないかもしれないという恐怖により結局入れ物から出して普通に焼く。ちなみにこの時の日没は午後9時。3月ごろから、イギリスの日没時間はぐんぐん遅くなる。
ちなみに野菜の横のアルミホイルはナスである。まだ焼けていない。結局出来上がらなかったため翌日に持ち越されることになった(この時点で失敗では?)。
朝に逃げていった羊たちが、今は私たちに慣れたのか、それとも1日のルーティンなのか、私たちのすぐそばのエリアまでやってきていた。
ほろ酔いになりつつ子羊を観察する。きょとんとしたような顔が可愛い。
4日目:ひたすらBBQの日
なんかこの日はBBQ以外の記憶も写真もあまりない。多分ずっとBBQをしていたのだろう。炭を買い足して、1回の火おこしでもっと大量に使い、火力を強めるようにした。
グランピング施設のオーナーが飼っているワンちゃんがあいさつにきてくれた。人懐こく、それでいて大人しいし食べ物もしつこくほしがったりしない、とても良い子。
この日は、あの梅雨のような雨の日々からは想像もつかないような暑さ。わんこも日陰を確保。この1日で私の腕はこんがりと焼けた。ここまでになると思っていなくて日焼け止めを買っていなかったのだ。
4日目昼のBBQ
今日は昼も夜もBBQだ! 昼からソーセージとビール、最高!
イギリスの一般的なソーセージは、肉の割合が少なくつなぎとして小麦粉が多く入っているので、パリパリ感がなく私は好まないのだが、今回のソーセージは肉屋で買ったもの。ソーセージにはうるさいドイツ人の夫が「これはちゃんと肉の割合が高いものなのか」と店員さんに聞いてから入手した。これは焼いたらちゃんとパリッとなって美味しかった。
スーパーでこのまま売られていた野菜とハルミチーズの串焼き。ハルミチーズは熱を通しても溶けずにしっかり形をとどめているので、BBQに向いている。このBBQでは、火力もかなり改善され、焼き時間が短縮された。
ちなみに、あのナスをまだ焼いている。この時も満足いく仕上がりにはならず(食べようと思えば食べれる状態ではあるが)、夜に引き続き焼くことにする。ナス、永遠に出来上がらないのでは……?
野菜串焼きと豚バラ肉。豚バラ肉はマヨネーズと醤油を混ぜたタレに漬けておいたもの。うーむしみじみ美味しい。炭の香りの香ばしいこと……!
この施設ではキッチンに調理器具、オーブン、冷凍冷蔵庫、皿、コップなどあらゆるものが揃っているが、調味料は塩、胡椒、砂糖くらいしかないので、他のものはスーパーで揃える必要がある。
今日も丘は美しい。昼ごはんの後はさらに散策に出かけようということになった。少し歩いたところの日陰で2時間くらい読書をした。この日はまとまった時間で本を読めたので嬉しかった。次の日はすでにチェックアウトで、他の町へ向かうので、のんびりできるのはこの日が最後。
読書後にさらに森のような場所を歩くと、ブルーベルの花に覆われた道があった。青いじゅうたんのような、イギリスを代表する花の一つである。
綺麗な池も見つけた。中ではおたまじゃくしが大量に泳いでいた。春の花であるブルーベルといい、おたまじゃくしといい、春を感じる。5月末だけど。
4日目の夕食、最後のBBQ
最後のBBQはトリとして牛肉だ! と、サーロインステーキを豪快に焼く。ドイツ人夫はステーキが大好き。
手前のアルミに包んだものは、もう一つ買っておいたミックス野菜。今回は火力がかなり強いので、しっかり蒸し焼きにできた。
もういいだろう、と引き上げたミスターナス。柔らかくはなったが、あまり美味しくない。私は何をしていたのだろうという思いが胸に広がる。というか強い火力で直火で焼けばよかったのでは。まあいいや。
肉が焼けたぞー! 自分たちの好みより少し焼きすぎになってしまったけど、それでも美味しい。脂身と赤身の部分を一緒に口に入れると申し分ないうまさ。肉と炭火ってどうしてこんなにも合うのだろうかね。
日が暮れてきたので、片付けをして、ヤートに引っ込み、暖炉をつけることにする。
薪も湿気ていないので、火は割とすぐに着いた。どっしりとした薪をどんどん燃やす。
ワインを入れたグラスを上に置いてホットワインを作りながら、炎を眺める。
火は人を落ち着かせる力がある。自然界では本来なら恐ろしいもののはずなのに、人は火を手懐けたんだなあ、などとボーッと思いながら火を見つめていた。パチパチという音とダイレクトな熱は、普段の生活では触れられないもの。いくらでも眺めていられる。
暖炉を着けたまま就寝。翌日はグランピングを終了し、化石が採れるという海岸でアンモナイト探しをするのだ。
その記録と成果は次の記事で。
住所:Walnut Farm West Milton Lane, Melplash, Bridport DT6 3WB
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