影と光を操った画家、カラヴァッジョの展示@ナショナル・ギャラリー

2016年11月11日ロンドン・ナショナル・ギャラリー, アート情報・展示レポ

イタリアの巨匠、カラヴァッジョ(1573-1610)の展示「Beyond Caravaggio」(2017年1月15日まで)がロンドン・ナショナル・ギャラリーでやっているので行ってきた。

正式な名前はミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジョという。あのルネサンスの彫刻家/画家と同じ名前。英語だとミケランジェロは「マイケランジェロ」って発音する。

カラバッジョと、「カラヴァジェスティ」と呼ばれる、カラヴァッジョの影響を受けた画家の作品を展示していた。カラヴァッジョは天才的な技術を持った芸術家だけど、その人生は波乱万丈で、人を殺して亡命したりしている。

カラヴァッジョの作品

「洗礼者聖ヨハネ」

michelangelo_merisi_called_caravaggio_-_saint_john_the_baptist_in_the_wilderness_-_google_art_project

数ある作品の中で一番好きだったのが、この青年の絵「洗礼者聖ヨハネ」。もうあまりに美男子で素敵すぎて目が離せなかった。森の中で何かを待っているようで、この絵から物語が生まれそうだ。

カラヴァッジョは宗教画や神話画を多く描いたけれど、表現がリアリティに溢れていて、まさに動きが起こった「瞬間」を描く。
物語的な絵画だ、と見るたびに思う。

「キリストの捕縛」

caravaggio_-_taking_of_christ_-_dublin敵がキリストを見分ける合図として、キリストに接吻するユダ。
カラヴァッジョの絵は、暗い空間に、人や物が明るく浮き上がっているものが多い。

光と影の明暗の違いを、極端なまでにはっきりと描き分けるのがカラヴァッジョの手法だ。これはイタリア語で「キアロスクーロ(明暗法)」と呼ばれる。

カラヴァッジョは、彼の時代の少し後に全盛期となる、「バロック絵画」の初期の代表的な画家として分類されることもある。

「洗礼者聖ヨハネの首を持つサロメ 」

caravaggiosalomelondonサロメが預言者ヨハネの首をもらい受ける場面。サロメについてはこの記事を参照。

「エマオの晩餐」

caravaggio_-_cena_in_emmausキリストが磔刑後に復活し、弟子を晩餐に誘う場面。エマオとは、キリストが復活した町の名前。

「カラヴァジェスティ」の作品

ここからは、展示されていた「カラヴァジェスティ」の作品のうち、よかったものを貼っていく。

Adam de Coster 「A man singing by candlelight」 

adam_de_coster_-_a_man_singing_by_candlelight

蠟燭の光を頼りに歌を歌う男。光の表現が見事。照らされているところ以外は真っ暗。絵を描いて、ほとんどを黒で塗りつぶすって実はなかなか勇気のいることだと思う。

蝋燭の光源と明暗を描く手法は、この時代に流行した。一部だけを強烈に照らす蝋燭の光は、画家たちにとって挑戦したいと思わせるものがあったのだろう。

蝋燭の画家としては、フランスのラ・トゥールが有名だ。
現在のベルギー、アントワープ出身の画家で、アントワープにも「カラヴァジェスティ」の一派があった。

Nicolas Régnier 「Saint Sebastian Tended by the Holy Irene」

(c) Ferens Art Gallery; Supplied by The Public Catalogue Foundation
(c) Ferens Art Gallery; Supplied by The Public Catalogue Foundation

弓で打たれた聖セバスチャンの体が青白くてゾンビみたいで「生々しい…」となった作品。画像だとわかりにくいけど、本物はもっと明らか。

Orazio Riminaldi「Cupid Asleep Approached by Venus in Her Chariot」

Riminaldi, Orazio; Cupid Asleep Approached by Venus in Her Chariot; National Trust, Kedleston Hall and Eastern Museum; http://www.artuk.org/artworks/cupid-asleep-approached-by-venus-in-her-chariot-172118

眠るキューピッド。可愛いね~。
同じモチーフがカラヴァッジョの作品にもある。

カラヴァッジョ「Sleeping Cupid」

caravaggio_sleeping_cupid

こっちのカラヴァッジョの作品の方が、明暗が劇的。雰囲気も怪しげ。

本当はもっともっと興味を引いた作品がたくさんあったけれど、写真禁止だし、ネット上でも画像を引っ張ってこれないので断念。

一口に「カラヴァジェスティ」と言っても、本家カラヴァッジョに近いもの、全然違う作風に見えるものなど、様々で面白かった。でもやはり、「カラヴァッジョ主義」とでもいうべき唯一無二のジャンルを生み出したカラヴァッジョは天才だなあ、と圧倒されて帰ってきたのでした。

こちらの記事でもカラヴァッジョの作品を紹介しています。