グレンフェル・タワーの家賃の仕組みを説明する

2018年3月4日

©Natalie Oxford

大火事でイギリス史上戦後最大の死者数(79人)を出した、ロンドン西部のグレンフェル・タワー

私はロンドンに住んでいるので、立て続けに起こったテロの後にこの報道を見て「これもテロか」と最初は思ったくらいだ。

見た目高級そうな高層マンションにもかかわらず、実は貧困世帯が住む公営住宅だと報道があり、「貧困世帯がここに住めるの??」と思った人も多いだろう。

かと思えば、家賃は月1971ポンド(日本円で27万6000円)などとインターネット上で流れたりして、いろいろな憶測が飛び交っている。

家賃はこちらのニュースが伝えている。→London fire: Inside the £2,000-a-month Grenfell Tower flats before the blaze

少し調べてみたら、私が住んでいる物件と同じシステムだということがわかった。

公営住宅とプライベート住宅の2層

私が住んでいるマンションは、ロンドン中心部のキングスクロスにある15階建てで、1階から7階までが生活保護を受けている人が住む公営住宅、8階から15階までがプライベート住宅である。

キーにはチップが埋め込まれていて、プライベートのフロアに住んでいる人はエレベーターを乗るときにセンサーにキーをかざさないと、7階より上にエレベーターがいかない仕組みになっている。

このように住むフロアが公営住宅とプライベート住宅で完全に分けられているのだ。

公営住宅が入っている高層住宅は多い

ロンドンでは慢性的な住宅不足が続いていて、貧困世帯のための公営住宅も不足している。政府と自治体が高層の建物に公営住宅を入れまくっているのだ。

そのため、この2層のつくりは割と普通にある

エレベーターホールや外観などは、普通に「モダンないいマンション」という感じだ。だから一見ではわからない。

ただ、公営住宅の方はおそらく間取りも小さく、簡素な作りなのではないか。

ちなみにうちの家賃は1バスルーム、1ベッドルームにキッチン+リビングルームで月1700ポンドだ。
年々高騰しているロンドンの家賃ではこれでも高くないほうだが、もちろん私一人では住めない。夫と一緒だからなんとかなっている。

貧困世帯はもちろん家賃の補助が出ており、遥かに少ない額で住めているはずだ。

グレンフェル・タワーは2つベッドルームがついていて1970ポンドだから、安いくらいである。

つまり、出回っている家賃と間取りはプライベート住宅のもので、その下層階には貧困世帯が補助を受けて住んでいるというわけだ。

グレンフェル・タワーには、公営住宅の住人が家族や親戚をよんで住ませており、実際に登録された住民以上の人数が暮らしていた(つまり把握されていない住民もいる)というが、うちもそうなのかもしれない。

他の住民とは普段エレベーターホールですれ違うくらいなので、よくわからない。

日本にはない形態の高層住宅なので、日本人にはなかなか謎のシステムかもしれない。