ロンドンの地下で発見された醜悪な脂肪の山「fatberg」が博物館展示

2018年6月29日アート解説・展示レポ, ロンドン・イギリス生活

イギリスで近年社会問題化している、下水の中の脂肪の塊「fatberg」をMuseum of London(ロンドン博物館)で展示していたので行ってきた(~2018年7月1日まで)。

イギリスの都市問題fatbergとは何か

fatberg(ファットバーグ)とは、下水道にたまった、油脂やウェットティッシュ、その他溶けないゴミの巨大な塊のことを指す。比較的新しい言葉で、「iceburg(氷山)」のiceの部分が「fat(脂肪)」になった、「脂肪の山」という意味である。

元々は下水道で働く人々の間でこの言葉が使われており、2015年には正式にオックスフォード英語辞典に掲載された。

東ロンドンで巨大なfatbergが発見される

2017年9月、東ロンドンのホワイトチャペルという場所で、長さ250m、重さ130トンという、これまで発見された中で最大級のfatbergが発見され、国をあげてのセンセーショナルなニュースとなった。

その内訳は、53%がパルミチン酸(調理済みの肉類やバターなど)、18%がオレイン酸(調理用オイルや石鹸などの植物油)、8%がミリスチン酸(石鹸やシャンプー、ローションなどに含まれる)とリノール酸(石鹸や乳化剤、化粧品に含まれる)、7%がステアリン酸(食品添加物、錠剤にも使用)、6%がパルミトオレイン酸(動物油、植物油、魚介油など)であった。

これが、そのfatbergの一部を乾燥させたものである。有毒ガスを発生させたり、有害な微生物を含んでおり、少量でも扱い方を間違えれば死に至るという大変なシロモノ。

専門家の協力や化学分析を経てそうした有害物質を除去し乾燥させ、3重のプラスチックケースで防護して展示されていた。

作業員たちはこれを「モンスター」と呼んだ。悪臭を放ち人体に有害な、巨大な塊。ロンドンの地下にはものすごいモンスターが潜んでいたのだ。

こちらはより大きな塊のfatberg。こんなものが石のような硬さで、かつ130トン分も下水道にこびりついているのだから、除去作業は大変な労力を要したという。

下水道の作業員の制服

基本の作業は高水圧のホースで塊を崩し、タンカーで細かくなったfatbergを吸い出すというもの。だが、シャベルを使って手作業で除去しなければならない箇所もあり、全部を除去するのに、8人が1日9時間働き、1日も休みなしで9週間かかったそうだ。

これが展示されていた写真。これは塊を崩した後だろう。こんなところで作業をしなければならないとは…彼らは英雄である。

今後fatbergはどうなるのか

このホワイトチャペルの巨大なfatbergは完全に取りのぞかれた。だが、トイレに食べ物やウェットティッシュ、油汚れなどを拭いた紙などを流せば、また今後も積もり積もって同じものが形成されてしまうのだ。

政府はトイレにこうしたものを流さないように警告を出しているが、それ以外の対策が何も見えてきていない。今後どうなるのかは、わからないのである。